平成17年6月定例議会報告  (第25号)

 

平成15年4月の統一地方選挙から早2年、もう2期目の任期の半分が過ぎてしまいました。はたして、年間4百万円の議員報酬に見合った仕事をしているのか、自問自答することがあります。

4月から、齋吉男、平林由仁、神谷明彦の無所属議員3人が集まって蒼志会をつくったのは前回お話ししたとおりです。これで議会会派の構成は、自民10+公明3+共産3+蒼志会3+一人会派2の計21名になりました。

5月には、正副議長や委員長などの議会の役員人事や各委員会のメンバーの改選がありました。私は、総務委員会で委員長、合併問題調査特別委員会で副委員長を務めることになりました。議会の役職は、何もしなければハク付けや知名度アップの意味合いくらいしかありませんが、本人がその気になれば、委員会運営や議会運営に影響力を発揮して議会改革に結びつけることができるはずです。蒼志会の他の2人は、若い者にそういった経験を積んで欲しいと言う気持ちから、私を委員長に推薦してくれたのだと理解しています。期待にこたえるべく責任重大です。本会議の根回し会議である議会運営委員会へも私が会派の代表者として出席させていただいています。

広域行政への代表としては、知多中部広域事務組合の議員を務めることになりました。

 

 

6月定例議会が終了しましたので議会報告を致します。本会議は6月7(火),8(水),17(金)の3回開かれました。このうち、7・8は主に一般質問、8の後半は議案の説明・質疑、17は討論・採決でした。

 

 

一般質問

 

 

@審議会・協議会等の行政の諮問機関への住民参加を

 

行政には、さまざまな審議会や協議会等の諮問機関があります。ざっと数えると41組織あるそうです。メンバーは町内の各種団体からのアテ職が大部分で、公募による一般市民は僅かしかいません。意欲ある市民の参加を募り、その力を町政に活用できればと思います。

現在、東浦町として唯一公募枠があるのは環境審議会委員15人のうちの2名のみです。他には、介護保険を運営している知多北部広域連合の公募委員2名の方に、町の老人保健福祉推進協議会と老人保健福祉計画策定委員会の委員をお願いしている例があります。

 

 

町の答弁では、公募は、それぞれの分野で知識・関心を持つ人の中から選考するので有益な意見や指摘が得られたと評価し、今後広く住民の意見をもらうものについては広報やホームページを利用して公募を取り入れていきたいとしながらも、消極的な姿勢が感じられました。

アテ職の場合、団体の活動経験の中から出てくる意見もあるでしょうから、必要性は認めます。しかし、一般市民の公募枠が少な過ぎます。

確かにアテ職ならば行政が割り当てるだけで簡単にメンバーが集まります。反面、自分から積極参加したわけではないので関心がなかったり、一部の人に委員の役が集中したり、行政から補助を受けている団体の長は、行政に対して言いたいことが言えなかったりします。行政が取り仕切る事務局主導では、真の住民意見を諮問することにはならないでしょう。民間の異文化を取り入れて行政を活性化する必要があります。

名古屋市や豊田市では、市民公募を募るだけではなく、審議会を公開にしたり、傍聴者の発言を認めたりして、より市民にオープンなものにしようとしています。高浜市では、都市計画審議会のようなより専門的なものまで市民公募を採用しています。

また、市民の意見がどのように反映されたか、提言者本人にもフィードバックする仕組みが欲しいところです。そうすることが更なる感心や遣り甲斐につながるはずです。

 

今回、自律的、主体的に行政に参加する“Citizen”の意味を込めて、あえて「市民」という言葉を使いました。東浦も、新住民が流入し、大都市近郊の都市型自治体への過渡期にあると思います。

このところ、自治基本条例や住民投票制度など、住民の行政への直接参加をテーマとして取り上げてきましたが、行政の考え方の根底には、住民は無関心、無責任であるといった住民性悪説があるのではと感じることがあります。住民は行政の雇い主であると同時にサービスの受け手です。お客様は悪い人ばかり、雇い主も信用できないでは、公僕による住民サービスは成り立ちません。行政関係者は意識を180度変える必要があります。

一方、住民の側にも、役所が勝手に決めて都合の良いようにやっているといった不信感があります。私は、住民が直接参加する機会を増やすことによって、相互不信を取り除いていけるものと信じています。

 

 

A町のホームページの充実を

 

町のホームページは開設から7年がたちました。ホームページは役場のサービスカウンター、家庭への出張所です。政策情報などのメッセージ性と手続きに関する案内などの利便性を兼ね備える必要があります。この間の成果をどう評価し、今後の改善に結びつけるかを問いました。

行政の答弁では、「開設当初は100%業者委託で作成した。現在、自作のページは50%程度。16年度の月平均アクセス件数は35.8万件。当初は、外部へのPRが主目的だった。地域住民向けの行政辞典としては情報量が少なく、情報の見せ方も一考を要する。」「今後の課題・方向性としては、住民の利便性と行政の説明責任が重点課題。各課が直接情報発信できるように、各課ホームページを今年度準備中。27課全部について暮らしの便利帳を構築したい。」とのこと。

民間のホームページの中には、自治体のホームページを評価したランキングもあります。大事なのは、情報量、更新頻度、わかりやすさ、(検索などの)使い勝手、個性、ニーズにこたえること、楽しくて飽きが来ないこと、などです。

役所の情報は職員のためではなく、市民のための情報です。条例のみでなく要綱や規則もカバーした例規集、町のイベントカレンダー、給食の献立からゴミ収集スケジュールなどの暮らしの情報、市民参加の情報、施策の素案やアンケートの募集、情報公開の窓口などなどさまざまな情報のやり取りが可能になるはずです。

 

 

B親子自然体験教室に工夫を

 

「親子自然体験教室」という牧歌の里への日帰りバスツアーが夏休みに計画されています。しかし、「自然」と称する割にはテーマパークで模擬体験するような要素が強く不自然です。個人や家族でも行くような娯楽的要素も強いように感じます。もっと町事業ならではの家庭ではできない工夫が欲しいところです。

親子自然教室は、昨年度までは「自然と親しむ会」として中央公民館と各地区コミュニティーの共催でした。17年度から中央公民館の単独事業として計画しています。これまでは、モクモク手づくりファーム、ブルーメの丘、山びこの丘などへ行っています。百人以上の参加者の安全面まで考えるとテーマパークを利用せざるを得ないようです。しかし、いくらみんなが喜ぶといっても単なるバスツアーをわざわざ町で主催する必要があるのでしょうか?

参加人数の推移を見ると、人気にかげりもうかがえます。企画を練り直す中で、止めてみようという選択肢もあるのではないでしょうか? 事業は必ずしも継続しなければならない訳ではありません。迷ったら止めてみるのもひとつの選択肢。そうでないと仕事は増える一方です。

 

今まで議員は、行政にあれやれこれやれと要求して、行政の仕事をひたすら増やしてきました。これからは、事業の取捨選択を提言していかなければならないと思います。

 

 

C近隣市(知多北部3市)との交流事業は

 

合併検討中の3市とは小規模な人事交流以外に事業等の実績レベルでの交流はないようです。例えば、産業まつりやヤングフェスティバルなどの行事を合同で行ったり、他市の行事に積極参加するなどの試みがあっても良いのではないかと思います。

合併とはどういうことか、住民にとっても机上の協議よりも実感が湧くのではないでしょうか。荒っぽい言い方かもしれませんが、市町合併、広域交流を踏まえた一種の社会実験です。

幸い?他市でも類似の行事を同じ時期にやっているケースがあります。産業まつりは、名称は多少異なりますが、10月の末から11月にかけて各まちで同種の行事を開催しています。若者向けの音楽会もヤングフェスティバルとかパフォーマンスライブと称して知多市を除いて行われています。合同でやればもっと楽しくなりそうです。以前マラソン大会を一緒にやらないかという話もあったそうです。

行政は、「同感なので、検討課題とする。3市1町で構成する知多北部連絡会で投げかけてみたい。」とのこと。

 

 

議案審議

 

 以下の議案が審議されました。

 

@収入役の選任(長坂幾夫氏の後任に久米光之氏)

A人権擁護委員の推薦(加藤壽芽氏の後任に神谷昌宏氏、増員で梶川達彦氏)

B農業委員の推薦(戸田和正、深谷公信、竹内稔の3氏を議会から推薦)

C平成17年度老人保健特別会計補正予算の専決処分の承認(前年度繰上げ充用金4370万円を国・県の負担金で手当て)

D消防団員等公務災害補償条例の一部改正(政令の改正に伴う規定の整理)

E非常勤消防団員に係る退職報償金の支給に関する条例の一部改正(法律施行令の改正に伴い、中堅層を一律2千円アップ)

F平成17年度一般会計補正予算(寄付金5百万円を交通安全設備と障害者福祉基金へ)

G役場庁舎増築工事請負契約の締結(玄関ホール兼エレベーター棟の増築,9177万円,竹中工務店)

H町道路線の廃止(緒川申新田弐区〔都市計画道路緒川東西線整備〕地内、石浜三ツ池・菰蓋〔県営住宅建替え〕地内)

I町道路線の変更(森岡栄南〔工業団地整備〕地内)

J町道路線の認定(森岡栄北〔工業団地整備〕地内)

Kすべての勤労者の賃金・労働条件の引き上げ等に関する意見書

 

@は、長坂幾夫収入役が任期満了で退任。建設部長の久米光之氏が定年まで9ヶ月を残して早期退職し収入役に就任します。

Fは、現在の正面玄関車寄せ部分を解体して、鉄骨3階建ての玄関ホール兼エレベーター棟を継足す工事です。延べ床面積93坪ですから、単純計算で坪単価100万円かかります。役場庁舎は37年前に竹中工務店が建設しました。偶然?にも、15年度に施工した庁舎の耐震補強も今回のエレベーター棟増築も同じ竹中工務店が落札しました。

Kは、共産党の提案で、国に対し、最低賃金を生活保護基準以上に引き上げること、官公需に携わる労働者の賃金を確保すること、パートと正規労働者を均等待遇にすることを求めるものです。

採決では、@については共産党が人事に異論があるとして採決を棄権しましたが、その他の賛成で可決。Kは共産党のみの賛成で否決。ほかの議案については、全会一致で可決されました。

 

 

合併問題・・・新市都市ビジョン案が発表になりました

 

知多北部任意合併協議会は、合併後のまちづくりについて住民公募のワークショップで出し合ったアイディアを基に「新市都市ビジョン案」を作成しました。その発表会が7月3日に、あいち健康プラザで開かれました。会場に行ってみると、役所の職員に自主参加の動員がかかっていたらしく、知った顔でいっぱいです。(もちろん合併は役所の職員にも関係のあることなので、職員が発表会を聞きに行くことは決して悪いことではありません。)それにしても、住民の関心がイマイチ盛り上がっていないのは否めません。

7月9日からは、各地区公民館でタウンミーティングが始まりました。合併についての説明のあとに住民の皆さんの疑問にお答えしようという企画です。町内で各地区1回ずつ、計6回の開催が予定されていますので、ぜひ御参加ください。議会の合併問題調査特別委員会では、各地区1回ずつでは不十分として拡大を要望しましたが、残念ながら実りませんでした。大勢の聴衆の前で質問するのは少しばかり勇気の要ることですが、先入観を抜きにして素朴な質問をしてみてはいかがでしょうか?

任意合併協議会は、タウンミーティングで、住民の皆さんからいただいた意見を基に、新市都市ビジョン案を修正したものを11月に各戸配布。そして、12月に住民の約5%を対象にした住民意識調査(無作為抽出のアンケート調査)を実施。その結果を踏まえて、法定合併協議会を設立して合併の具体的な協議に進むかどうかを判断するとしています。早ければ、来年3月には我々議員も、具体的な合併協議に進むか否かの判断を迫られることになるかも知れません。

 

タウンミーティングの開催スケジュール(町内のみを抜粋)

7月 9日(土) 14:00〜

森岡公民館

7月16日(土) 19:00〜

緒川公民館

7月23日(土) 19:00〜

文化センター

7月30日(土) 14:00〜

生路公民館

8月 6日(土) 14:00〜

南部ふれあいセンター

8月27日(土) 14:00〜

新田公民館

 

 

主権者としての住民の権利・・・直接請求権とは?

 

日本の地方自治は間接民主主義を基本にしていますが、地方自治法では、住民は直接請求(直接民主主義的手法)により行政に対して様々な注文が出せるようになっています。

地方自治法に基づく直接請求には、どんなものがあるのでしょうか。調べてみました。

 

1)条例の制定・改廃の請求

有権者の1/50以上の署名を集め、首長に条例(地方税や手数料の賦課徴収に関するものを除く)の制定・改廃を請求すると、首長は、意見をつけて議会に付議しなければなりません。あくまで提案権のみで、結果は議決によります。

2)事務監査の請求

有権者の1/50以上の署名を集め、監査委員に対し行政事務の監査を請求すると、監査委員は監査を実施し、結果報告をしなければなりません。

3)議会の解散の請求

有権者の1/3(人口40万人以下の場合)以上の署名を集め、選挙管理委員会に対し議会の解散請求をし、投票で過半数の同意が得られれば、議会は解散します。ただし、改選後1年間は解散請求できません。

4)議員・首長の解職の請求

有権者の1/3(人口40万人以下の場合)以上の署名を集め、選挙管理委員会に対し議員・首長の解職請求をし、投票で過半数の同意が得られれば、議員・首長は職を失います。ただし、就任(無投票当選は除く)から1年間は、解職請求できません。

5)役員の解職の請求

有権者の1/3(人口40万人以下の場合)以上の署名を集め、首長に対し助役、収入役、議会の解散請求をし、議会で3/4の同意が得られれば、役員は職を失います。選挙管理委員、監査委員、教育委員、農業委員などについても個別法で解職請求の対象になります。

 

その他に、住民監査請求といって、行政に財務会計上の違法・不当な行為があると認められるとき、監査を請求し、行為の是正や損害の補填を求める制度があります。署名集めは不要で、1人でも住民監査請求は可能です。

また、比較的新しい制度として、合併特例法に基づき、有権者の1/50以上の署名を集め、関係市町村の首長に対し合併協議会設置の請求をすることができます。

以上は、いずれも発議するのみで、結果は議決や投票に委ねられることになりますが、その気になれば住民は直接請求権を行使できるようになっています。

 

 

これはあくまでも私個人の考えを率直に述べたものです。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。

9月定例議会本会議の開催予定は9月6(火),7(水),8(木),9(金),21(水)の5回で、いずれも朝9時30分からです。6・7は一般質問、8・9は議案の説明・質疑、21は討論・採決です。

 

平成17年7月19日

 

神谷明彦

E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com

 

 

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