平成18年12月定例議会報告  (第31号)

 

今年は暖かい年末でした。お正月はいかがお過ごしでしたでしょうか。私は、膝に水がたまって家族スキーに置いてきぼり、一人家で過ごしました。MRIを撮ったのですが、原因不明。年のせいでしょうか??これからあちこちに不具合が出てくるのかと思うとコワイです。

さて、12月定例議会の議会報告を致します。本会議は12月7(木),8(金),18(月)の3回開かれました。このうち、7・8は主に一般質問、8の後半は議案の説明・質疑、18は討論・採決でした。

 

 

一般質問

 

 

@集団行動に適応しない子どものケアは

 

近年、小学校のクラスに、集団生活になじめない子どもが増えています。この背景には、注意欠陥・多動性症候群や学習障害などの発達障害、就学以前の家庭教育等の問題などが考えられますが、発達障害は、早期に発見し、子どもの状態に配慮した環境を整え、訓練すれば適応しやすくなるといわれています。「発達障害者支援法」においても早期治療や療育を自治体の責務としています。

1)定期健診時のチェックや相談など、早期発見、早期対処のための体勢はどうなっているのでしょうか。健診漏れや治療に行かないケースも心配です。

2)保育園、小学校などでの対応は・・・保護者との情報交換やクラスのマネージメントは。今の態勢で大丈夫でしょうか。

発達障害の場合はむやみにしかりつけても逆効果、その子にあったケアが必要です。病気扱いも好ましくありません。発達障害は人それぞれ特徴が異なるため、保護者も関わり方に悩んでいるのではないでしょうか。

 

行政の答弁では、「4ヶ月から3歳までに6回の乳幼児健診、医療機関での2回の無料健診、就学前健診等、早期発見の機会をできるだけ多くしている。もし健診漏れがあれば、電話や訪問を徹底している。」「健診の結果、フォローの必要があれば、児童館“キリンの会”や小児医療センターなどの専門機関を紹介している。」とのこと。

「保育園では必要に応じて保育士の加配や研修を、小学校では校内就学指導委員会や特別支援コーディネーターを置いて支援体制を整えている。」「軽度発達障害児童の通級指導教室は片葩小と石浜西小に設置、生路小と緒川小にも増設を県に要望している。」「集団生活のなかで馴染ませていくと効果があると考えている。」とのこと。

 

 

A役所の人事評価と育成、処遇

 

公平性、透明性、納得性を備えた人事評価制度と育成、処遇の仕組みが求められています。

1)上司の側からだけではなく、部下、同僚、関連部署などからの全方位評価(多面評価)をすべきでは。

2)役所は成果と待遇が連動していないと言われます。成果主義、能力主義を取り入れるべきでは。

3)業務改善提案制度や政策提案制度など、職員のアイディアを活用し、毎日の業務の中で工夫する習慣をつける方策が必要では。

4)研修についても、受身の聴講ではなく、自分で見つけた研修先に自主的に研修に行く制度は。

 


 

答弁では「個々人の目標設定とその達成度を重視する目標管理制度と、それに連動した人事考課制度を導入、部下からの上司評価や、成果主義・能力主義を段階的に取り入れていく。」「提案、研修では、職員のチャレンジ精神や思い切ったアイディア、前向きな行動を評価する仕組みが大切と考える。」とのこと。

4年前に同趣旨の質問をした際には、国の人事評価制度改革を待つという消極的な答弁でしたが、町として民間並みに納得性、成果主義、自発性を重んずる人事評価・育成の仕組みを模索するようになったと感じます。

 

 

B住民参加の体系を整える

 

これまで一般質問等で、情報公開と住民参加を訴えてきました。住民参加については、さまざまな手法が開発されており体系的に進めていく必要があると考えます。

1)審議会などの諮問機関のメンバーを住民公募にしては。

2)18年からパブリックコメント制度が導入され、行政改革集中改革プランや健康づくりプラン策定に関する意見募集がありました。形骸化しないための今後の展開は。

3)住民と行政の協働を推進する部署の創設は。

4)公共施設の計画段階や政策形成過程への住民参加は。

5)街路樹里親制度などのアダプトプログラムを使った、公共物を守り育てる維持管理への住民参加は。

6)住民税の1%を市民が使途指定するなど納税者としての参加は。

7)道路工事やイベントなどの事業コストを現場表示することによる、コストへの参加意識の醸成は。

9)地方自治・住民自治のあり方を示し、住民・行政の役割と責務を規定する「自治基本条例」、住民参加の手続きや結果の取り扱いを規定する「市民参画条例」、重要な施策の選択に住民意思を的確に反映するための「住民投票条例」などの制定と体系化は。

以上、住民・納税者の行政参加に関わる一連の手法を導入することを提言しました。

 


 

行政の答弁では、住民が主体となり行政と対等な立場で地域づくりや地域経営に関与する住民自治が時流になったとし、住民参加の必要性を認めつつも、「形骸化しないためには意識啓発が先決、東浦に合った制度を定着させたい」とのこと。

ここ数年、私は住民の行政への直接参加をテーマとして取り上げてきましたが、行政の考え方の根底には、住民は無関心、無責任であるといった住民性悪説があるのではと感じることがあります。住民は行政の雇い主であると同時にサービスの受け手です。お客様は悪い人ばかり、雇い主も信用できないでは、公僕による住民サービスは成り立ちません。行政関係者は意識を180度変える必要があります。

一方、住民の側にも、役所が勝手に決めて都合の良いようにやっているといった不信感があります。私は、住民が直接参加する機会を増やすことによって、相互不信を取り除いていけるものと信じています。

 

 

議案審議

 

 

[条例・その他]

@人権擁護委員の推薦(小林久枝氏の再任)

A地方自治法の改正に伴う関係条例の整備(地方自治法改正に伴う語句の整理)

B副町長の定数を定める条例の制定(地方自治法改正に伴う規定の整備)

C職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部改正(休息時間の廃止)

D要介護老人介護手当等支給条例の一部改正(休暇券の支給廃止と介護手当月額の引き上げ)

E町営住宅条例の一部改正(緒川九俵池住宅の一部廃止)

F消防団員等公務災害補償条例の一部改正(国の政令の改正に伴う規定の整理)

G愛知県後期高齢者医療広域連合の設置(高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、県内全ての市町村が加入する広域連合を設置するため)

H知多北部広域連合規約の一部改正(地方自治法改正に伴う語句の整理)

I知多中部広域事務組合規約の一部改正(地方自治法改正に伴う語句の整理)

J東部知多衛生組合規約の一部改正(地方自治法改正に伴う語句の整理)

K知北平和公園組合規約の一部改正(地方自治法改正に伴う語句の整理)

L知多地区農業共済事務組合規約の一部改正(地方自治法改正に伴う語句の整理)

M土地区画整理事業に伴う字の区域の設定及び変更(三ツ池地区を石浜緑が丘に変更)

N町道路線の認定(緒川宝前庵地内の宅地開発道路を町道認定)

 

A〜B、H〜Lは地方自治法改正に伴うものです。主なポイントは助役を副町長と言い換えることと、収入役を次期から廃止することです。

Cでは、これまで勤務時間内にあった午前午後15分ずつの休息時間が廃止になります。勤務時間は8:3012:1513:0017:15でこれまでと変わりありません。昼休み中も窓口サービスは交代で行われています。

Dで訪問入浴・短期入所休暇券を廃止、介護保険制度の中で対応することになります。

Gは75歳以上の後期高齢者を現行の保険制度から切り離し、独立した医療制度にするためのもの。

CDGは共産党以外の賛成多数で可決、その他の議案は全会一致で可決されました。

 

 

[補正予算]

@平成18年度一般会計補正予算(福祉給付金、水路改修、学校改修など、全体で44百万円の増額)

A平成18年度国民健康保険事業特別会計補正予算(療養給付費交付金など)

B平成18年度下水道事業特別会計補正予算(ポンプ場点検委託料などの減額)

C平成18年度緒川駅東土地区画整理事業特別会計補正予算(人件費などの減額)

D平成18年度水道事業会計補正予算(人件費などの増減)

 

@は共産党以外の賛成多数で可決、その他は全会一致で可決しました。

 

 

[意見書]

@半田養護学校マンモス校解消及び通学バス増車に関する意見書

A上水道の水源を長良川河口堰から木曽川にもどすことを求める意見書

B障害者自立支援制度の充実を求める意見書

 

@は、教室不足や希望者がバス通学できない状態を解消することを求めるもの。Aは私たちの提案です。次の記事で詳しく報告します。

結局、@は全会一致で可決。Aは蒼志会と共産党のみの賛成で否決。Bは共産党のみの賛成で否決となりました。

 

 

「上水道の水源を長良川河口堰から木曽川にもどすことを求める意見書」を提案!

 

前回報告した通り、9月定例議会では、一般質問で上水道の水源の問題を取り上げました。12月定例議会では、「上水道の水源を長良川河口堰から木曽川にもどすことを求める意見書」を提案することにしました。意見書の文案は以下の通りです。

 

上水道の水源を長良川河口堰から木曽川にもどすことを求める意見書(案)

 

知多半島東浦以南に飲料水を供給する知多浄水場の水源は、元々、木曽川中流の兼山取水口で取水された愛知用水の水だった。これが、後に木曽川下流の馬飼大堰に切り替えられ、さらに、長良川河口堰完成後の平成10年には、長良川の河口の水に切り替えられた。それ以来、まずい、臭いという苦情があったにもかかわらず、長良川河口堰の水が供給されている。多くの住民が、早く木曽川の水に戻してほしいと望んでいる。

知多浄水場では、木曽川の水と長良川河口堰の水を両方供給できるようになっている。にもかかわらず、飲料水には長良川河口堰の水、工業用水や農業用水には木曽川の水が依然として供給されている。長良川河口堰の水は、非飲用水に振り向け、よりきれいな木曽川の水を飲料水に優先して供給するのが当然と考える。具体的には、長良川河口堰の水を工業用水にまわして、工業用水に使っている木曽川の水を同量上水道にまわせば、使用水量の過不足を生ずることなく知多半島に木曽川の水を飲料水として供給することができる。

愛知県は、長良川河口堰のおかげで安定した水供給ができるようになったと言っているが、私たちはそれを否定してはいない。長良川河口堰の完成で余裕のできた木曽川(愛知用水)の水を飲料水に優先的にまわすべきだと言っているだけだ。多大なコストをかけることなく、パイプの中を流れる水を切り替えるだけで、豊かな気持ちになれるのであれば実行すべきである。

木曽川の水は愛知の誇れるもののひとつである。関係各機関に対し、この木曽川の水を再び知多半島全域の人たちが飲めるようにするための必要な措置を取り計らうことを強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

(提出先)  愛知県知事、愛知県企業庁長、国土交通省中部地方整備局長

 

(提案理由)

よりきれいでおいしい水を飲みたいという自然な欲求を満たし、住民満足の向上を図るため。

 

意見書とは、一種の議員提案で、議会の意思として国や県などの行政機関に要望する制度です。

意見書は本来議員がオリジナルで書くものですが、これまでは政党の上部団体や、業界団体、労組などの組織が文案を書いて議会に送りつけてきたのがほとんどでした。ひどいものになると、国の省庁がヤラセで意見書の提出を求めてくるものもあります。

今回は、議会活性化を念頭において、私がかねてから主張している上水道の水源の問題に関して意見書案を書いて、同じ考えを持つ齋吉男議員と平林由仁議員の賛同を得て、提案しました。

これに対して各会派の対応は・・・自民系は、国や県には逆らえないとして反対の立場です。しかし、議員個人の本音としては、「やっぱり木曽川のほうがいいよね」「有権者の目も気になるし」と言ったところではないかと思います。共産党は賛成。公明党は、議会運営委員会で当初賛成の立場だったのですが、党の県本部の意向に従って反対にまわりました。

結局、「上水道の水源を長良川河口堰から木曽川にもどすことを求める意見書」は、6対13で否決されてしまいました。たくさんの方が傍聴にいらしたのに、本当に残念です。

これにめげることなく、継続的に問題提起していこうと思います。

 

 

議会改革が進行中

 

今まで議会傍聴者への資料提供が不十分でした。9月定例議会から一般質問の通告書全文を配布。また、議案書や決算書を見ながら傍聴できるようになりました。

12月定例議会からは、一般質問の答弁書が、前もって行政から議員に渡されるようになりました。議員は答弁書を読んだ上で、より深く突っ込んだ再質問ができるようになりました。(これには、本来議会での論戦はガチンコ勝負が望ましいことから、一般質問の事前通告を廃止すべきとの議論もありました。しかし、事前通告を廃止すると行政が的確な答弁を用意できない恐れがあることから、通告制は継続することに。それなら、通告書に対する答弁書を議員に返して、両者イーブン、さらに再質問で議論を深めることを行政側に要望することになったものです。)

以上は、議会の制度・運営に関する検討委員会における「議会改革」の一部です。

 

 

余談・・・ため池の環境をテーマに授業&お掃除ボランティア

 

10月26日に生路小学校の5年生のクラスでため池の環境をテーマに授業をしました。子どもたちはため池が人工物だとは知っていましたが、谷の出口に土のダムを築いて水を貯めていたとは知らなかったようです。そのとき、「厄松池はいつごろ造られたのですか」と質問がありましたが、十分なお答えができませんでした。

10月29日には厄松池の掃除を行いました。今年はなぜかホテイアオイが生えていないので、池のゴミ拾いと、ヨシなどの草を刈り取った後に、土手にスイセンを植えました。小学校の4〜6年生、お父さんお母さん、学校の先生、近所の皆さんが参加してくれたおかげでとてもはかどりました。(掃除の様子はhttp://kamiya-a.cocolog-nifty.com/turezure/2006/10/post_f51c.html参照)

12月には、子どもたちが宿題で描いた池の将来図に対する私のコメントを返すついでに、「厄松池は何歳か?」調べてみました。

 

東浦町郷土資料館に聞いたところ、江戸時代初期の寛文11年(1671年)に書かれた文書の中に、すでに「屋きま千池(やきまちいけ)」の記述があることがわかりました。厄松池は少なくとも335年以上前からあったことがわかります。まるで文化財ですね。

参考までに、天保12年(1841年)の生路村絵図(クリックで拡大)を添えておきます。神社や寺は現在と変わっていません。泉ヶ池の西にある「はさま池」は今では住宅地になっています。「亀池」と書いてあるのが現在の切池です。「中ノ池」の上には公民館が建っています。

少し読みにくいですが「焼松池」と書いてあるところが今の厄松池と厄松公園のあるところです。当時、厄松池の堤の上の道路は藤江に行くたった一つの幹線だったことがわかります。

 

天保12年(1841年)生路村絵図(クリックで拡大)

 

※ 厄松池の掃除は、地域のボランティア活動として行っています。折に触れ、議会報告の中で紹介していますが、政治信条とは関係なくたくさんの有志の皆さんに参加いただいています。

 

 

これはあくまでも私個人の目から見た議会活動報告です。私の考えをできるだけ率直に述べたつもりです。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。

 3月定例議会本会議の開催予定は3月2(金),5(月),6(火),8(木),9(金),22(木)の6回で、いずれも朝9時30分からです。今回から日程の組み立てが変わります。2は議案の上程と説明、5・6は一般質問、8・9は議案の質疑、22は討論・採決です。

 

平成19年2月5日

 

神谷明彦

E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com

 

 

議会報告の目次に戻る