平成11年6月定例議会報告 (第1号)
6月定例議会が終了しましたので議会報告を致します。本会議(議場での一般質問・議案の審議)は6月10・11・21日と3回開かれました。
因に、議会会派の構成は、自民系13名+公明3名+共産3名+社民・民主系3名+自民系無所属1名、それと私で計24名。幸い大会派に所属せず一人で会派を作っているため、議会運営委員会(本会議のための根回し会議・脚本(議事進行スケジュール)決定会議で、会派の代表者のみ出席可能)に出られます。但し、一人会派のため傍聴のみで発言は許されていません。傍聴のみでも議会の舞台裏を一応把握することができます。もし本会議しか出席しなかったら議会で何が起こっているのかさっぱり理解できないものと思います。
委員会は産業建設委員会と総合交通体系調査特別委員会に所属しています。総合交通体系調査特別委員会では町営バス運行のあり方について調査・提言を行っていく予定です。また、議会広報編集委員会にて「議会だより」の編集にも携わっています。
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6月10・11日と本会議がありました。10日は傍聴席はほぼ満席、11日は午後から傍聴者1名と寂しい中、私の一般質問の順番が来ました。一般質問は、あらかじめ質問内容を行政側に通告せねばなりません。行政はこれに基づいて答弁書(セリフ)を作成し本会議で回答することになっています。
質問は以下の3点。
@ 里山の保存について
東浦町でも里山と呼べる所は、もう2カ所程しか残っていません。しかも一つは、工場の、もう一方は宅地の開発計画が持ち上がっています。いずれも町としては、「緑地」を設けるつもりはあっても里山の自然を残す強い意志は無いとのこと。
<補足> 我々はこれまで、「日本の原風景」と呼ぶべきものをあまりにも粗末にしてきました。「里山」と言うのは「木」が何本か生えているだけではなくて、例えば知多半島の場合、水源の山林(雑木林)があってそれに続く谷筋にため池や水田がセットになっています。そこには当然、水や生態系の循環があるわけで、部分を捉えるのではなく系全体を捉える視点が必要かと思います。保存するとすれば少なくとも2つの尾根と1つの谷を含むある程度厚みのある区域になります。面積的には10〜20ha程度でしょうか。そんな場所は町内ではもう2カ所しかありません。しかし、1カ所はSTLCDの工場の拡張が確実だし、もう1カ所は宅地開発の計画が持ち上がっているし、結局消えて無くなる運命にありそうです。わたしは開発が悪いと言うつもりはありません。櫛の歯が欠けるような無秩序な開発に反対しているだけです。残すべきところは残し、有効利用すべきところは有効利用する、メリハリのある都市計画を考えるべきです。最近、何かにつけてオオタカが話題になって、開発工事が中断したりしています。そして、営巣の期間中、工事を自粛するとか騒音を抑える等の対策がとられていますが、そもそもオオタカ単体を考えるのではなく、何故そこに食物連鎖の頂点に立つオオタカが住んでいるのかと言う事に思い至るべきでしょう。系全体の環境を手つかずのまま保存する発想が必要です。
それでは里山を保存するにはどうすればよいのでしょうか。@町が買い取る、A長期で借上げる、B地主が町に寄付をする、C強力な規制を敷く、D自然保護団体が買い取る等幾つか考えられますが、@は予算の問題があります。ACは地主の権利が侵害されます。固定資産税や相続税の減額があって然るべきでしょう。また、BDは市民のボランティア精神に頼らざるを得ません。どれも一長一短ですが、なにか名案はありませんか?
A ゴミ問題に関する啓蒙・教育について
三つ子の魂百までも!将来を担う子どもたちを対象に、特に保育園・小中学校にて積極的に展開すべきとの意見に町も賛成。
<補足> ここで私が強調したいのは、ゴミ問題はつまるところ我々一人一人の意識の問題だと言うことです。大人の意識改革ももちろんせねばなりませんが、いちばん手っ取り早いのは、やはり無垢なひとたちです。まあ、一種の洗脳ですね。
B 市街地と366号バイパスとのアクセスについて
南北軸に比べて東西軸の弱さを指摘、生路・藤江地区にアクセス道路の必要性を訴えたが、踏切拡幅の困難を理由に消極的な答弁。
<補足> 今の町政は、市政施行をめざして緒川に注力していますが、どうも生路・藤江には冷たい。私なりに考えて、生路・藤江地区にはアクセス道路が不可欠と思うのですが、あまりしつこく言うと、地元への利益誘導と勘ぐられそうです。
東浦町議会では、一般質問の時間制限は無し、質問と答弁のキャッチボールは3回までです。今日は応酬2回までは一応議論になっていましたが、3回目は双方とも「質問」「答弁」になっていませんでした。キャッチボール無制限なら軌道修正のチャンスがあったと思うのですが。少々残念です。
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21日の本会議は、下記の7つの議案と3つの意見書の審議をします。
@議案 石浜にオープン予定の「郷土資料館条例」の制定(使用料等の取り決め)
A議案 「消防団員等公務災害補償条例」の改正
B議案 「消防団員に係る退職報償金の支給に関する条例」の改正
C議案 平成11年度一般会計補正予算(寄付、雑収入、訴訟費用)
D議案 生路児童館建設工事請負契約の締結(東浦土建)
E議案 於大公園サイクルセンター新設工事委託協定の締結(住都公団)
F議案 土地改良に係わる所有権移転登記を求める訴訟の提起
G意見書 知多半島の上水の水源を長良川河口堰から木曽川に戻すことを求める意見書
H意見書 介護保険法の円滑な実施に関する意見書
I意見書 安心と信頼の社会保障の拡充を求める意見書
@〜Fの議案はいずれも町側の提案です。すでに各常任委員会にて審議済みで、「異議無し」で可決される見通しです。F〜Hは議会会派からの提案です。HIは「異議無し」ですが、唯一議論になりそうなのがGで、共産党以外の会派は反対の立場です。何れにしろ起立による採決で否決されることになります。
問題は、否決されることは判っていても、私自身の態度を決めねばなりません。実は未だ態度を決めかねています。まず水質データですが、きょう共産党の議員さん、新政連の議員さん、そして町の水道課からデータをもらってきました。さっそく共産党の議員さんからは大いに「期待」されて、水道課長さんからは懇切丁寧に説明をして戴きました。さてさてどちらについて良いやら。それぞれのデータの出所は同じで(県の測定)、食い違いはありませんでした。まだ詳しい解析はしていませんが、ざっと見たところ、木曽川と長良川河口堰の水質を比べると、長良川河口堰の方が若干有機物、アンモニア性窒素、残留物等が多いようです。でも有意な差異があるかどうかはわかりません(これはデータを解析すればわかる。)。また、有意差があってもそれが人体に影響を及ぼすかどうかは、恐らく誰にもわからないと思います。結局、木曽川の馬飼堰の水と長良川の河口の水のどちらが飲みたいかと言う好みの問題になってしまいます。(愛知用水の水は元々すべて木曽川の中流部・兼山ダムから取水していたのですが、昭和55年頃、東浦以南の上水は木曽川の下流部・馬飼堰からの取水に切り替わりました。さらに平成10年、東浦以南の上水は長良川の最下流の水に切り替わったのでした。でも大府以北の上水は今でも100%ピュアな木曽川中流のお水ですのでご安心下さい。)私個人としては木曽川の水の方が好きなのですが、では個人の嗜好を議会に持ち込んで良いかどうかが疑問です。又それとは別に、水利権の問題があります。農業用水や工業用水の水は実際には余っていると言われています。その余った分を上水に回せば、長良川の水は必要ないという考え方があります。(いわば、ソフトで解決すべき水利権の問題を莫大な税金を投入して河口堰というハードに頼るとはけしからんと言う意見です。)それから、まずは川の上流のよりきれいな水を人間が飲んで、農業用や工業用は後回しにするという考え方もあるでしょう。(製品に不良が出ると問題なので、工業用水は水質を変えられないという話もありますが・・・。)でも、河口堰が出来る以前ならいざ知らず、既に長良川の水に切り替わっているにもかかわらず、元に戻せと強引に主張する意味はあるのでしょうか??
以上を整理すると、@私は木曽川の水が好きだ。A水利権の調整をすれば、木曽川の水で充分。B既に長良川の水でうまくいっているのをわざわざ手間を掛けて元に戻すメリットはあるのか。となります。さてどちらにしましょうか。
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6月21日朝、議員控室に行くとさっそく自民党系会派の方から「反対討論に連名で加わってもらえるよねー。」と誘われましたが、「迷ってますのでやめときます。」とお断りしました。次いで議席に着くや否や、他の議員さんから「迷ってるんだったら採決のとき起立しなければいいんだから。そうすれば賛成は共産党の3人だけだ。」と言われました。私にしてみれば、どうせ否決されるのに21対3でも20対4でも大差はないのにと些か不思議に感じましたが、ともあれ、気遣ってアドバイスして戴けるのは有難いことです。
さて、問題の「知多半島の上水の水源を長良川河口堰から木曽川に戻すことを求める意見書」の審議が始まると、共産党が賛成討論、公明と自民が反対討論に立ちました。私はその度に内心賛否を二転三転しましたが、最後に賛成することに決めました。ただ、黙って賛成して誤解されるのも心外なので、私も賛成討論で意見を述べることにしました。要旨は以下の通りです。
木曽川の水も長良川の水も他の大都市圏の水と比べれば良質で、河口堰の水を健康に害があると断定することはできません。しかし、それぞれの取水口の水質を総合的に比較すると、兼山ダム(木曽川中流)、馬飼堰(木曽川下流)、長良川河口堰の順に悪くなっています。下流ほど水質が悪いのは当然のことです。一方、近年、きれいな水、おいしい水に対する関心は、日増しに高まっており、ここに居られる皆さんのかなりが家庭用の浄水器を使用しているものと思います。こんな中で、手の届く所によりきれいな(木曽川の)水があるにもかかわらず、それを飲むことが出来ないのはとても残念なことです。それも、河口堰のようなハードに頼ることなく、役所のソフトで解決する余地があるのなら、その検討を求めることは極めて自然なことではないでしょうか。よって私は、意見書案に賛成いたします。
論理的と言うよりは、かなり情緒的な内容ですが、私の素直な気持ちを述べたつもりです。幸いなことに、終わってから、他の議員さんからも「今日は活発な議論が出来て良かったよ。」と言われてホッとしています。黙って賛成したら不気味だったかもしれません。
参考までに各取水口の水質データを私なりに加工したものを添付します。下のグラフは、生データをバラツキの大きい項目と各取水口同士で差の無い項目を除き、並べ替えたものです。比較しやすいよう兼山の数値を100としました。これを見ると長良川の水がかなり危なく見えてきます。ご承知の通り、データは加工次第で如何様にも見せることが出来ます。勿論、いずれも基準値をはるかに下回っており「安全な」水です。
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いまのところ、出だしはこんなもんです。アドバイス等いただければ幸いです。尚、これはあくまでも私個人の目から見た議会活動報告です。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望等何なりとお気軽にお寄せください。
9月定例議会本会議の開催予定は9月13・14・16・17・18・28日の6回で、いずれも朝9時30分からです。
特に18日土曜日は、皆さんがより傍聴しやすいように初の土曜開催を計画中です。私も、そろそろ次の一般質問を考えなくてはなりません。何か良いネタがありましたら教えてください。「盗用」させていただきます。
以上
神谷明彦
E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com
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