神谷明彦の3月定例議会報告 (第32号)

本来は、4月中に発行するはずだったのですが、選挙で手一杯になってしまい、お届けするのが遅れてしまったことをお詫びいたします。

選挙では1880票もの支持をいただき、上位当選することができました。日ごろの活動を認めていただいたことに感謝すると同時に、責任の重さを感じます。

ただし、投票率が56.9%と非常に低かったのは残念です。平成11年の65.2%%から8ポイント以上下がりました。議員選挙に関心がわかないのは議会の責任でもあります。過去の投票率を見ると、近年ほぼ一貫して低下傾向にあります。昭和54年には有権者の88.3%が投票に参加していました。

 

3月定例議会本会議は3月2(金),5(月),6(火),8(木),9(金),22(木)の6回開かれました。このうち、2は議案の説明、5・6は一般質問、8・9は議案の質疑、22は討論・採決でした。本会議で上程された議案は3つの常任委員会(経済建設、文教厚生、総務)に分割付託され審査の後に、本会議最終日に採決されることになっています。

 

 

一般質問

 

 

@入札制度改革について

 

談合事件が相次いだ結果、国がすべての市町村に対し一般競争入札の導入を求める方針を打ち出してきました。これまで、東浦町は競争性の高い入札の仕組みに対しては、「手抜きが怖い」と避けてきた経緯があります。今後入札制度改革をどのように進めていくか質問しました。

行政の答弁では、20年度の電子入札導入に合わせて、指名業者以外にも参加者を広く募る一般競争入札を拡大するとのこと。現在、町では一定規模以上(土木で8千万円、建築で2億円)の工事について制限つき一般競争入札を採用しています。これを1千万円以上の工事に適応すれば、4割程度が一般競争入札の対象になるそうです。(17年度を例にとると118件の工事入札はすべて指名競争入札で一般競争入札はゼロ件。)県下一斉に入札を電子化することによって、入札参加者が顔を合わせる機会をなくすとともに、煩雑な一般競争入札の手続きを簡略化できると期待されています。

工法提案型や価格以外の要素も取り入れる総合評価型入札は、業者決定までの事務手続きが大変だが、品質確保の面で有効。一定規模以上の建物や、特殊な工事への導入を検討したいとのこと。

工事品質の評価については、施工状況と完成状況を項目別に評価し、成績調書を作成しています。工事成績を業者選定に反映できるようにしたいとのことでした。

行政は、現状の落札価格は適正だと言いますが、そもそも入札参加企業の収益構造がそれぞれ異なるにもかかわらず、「適正価格」を設定するのは役所による価格統制ではないでしょうか。住民のお金を預かっているのですから、少しでも安くて良いものを調達する姿勢がなくてはなりません。調達コストが下がれば、同じ予算で多くのサービスを提供でき、ひいては住民福祉、納税者満足につながるはずです。

 

 

 

A公文書公開条例の見直しを

 

これからの行政運営には、情報公開と住民参加が欠かせません。住民の理解と協力を得るためにも情報公開は必要です。情報公開と住民参加を推進するには、基本的にはすべての情報が役所のオーナーである住民・納税者に公開されることが望ましいと考えます。

しかしながら、東浦町の公文書公開条例では、「決済、閲覧等の手続き」が終了しないと、公文書として公開対象になりません。また、文書・図画等の紙媒体を前提としており、近年コンピュータの普及で主流になっている磁気媒体や半導体による「電磁的記録」の公開に対応できていません。

以上を踏まえて、より開かれた町政実現のため、近隣市と同様の情報公開条例をつくる考えを尋ねました。

行政の答弁では、町の意思決定後に情報公開することで、無用の混乱を避けたいとのことですが、一体どんな混乱を招くのかはっきりしません。むしろ情報が断片的にしか出てこないから誤解を招くのではないでしょうか。そもそも意思決定終了後では住民が意思形成に関わることはできません。

電磁的記録に関する記述については、県の条例を参考にしながら改正していきたいとのことでした。

 

 

議案審議

 

[条例・その他]

@固定資産評価審査委員の選任(戸田實氏の再任)

A職員の給与に関する条例の一部改正(国家公務員に準じて扶養手当を改定)

B福祉センター条例の一部改正(身体障害者デイサービス事業の廃止に伴う規定の整理)

C児童遊園及びちびっ子広場に関する条例の一部改正(借地契約終了のため藤江西之宮南ちびっ子広場を廃止)

D乳幼児医療費支給条例の一部改正(小中学生の入院を無料化、子ども医療費支給条例に改称)

E母子家庭等医療費支給条例の一部改正(学校教育法の改正に伴う語句の変更)

F遺児手当支給条例の一部改正(学校教育法の改正に伴う語句の変更)

G町立くすの木授産所条例の廃止(くすの木授産所の移転民営化に伴い条例を廃止)

H予防接種健康被害調査委員会条例の一部改正(結核予防法の廃止に伴う語句の変更)

I町営住宅条例の一部改正(森岡半の木住宅3軒を新築、緒川住宅、生路住宅を一部廃止)

J自転車等駐車場条例の一部改正(区画整理で石浜駅前駐輪場の地番が確定)

K災害応急対策又は災害復旧のため派遣された職員に対する災害派遣手当に関する条例の一部改正(武力攻撃事態も想定し規定を整理)

L消防団員等賞じゅつ金及び殉職者特別賞じゅつ金支給条例の一部改正(省令の施行に伴なう規定の整理)

M知多地方教育事務協議会規約の一部改正について(事務所を県から関係市町教委に)

N知多地方視聴覚ライブラリー協議会規約の一部改正(事務所を県から関係市町教委に)

O緒川調整池建設工事委託に伴う変更協定の締結(7.5億円を6.6億円に減額、日本下水道事業団)

P町道路線の変更(石浜黒鳥宅地開発地内)

 

Dは現在、小学校就学前の医療費の自己負担分を町が負担しているのに加え中学生までの入院費もカバーするもので、約2千万円の負担増を見込んでいます。大府市は既に中学生の通院費も含めた医療費の無料化に踏み切っています。子どもの医療費に対する福祉サービスは自治体間の競争になってきました。この手のサービスは一度始めると簡単にやめられないだけに覚悟を要します。

Kは共産党以外の賛成多数で可決、その他の議案は全会一致で可決されました。

 

[予算]

@平成18年度一般会計補正予算(住民税の自然増、退職手当など)

A平成18年度土地取得特別会計補正予算(土地開発基金運用収入)

B平成18年度下水道事業特別会計補正予算(水道管移設工事費の減額など)

C平成18年度緒川駅東土地区画整理事業特別会計補正予算(排水路工事費の減額など)

D平成19年度一般会計予算

E平成19年度国民健康保険事業特別会計予算

F平成19年度土地取得特別会計予算

G平成19年老人保健特別会計予算

H平成19年度下水道事業特別会計予算

I平成19年度緒川駅東土地区画整理事業特別会計予算

J平成19年度水道事業会計予算

 

平成19年度(平成194月〜平成203月)予算を決定しました。一般会計は130億円、5つの特別会計(国民健康保険事業、土地取得、老人保健、下水道事業、緒川駅東土地区画整理事業)は合わせて94億円、水道事業会計は原則独立採算の企業会計になっていて収入112千万円と支出132千万円を見込んでいます。

Dは、共産党の反対があったものの賛成多数で可決。その他の予算案は全会一致で可決されました。

 

<国から地方への税源移譲>

一般会計が前年比84千万円増の積極予算となった背景には国から地方への税源移譲があります。所得に応じて513%の3段階だった住民税(町民税+県民税)の税率を一律10%とし、所得税(国税)の税率を6段階に細分化します。地方は住民サービスに必要な税金を満遍なく徴収し、国は裕福なところからたくさんの税金を取って助けを必要とする人や地方に所得を再分配する機能を持つことになります。住民税と所得税を合わせた個人の税負担は変わりませんが、全国で約3兆円の税源が国から地方へ移されることになります。

それから、今年から定率減税が廃止されます。これらの影響を含めて個人町民税の税収を前年比約7億円増の32億円と見込んでいます。

 

18年度までの税収増の内訳は>

私が議員になった平成11年に62億円だった町税収入は18年度補正予算では74億円になりました。税収はほぼ一貫して伸びてきましたが、主な原因は、ここ2〜3年は町民税、平成15年ころは固定資産税でした。固定資産税の伸びを課税対象となる固定資産の課税標準額で見てみると、宅地化に伴い土地と建物が徐々に伸びているのに加え、償却資産が一挙に増えているのがわかります。これは(STLCDなどの)工場の設備投資によるものです。ただし、土地や建物とは違い、耐用年数の短い製造設備などは更新がないと課税標準額の下落も早いです。



 

<工場進出の効果はどのくらい?>

近年、STLCDを皮切りに、森岡工業団地の完売やトヨタ系企業の進出が目白押しです。町長は、愛知県企業庁が手がけている石浜工業団地(47ha)の他にもう一つ大きな工場進出があれば財政が安定するといいますが、工場進出があるとどの程度の税収効果があるのか、それに対してどの程度までコストを掛けられるのか、はっきりしません。予算審議で質問しましたが、「コストに見合う以上の税収がある」程度の漠然とした答弁しか返って来ませんでした。当然推計はしているはずだと思うのですが・・・。

 

<新規事業の紹介>

19年度予算で行う新規事業の主なものを挙げます。(仮称)自然環境学習の森は、STLCDの西側の樹林地を整備、管理し、子どもから大人までの自然学習の場とするもので。東浦では初めてのまとまった里地の保全事業です。どんな保全活動をするのか、水辺はどうするのか、車はどこまで入れるのか、里地の源流部を通る農免道路の拡幅の影響はどうなるのか、具体的なことはこれからです。隣接する宗教施設の景観も気になるところです。

 

[議員提案]

@障害者手当支給条例の一部改正

A遺児手当支給条例の一部改正

B要介護者介護手当支給条例の一部改正

C議会会議規則の一部改正

D議会委員会条例の一部改正

Eリハビリテーション日数制限の撤廃を求める意見書

 

@〜Bは共産党の提案で手当の支給額をそれぞれ月額10002000円増額するものです。確かに福祉の向上にはなるし、おまけに選挙前。しかし、41日からの施行となっているのに予算措置がないことや、千円、2千円の増額の効果・根拠がはっきりしないことを理由に賛成しませんでした。

CDは地方自治法の一部改正に伴う規定の整理です。

@ABEは共産党のみの賛成で否決、CDは全会一致で可決されました。

 

 

う・ら・らの現状と今後

 

 

 

平成18年度う・ら・らの乗車数の推移と収支を示します。乗車数は、1号線、2号線ともに1日あたり300人ちょっとをキープしています。これは県内トップクラスの実績です。それでも、運行収支は1800万円の赤字、営業係数(100円稼ぐのに必要な経費)は213円です。行政は6月から、長寿医療センターの午後の診察帰りを意識したダイヤ改正を予定しています。

う・ら・らの366号沿線の運行や増便の要望が出ていますが、私はむしろ知多バスの有効利用を提言したいと思います。う・ら・らよりも便数も多く、運行時間帯も広い知多バスとの連携ができていません。う・ら・らに比べて、人口密集地を通っている知多バスの乗客が異常に少ない(約1/10)のはなぜでしょうか?

知多バスも町内100円均一にすれば、大幅な乗客増を見込めないでしょうか? 行政に知多バスと協議する考えを尋ねました。うまくすれば、知多バスも収入が増え、町はコスト増を抑制でき、住民サービスの向上にもつながるはずです。

双方のメリットにもなることなので柔軟に対応して欲しいと思います。

 

 

常任委員会の原則公開

 

これまで委員長の許可制だった常任委員会の傍聴が常時可能となりました。公開にするには会議規則を改正しなければなりませんが、改正にはどうも抵抗がありそうだったので、現行ルールの運用でもって委員会開会時に委員長が「本日の傍聴を許可します」と宣言することにしました。急遽決まったので、議会のホームページでしか公式にアナウンスできなかったにもかかわらず、早くも傍聴に来られた方がいらっしゃいました。

以上は、議会の制度・運営に関する検討委員会における「議会改革」の成果の一部です。

 

 

飲料水の水源をどうして木曽川に戻せないのか?

 

前回の議会報告を発行したあとで、「どうしてそんな当然のことができないのか?」「国・県、政党の意向って一体何なんだろうか?」と多くの皆さんから質問を受けました。

いったん国、県が決定したことを変えるなんてムリ。政権与党の議員や行政も上部組織の方針には黙って従うのが当然との意識があるようです。「そう言うもんなんだ」という「体制の呪縛」を解いていく必要があります。本来、住民の福祉の向上のためにあるはずの行政や政党が、組織の既定方針にこだわるばかりに機能していないのは残念なことです。

 

 

これはあくまでも私個人の目から見た議会活動報告です。私の考えをできるだけ率直に述べたつもりです。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。

6月定例議会本会議の開催予定は6月6(水),7(木),8(金),11(月),20(水)の5回で、いずれも朝9時30分からです。6は議案の上程と説明、7・8は一般質問、11は議案の質疑、20は討論・採決です。

 

平成19年5月10日

 

神谷明彦

E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com

 

 

議会報告の目次に戻る