上水道の水源問題

 

知多半島の上水道の水は元々すべて木曽川の中流部・兼山ダム(愛知用水)から取水していたのですが、その後、東浦以南の上水道は木曽川の下流部・馬飼堰からの取水に切り替わりました。そしてさらに平成10年、東浦以南の上水道は長良川河口堰の水に切り替わったのでした。住民からは、水がまずくなった、においが気になるなどの声が出ています。

本コーナーでは、議会で発言したことなどを中心に、上水道の水源問題に対する私の考えを紹介したいと思います。

 

 

議員になって初めての議会・・・意見書案にどう対応するか?   平成11年8月4日

 

共産党から「知多半島の上水の水源を長良川河口堰から木曽川に戻すことを求める意見書」の提案がありました。共産党以外の会派は反対の立場です。いずれにしろ起立による採決で否決されることは確実です。

問題は、否決されることは判っていても、私自身の態度を決めねばなりません。実は未だ態度を決めかねています。まず水質データですが、きょう共産党の議員さん、新政連の議員さん、そして町の水道課からデータをもらってきました。さっそく共産党の議員さんからは大いに「期待」されて、水道課長さんからは懇切丁寧に説明をして戴きました。さてさてどちらについて良いやら。それぞれのデータの出所は同じで(県の測定)、食い違いはありませんでした。まだ詳しい解析はしていませんが、ざっと見たところ、木曽川と長良川河口堰の水質を比べると、長良川河口堰の方が若干有機物、アンモニア性窒素、残留物等が多いようです。でも有意な差異があるかどうかはわかりません(これはデータを解析すればわかる。)。また、有意差があってもそれが人体に影響を及ぼすかどうかは、恐らく誰にもわからないと思います。結局、木曽川の馬飼堰の水と長良川の河口の水のどちらが飲みたいかと言う好みの問題になってしまいます。(知多半島の上水道の水は元々すべて木曽川の中流部・兼山ダム(愛知用水)から取水していたのですが、昭和55年頃、東浦以南の上水は木曽川の下流部・馬飼堰からの取水に切り替わりました。さらに平成10年、東浦以南の上水は長良川の最下流の水に切り替わったのでした。でも大府以北の上水は今でも100%ピュアな木曽川中流の水です。)私個人としては木曽川の水の方が好きなのですが、では個人の嗜好を議会に持ち込んで良いかどうかが疑問です。又それとは別に、水利権の問題があります。農業用水や工業用水の水は実際には余っていると言われています。その余った分を上水に回せば、長良川の水は必要ないという考え方があります。(いわば、ソフトで解決すべき水利権の問題を莫大な税金を投入して河口堰というハードに頼るとはけしからんと言う意見です。)それから、まずは川の上流のよりきれいな水を人間が飲んで、農業用や工業用は後回しにするという考え方もあるでしょう。(製品に不良が出ると問題なので、工業用水は水質を変えられないという話もありますが・・・。)でも、河口堰が出来る以前ならいざ知らず、既に長良川の水に切り替わっているにもかかわらず、元に戻せと強引に主張する意味はあるのでしょうか??

以上を整理すると、@私は木曽川の水が好きだ。A水利権の調整をすれば、木曽川の水で充分。B既に長良川の水でうまくいっているのをわざわざ手間を掛けて元に戻すメリットはあるのか。となります。さてどちらにしましょうか?

 

6月定例議会最終日(採決の日)の朝、議員控室に行くとさっそく自民党系会派の方から「反対討論に連名で加わってもらえるよねー。」と誘われましたが、「迷ってますのでやめときます。」とお断りしました。次いで議席に着くや否や、他の議員さんから「迷ってるんだったら採決のとき起立しなければいいんだから。そうすれば賛成は共産党の3人だけだ。」と言われました。私にしてみれば、どうせ否決されるのに21対3でも20対4でも大差はないのにと些か不思議に感じましたが、ともあれ、気遣ってアドバイスして戴けるのは有難いことです。

さて、問題の「知多半島の上水の水源を長良川河口堰から木曽川に戻すことを求める意見書」の審議が始まると、共産党が賛成討論、公明と自民が反対討論に立ちました。私はその度に内心賛否を二転三転しましたが、最後に賛成することに決めました。ただ、黙って賛成して誤解されるのも心外なので、私も賛成討論で意見を述べることにしました。要旨は以下の通りです。

木曽川の水も長良川の水も他の大都市圏の水と比べれば良質で、河口堰の水を健康に害があると断定することはできません。しかし、それぞれの取水口の水質を総合的に比較すると、兼山ダム(木曽川中流)、馬飼堰(木曽川下流)、長良川河口堰の順に悪くなっています。下流ほど水質が悪いのは当然のことです。一方、近年、きれいな水、おいしい水に対する関心は、日増しに高まっており、ここに居られる皆さんのかなりが家庭用の浄水器を使用しているものと思います。こんな中で、手の届く所によりきれいな(木曽川の)水があるにもかかわらず、それを飲むことが出来ないのはとても残念なことです。それも、河口堰のようなハードに頼ることなく、役所のソフトで解決する余地があるのなら、その検討を求めることは極めて自然なことではないでしょうか。よって私は、意見書案に賛成いたします。

論理的と言うよりは、かなり情緒的な内容ですが、私の素直な気持ちを述べたつもりです。幸いなことに、終わってから、他の議員さんからも「今日は活発な議論が出来て良かったよ。」と言われてホッとしています。黙って賛成したら不気味だったかもしれません。

参考までに各取水口の水質データを私なりに加工したものを添付します。下のグラフは、生データをバラツキの大きい項目と各取水口同士で差の無い項目を除き、並べ替えたものです。比較しやすいよう兼山の数値を100としました。これを見ると長良川の水がかなり危なく見えてきます。ご承知の通り、データは加工次第で如何様にも見せることが出来ます。勿論、いずれも基準値をはるかに下回っており「安全な」水です。

 

水源の水質比較(平成9年度の年間平均)

 

 

 

一般質問の報告(上水道の水源を木曽川に)   平成13718

 

平成11年6月定例議会で指摘したように、長良川河口堰の水は木曽川兼山取水口の水に比べて、汚れています。(グラフ岐阜市などの生活廃水を考えれば汚いのは当然)

水源の水質比較(平成10年度の年間平均)

木曽川の水も長良川河口堰の水も知多浄水場まで導水されており、かつ上水道の水は木曽川に切り替えられる構造になっています。(実際、平成12年9月26日、郡上八幡(長良川上流)でトラックが川に転落し積荷の化学薬品が流出した際には、木曽川の水に切り替えられています。)農業用水と工業用水には従来通り木曽川の水が使われており、上水道には長良川河口堰の水が使われています。きれいで美味しいと言われる水を土に撒いたり工場の冷却水に使ったりして、一方で、より汚くてまずいと思われる水をわざわざ人間が飲むのは納得がいきません。

一回目の答弁では、「現行の上水道の水は国の水質基準を満たしている。」「水源の変更には、国や県などの関係機関や利害関係者との調整が必要で、実現困難。」とのこと。

しかし、水質基準さえ満たしていれば良いという問題ではありません。二つの水源が選択可能ならば、少しでもきれいな水、少しでも美味しい水を飲料水として求めるのが当然ではないでしょうか。昨今、家庭用の浄水器やペットボトルのミネラルウォーターが爆発的に普及しました。これは取りも直さず、美味しい水きれいな水に対する関心が非常に高まっているからだと思います。にもかかわらず、「関係者との調整が面倒臭いからやらない」では全く行政の怠慢です。

水利権の調整は、全国的なテーマです。国土庁の水資源白書では「用途間をまたがる水の融通」、中経連や名古屋商工会議所も国に「水利権の適正な再分配」を提言しています。埼玉県では、飲料水の1/3を農業用水から融通してもらっています。水利権の見直し、あるいは、農業用水や工業用水から上水道に水を分けてもらうことはできないのでしょうか。分けてもらうことができなければ、水利権の売買や交換はどうでしょうか。カリフォルニアでは「ウォーターバンク制度」により水利権の売買が行われているそうです。しかし、単価の高い(河口堰の建設費を返していかなければならない)長良川の水の引受手は見つからないかも知れません。それでは、「水源のスワップ(私の勝手な命名)」はどうでしょうか。木曽川と長良川の使用量は全く同じで、水源のみを入れ替えてしまうのです。使用量が変わらなければ水に色が付いているわけではないので、水利権の問題は発生しないのではないでしょうか? 知多浄水場では工業用水に木曽川の水が6.36m3/秒、上水道に長良川の水が2.86m3/秒 使われています。このうち互いに2.86m3/秒を入れ替えるわけです。(概念図:水源スワップの概説)

ハンセン病の判決で、問題があることを知りながら何も対処をしなかった立法府の責任が指摘されましたが、愛知用水の水源についても今のまま何もしないのは行政と議会の落度と言われてもしかたがないのではないでしょうか。再答弁で町長は、問題は承知しており、今後とも粘り強く国や県に働きかけていくと明言しました。

水源スワップの概念図

 

 

一般質問の報告(上水道の水源を木曽川に・・・周辺市町と共に国・県に働きかけを!)   平成14721

 

平成13年6月定例議会では、長良川河口堰と木曽川の水質の違いを示して、飲料水にはよりきれいで美味しい水を求めるのは当然であると述べました。おとなり半田市の榊原市長は昨年「上水道の水源を木曽川に」を公約に掲げ当選。近隣市町と共同歩調を取って県に働きかけをしたいと表明しています。市長の呼びかけに応じて、木曽川の水を求めていくときが来たのではないかと町の姿勢を問いました。

行政の答弁は、「渇水を避けて安定供給を受けるためには河口堰の水は不可欠」「水利権の調整は困難」「他の関係市町の動向を見て考える」と相変わらずの消極的姿勢でした。

私は、河口堰からの取水を止めろとは一言も言っていません。木曽川と長良川河口堰を合わせれば水は十分足りています。問題はその配分です。よりきれいな木曽川の水を飲料水に供給して、長良川河口堰の水を工業用水や農業用水に回すのが当然なはずです。

以前にも触れましたが、水利権のやり取りをしなくても木曽川の水を飲む方法があるのではないでしょうか。木曽川と長良川河口堰の両方の水は知多浄水場まで来ているのですから、工業用水に使われている木曽川の水(毎秒6.36㎥)から毎秒2.86㎥を上水道に分けてもらい、上水道から河口堰の水(毎秒2.86㎥)を工業用水に返せば、見かけ上、水の出入りは発生しません。河口堰の費用負担は、従来どおり上水道の側で責任を持てば良いわけで、誰にも迷惑をかけずに、木曽川の水を飲むことが出来ると思うのです。こう言ったアイディアがどこからも出て来ないのは不思議なことです。

町長の答弁では、「愛知用水を引くにあたり、知多半島が木曽川の水利権に割り込んでいった歴史的負い目は簡単に解消しない。半田市長からは、まだ直接呼びかけを受けていない。正式な呼びかけがあった時点で、適切な判断をする」とのこと。

何かにつけて、出来ない、困難だと言いますが、可能性を阻んでいるのは役所的発想そのものではないかと思います。過去の経緯にこだわってばかりでは、何も進展はありません。

知多半島の保守系あるいは無所属の議員の中にも同様の主張をする人が出てきています。東浦町の保守系議員の中にも内心は同感の人たちもいると思います。上水道の水源問題は、もはや保守vs.革新の問題ではなく、普遍的・一般的要求なのです。多くの住民の皆さんが、再び木曽川の水を飲める日を待ちわびているのは言うまでもないことです。

 

知多浄水場に建設中の活性炭投入装置

知多浄水場では、現在、新たな活性炭の投入装置が建設中。

活性炭の投入は長良川河口堰からの取水が始まってから日常的に行われるようになった。

 

 

 

一般質問の報告(上水道にはきれいでおいしい木曽川の水を)   平成18年10月11日

 

長良川河口堰完成後、知多半島東浦以南に供給する知多浄水場の水源は木曽川中流の兼山取水口を水源とする愛知用水の水から、長良川河口堰の水に切り替えられました。それ以来、マズイ、クサイという苦情があったにもかかわらず、私たちは河口堰の水を飲んでいます。たくさんの人たちが、早く木曽川の水に戻して欲しいと願っています。

知多浄水場には、木曽川の水と河口堰の水を両方供給できるようになっています。それなのに、飲料水には河口堰の水、工業用水や農業用水には木曽川の水では、納得がいきません。河口堰の水は、非飲用水に振り向け、よりきれいな木曽川の水を飲料水に優先して供給するのが当然ではないでしょうか。

水源の水質比較(平成16年度の年間平均)

※水質を相対的に比較したもの。両水源とも水道水の水源としては問題ない。

 

<河口堰の水質が劣っているのは当然>

水質データを見ると、窒素、リンなど、多くの項目で長良川河口堰の水のほうが劣っています。劣っているのは当然のことで、長良川の最下流の河口で取水しているからです。長良川の流域人口は85万人。岐阜市などの生活廃水や産業廃水が含まれています。

<それをわざわざ知多浄水場で活性炭処理>

知多浄水場では、活性炭を投入することによって、河口堰の水を上野浄水場の木曽川の水と同等レベルまで浄化しています。最初から、木曽川の水を使えば、浄水場の薬剤投入も少なくて、きれいでおいしい水が手に入るはずです。

<工業用水と上水道の水を交換すれば>

知多浄水場で使っている河口堰の水を工業用水にまわして、工業用水に使っている木曽川の水を同量上水道にまわせば、知多半島の人たちは木曽川の水を飲むことができるのです。水の帳尻が合っていれば水利権争いが問題になることもないと思います。

<既に行われている水の融通>

現に、知多浄水場、上野浄水場では、木曽川と長良川河口堰のブレンド設備があり、緊急時には必要に応じて水を融通しあっています。また、水の原価は同じではないので、差額決済しているかといえば、実際には等価交換しているそうです

ならば、水を交換することに何ら問題はないはずです。役所は、あくまでも「緊急」と言い訳していますが、恒常的にできないと言い張る理由が理解できません。

<役所の頭が固いだけ。もっと柔軟な対応を>

町長も水道部長も、機会ある毎に県へ要望すると言いつつ、水利権が絡んでおり実現は困難との立場です。

工業用水と飲料水の水源の交換については、既得権を持つ水利権者が特段の不利益を受けるとも思えません。ぜひ関係者がテーブルに着いて話し合って欲しいものです。

 

水源変更の概念図(知多浄水場で河口堰と木曽川の水を交換できないか?)

 

 

上水道の水源問題が新聞記事に載りました   平成18118

 

2006年11月7日付 中日新聞知多版記事「木曽川VS長良川河口堰」

昨日の中日新聞知多版に”木曽川vs長良川河口堰”と題して、上水道の水源問題が載りました。先週取材を受けたものがそのまま記事になりました。

 カラー刷りでしっかり書いてあります。読みごたえのある記事です。
私の主張は、ほぼ正確に表現されていますし、県の主張も(私の知る限り)記事のとおりだと思います。
皆さんが考えるきっかけになってくれればと期待しています。

 ただし、県(浄水場)の主張するように「生物浄化作用」を拠り所にして「だから河口堰の水は遜色ない」というのは、かなり乱暴な話だと思います。
 県は、「確かに取水口ではアンモニア性窒素の濃度に差があるものの、水路管の中を浄水場まで運ばれてくるうちに管内の微生物によって消費されてしまうため、ほとんど水質に差がない」と言っています。これについては町議会の一般質問でも同じやり取りがありました。
 アンモニアがバクテリアなどにより代謝されれば、通常、亜硝酸や硝酸などの窒素酸化物が生成します。したがってアンモニア性窒素は減っても窒素分としてはそれほど減っていないはずです。(窒素ガスとして大気中に逃げるか、水路管内に付着して残るかしなければ、大幅な減少はありえません。)
 それから、アンモニア性窒素以外で「生物浄化作用」は確認されているのでしょうか? 河口堰の水質で木曽川と違いがあるのはアンモニア性窒素だけではありません。総リン分がどうなっているか、総窒素分がどうなっているのか、トータルで考えるべきです。

 また、県が水源変更をしようとした場合(実際の問題は変更しようとしないところにあると思うのですが・・・)本当に水利権が障害になるのでしょうか?
 愛知用水の水利権は、牧尾ダムや(後に建設した)味噌川ダム、阿木川ダムにあります。しかし、木曽川を流れ下って、結果として兼山取水口で取り入れている水には、阿寺川の水も落合川の水も付知川の水も含まれているのです。水には色はついていないのです。工業用水の水に長良川の水が混ざっていたとしても、何ら問題はないと思いますがいかがでしょうか?
 水源を交換しても、水量の帳尻が合っていれば(差し引きゼロならば)、水利権をことさら問題にするのはむしろ不自然です。意地でも長良川の水を飲んでもらわねばならない訳でもあるのかと勘ぐってしまいます。

 飲料水については、近年、家庭用の浄水器やミネラルウォーターの売り上げが伸びていることからしても、市民の一大関心事だと思います。
 そんな中で、目の前に来ている(木曽川の水も河口堰の水も浄水場の敷地内に来ているのです)より良好な水源を選ぶこともできないのは、本当に残念なことだと思います。
 コストもかからず(ダムを一つ作れば何百億から何千億円のお金が要ります)、パイプの中を流れる水を切り替えるだけで、豊かな気持ちになれるのであれば実行すべきです。
 私も、学生時代やサラリーマン時代、愛知県に帰省するたびに「なんてお水がおいしいんだろう」と感動したものです。木曽川の水は愛知の誇れるもののひとつです。

 できない理由を並べ立てるのではなく、当事者(水利権者・事業者)同士が話し合った上で水源を切り替えれば、誰も損を被るわけではないし、みんなが満足すると思うのですが・・・。
行政サービスに携わる側からそういう発想が出てこないのが不思議です。

 

 

「上水道の水源を長良川河口堰から木曽川にもどすことを求める意見書」を提案!   平成19210

 

前回報告した通り、9月定例議会では、一般質問で上水道の水源の問題を取り上げました。12月定例議会では、「上水道の水源を長良川河口堰から木曽川にもどすことを求める意見書」を提案することにしました。意見書の文案は以下の通りです。

 

上水道の水源を長良川河口堰から木曽川にもどすことを求める意見書(案)

 

知多半島東浦以南に飲料水を供給する知多浄水場の水源は、元々、木曽川中流の兼山取水口で取水された愛知用水の水だった。これが、後に木曽川下流の馬飼大堰に切り替えられ、さらに、長良川河口堰完成後の平成10年には、長良川の河口の水に切り替えられた。それ以来、まずい、臭いという苦情があったにもかかわらず、長良川河口堰の水が供給されている。多くの住民が、早く木曽川の水に戻してほしいと望んでいる。

知多浄水場では、木曽川の水と長良川河口堰の水を両方供給できるようになっている。にもかかわらず、飲料水には長良川河口堰の水、工業用水や農業用水には木曽川の水が依然として供給されている。長良川河口堰の水は、非飲用水に振り向け、よりきれいな木曽川の水を飲料水に優先して供給するのが当然と考える。具体的には、長良川河口堰の水を工業用水にまわして、工業用水に使っている木曽川の水を同量上水道にまわせば、使用水量の過不足を生ずることなく知多半島に木曽川の水を飲料水として供給することができる。

愛知県は、長良川河口堰のおかげで安定した水供給ができるようになったと言っているが、私たちはそれを否定してはいない。長良川河口堰の完成で余裕のできた木曽川(愛知用水)の水を飲料水に優先的にまわすべきだと言っているだけだ。多大なコストをかけることなく、パイプの中を流れる水を切り替えるだけで、豊かな気持ちになれるのであれば実行すべきである。

木曽川の水は愛知の誇れるもののひとつである。関係各機関に対し、この木曽川の水を再び知多半島全域の人たちが飲めるようにするための必要な措置を取り計らうことを強く要望する。

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

(提出先)  愛知県知事、愛知県企業庁長、国土交通省中部地方整備局長

 

(提案理由)

よりきれいでおいしい水を飲みたいという自然な欲求を満たし、住民満足の向上を図るため。

 

意見書とは、一種の議員提案で、議会の意思として国や県などの行政機関に要望する制度です。

意見書は本来議員がオリジナルで書くものですが、これまでは政党の上部団体や、業界団体、労組などの組織が文案を書いて議会に送りつけてきたのがほとんどでした。ひどいものになると、国の省庁がヤラセで意見書の提出を求めてくるものもあります。

今回は、議会活性化を念頭において、私がかねてから主張している上水道の水源の問題に関して意見書案を書いて、同じ考えを持つ齋吉男議員と平林由仁議員の賛同を得て、提案しました。

これに対して各会派の対応は・・・自民系は、国や県には逆らえないとして反対の立場です。しかし、議員個人の本音としては、「やっぱり木曽川のほうがいいよね」「有権者の目も気になるし」と言ったところではないかと思います。共産党は賛成。公明党は、議会運営委員会で当初賛成の立場だったのですが、党の県本部の意向に従って反対にまわりました。

結局、「上水道の水源を長良川河口堰から木曽川にもどすことを求める意見書」は、6対13で否決されてしまいました。たくさんの方が傍聴にいらしたのに、本当に残念です。

これにめげることなく、継続的に問題提起していこうと思います。

 

 

「第3回木曽川流域圏シンポジウムで「知多半島の水道水の水源を長良川河口堰から木曽川に戻したい」をテーマに報告   平成22121

 

119日(土)に名古屋工業大学で『第3回 木曽川流域圏シンポジウム「御嵩町・産廃処分場問題は終わっていない」』が開かれました。

第1部のパネルディスカッションでは、御嵩町の産廃処分場計画をストップさせた前御嵩町長の柳川さん、住民投票運動のリーダー田中さん、処分場反対運動をしてきた御嵩町議の岡本さん、現地の入念な生物調査をしてきた梅北さんらが、産廃問題のその後や現地の様子について報告しました。

第3部の中で、私は、「水道水の水源を長良川河口堰から木曽川に戻したい」と題して、長良川河口堰完成以来、河口堰の水を飲んでいる知多半島の状況をお話ししました。私の話しの概要については、ブログをご覧ください

 

 

一般質問の報告(飲料水の水源を木曽川に)   平成22年5月8日

 

東浦以南の知多半島の上水道の水源が木曽川から長良川に切り替えられて10年以上がたちました。いまだにきれいでおいしい木曽川の水は工業用水や農業用水に使われ、我々住民は長良川河口堰の水を飲んでいるという、「あべこべ」状態が続いています。

岐阜市をはじめとする都市部の生活排水、工業排水、農業排水が流れ込む長良川河口堰の水は、木曽川中流部にある愛知用水兼山取水口の水より汚くて当然です。浄水時には活性炭など薬剤を多く注入しなければなりません。

 




このように、より飲料水に適していると考えられる木曽川の水こそ上水道に使うべきではないでしょうか。実際に、木曽川の水も長良川の水も知多浄水場まで配管されており、緊急時には切り替え可能な状態になっていると聞きます。

それならば、概念図に示したように、常時、配管を切り替えて、住民は木曽川の水を飲み、長良川の水は工業用水や農業用水に回すべきです。このように、水源を変更して、私たちの飲料水を木曽川の水に戻すことを、町として、国・県に強く要望すべきではないでしょうか。

水源変更の概念図

町長は「水利権の問題もある。県に意見はしているが、一市町村ではどうしようもない。受水市町の足並みもそろっていない。世論の醸成が必要だ。」と答弁。

二言目には水利権が出てきますが、水源交換で他の水利権者の水量が減るわけではないのだから、協議を断る理由はないはずです。「他の市町の動向を見て」ではなく、是非東浦から力強く問題提起して欲しいものです。

 

 


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