神谷明彦の6月定例議会報告  (最終号)

6月22日に6月定例議会を終え、23日に大村知事の設置した長良川河口堰検討プロジェクトチームの公開ヒアリングに出席して意見陳述を行ったのを区切りとして、町議会議員を辞職しました。

3期12年と数ヶ月の間に議会で多くの提言をしてきました。中には早期に実現したこともありますし、いまだに目処の立たないこともあります。里山の保全を最初に訴えてから12年。やっと、自然環境学習の森などで里山の保全活動が始まっています。河口堰検討プロジェクトチームの設置に見られるように、上水道の水源問題も今後の展開が期待できるかもしれません。

4月に皆様からとてもたくさんの支持をいただきながら議員を辞すことになりましたが、また違った立場で引き続き町政に関わっていきたいと志しています。議員では政策を実現するのに10年以上かかることもあります。世の中の流れにあわせてもっとスピードアップを図っていきたいものです。今後も皆さんの変わらぬご支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

6月定例議会本会議の日程は、6月8日(議案の上程と説明),9日(一般質問),10日(一般質問),13日(議案の質疑),22日(討論・採決)でした。

 

 

一般質問

 

 

@市制移行に関する説明と住民の納得は十分か

 

市街化農地の課税や生産緑地指定など、市制移行に関わる諸々の説明が不十分だと思います。市政移行の手続きを進める前に徹底すべきことだと思います。

<市街化農地の税額についての説明は十分になされているか>

広報や住民説明会で十分に説明しているとの答弁ですが、十分とは言えません。住民は、市街化農地の固定資産税と都市計画税が増額するらしいということは聞いていますが、いったいいくらの負担増になるかはほとんどわかっていません。

税務課の窓口で、実際に税額がどうなるか問い合わせをしてみました。すると各筆について、平成2328年までの固定資産税額を試算した表を作成してくれました。しかし、生産緑地指定を受けた場合の固定資産税や、相続税や贈与税が市制施行によってどうなるかも住民の関心事です。住民の立場に立って必要な情報を説明すべきです。これまで約20人が問い合わせに来たそうですが、対象者は約900人なので、まだまだ説明は届いていないと解釈できます。

<生産緑地指定の説明は十分になされているか>

生産緑地指定を受けることができるらしいという情報のみで、いまだに、生産緑地指定の基準が不明確です。生産緑地指定の要件として、例えば、「面積500u以上の一団の農地」とありますが「一団」とは何か、「農業の継続が可能である条件」とは何か、家族構成や給排水が問題になるのか、など不明確な点が多いです。土地利用や税金に30年間の制約が生ずるわけですから、住民が生産緑地を選択するかどうか考える時間を十分取れるように余裕を持ってやって欲しいものです。

答弁では、「議会が市制施行を議決後の早い時点で説明会をしたい。生産緑地の指定を受けるかどうか、平成244月くらいまでには本人の意向を確認したい。」とのことでした。

<国勢調査(人口速報値)の誤りについての説明は>

東浦町で気づかなかったミスに、なぜ総務省統計局が気づいたか。なぜ東浦町に統計局の抜き打ち調査が入ったか。東浦町に市制施行を急ぐあせりはなかったか。などの疑問をぶつけてみました。

町長は、「今回の統計局の調査については理由を聞いていない。担当官は東浦だけの調査ではないと言っている。従来は調査員が訪問、面接をして調査票の補完をする方法だったが、今回はすべて封をして郵送を原則とする方法に変わったので、調査員が事前に不備を見つけるのは困難だった。」と答弁しました。

<市制施行記念行事の簡素化は>

23年度当初予算に市制施行記念式典等経費として約569万円が計上されていますが、お金のかからないものに簡素化する考えはないでしょうか。記念樹に250万円は高いのでは?それこそ、本当に市制元年を祝うなら、一年生木を植えることだって考えられるのではないでしょうか。

これに対して行政は、「市制の出発点として、他の人にも認知できるものとしては、樹高が必要。とりあえず250万円を計上しているが今後さらに詰める。」と答弁しました。

 

 

A公共施設の計画的な更新とメンテナンスについて

 

これから、公共財産の老朽化にともない、順次、改修や建て替えの費用が発生してくるものと思われます。

(1)町内の主な公共施設の築年、耐用年数を考慮して、網羅的な改修・更新計画をつくっているでしょうか。

(2)東浦中学校・勤労福祉センター・文化センター・保健センター地区は、低地に建物が集中しており、町内のほかの学校などと比べると、災害に弱い立地と考えられます。グランドなども手狭です。老朽化している建物もあります。将来的に移転や再編、高層化の考えはあるでしょうか。

(3)その他(道路、橋梁、公園など)の更新計画はつくっているでしょうか。


 東浦中学校周辺の公共施設群と建築年
     東中周辺の公共施設群の建築年と改修年(画像はyahoo地図から)

東浦の公共施設の多くが1970年前後に建設されています。時が来れば、建て替えか大改修か、判断を迫られるケースも出てくるでしょう。3年スパンの実施計画以外に10年スパンの改修・建て替え・長寿命化計画が必要だと思います。

東中地区についても、特段の計画はないとの答弁ですが、町内にあっては、公共施設群が一箇所に集中している場所です。災害対応も踏まえて今後の施設整備方針が必要だと思です。

公共施設整備のための基金・積立金はないようですが、それぞれの公有財産について、取得時期、更新計画、資金計画などを連動して管理できる台帳が欲しいところです。現在、建物の長期更新計画はありませんが、公園と橋梁については更新計画をつくる予定だそうです。

町長は、「公共施設を長く活用する工夫が必要だ。各施設の維持管理には十分配慮していきたい。」と答弁しました。

 

 

B住民協働で進める三丁公園の整備事業について

 

現在、藤江地区で三丁公園整備事業が進行中です。安全で誰もが憩えるやすらぎ拠点、年齢や体力の違いに関わらず、誰もが健康づくりやレクリエーションを楽しめる健康づくりの拠点、災害時の安全性と機能性を十分に備えた地区の避難拠点として、3.5haを整備する計画です。

今年度は未買収地の用地を取得、住民の意見を取り入れ設計作業をし、来年度、工事に着手、平成26年度供用開始を目指しています。住民の愛着のわく公園にするため、この公園に興味・関心のある住民公募による計画段階からの住民参加が望まれます。

<計画段階からの住民参加で愛着のわく公園を>

計画づくりのワークショップのメンバーは、公募8人、コミュニティなどから8人の計16人程度を予定。全5回の現地視察や会合で、施設や遊具の配置、遊具や植栽についてのアイディアを出してもらうとしていますが・・・、単に公園全体のレイアウトを検討するだけでなく、エリア別、利用目的別に分科会をつくり、利用や管理運営も含めて公園づくり全般について協働作業で突っ込んだ検討をする考えはあるでしょうか。公園の一部に住民が自由に公園づくりできるエリアを設定する考えはあるでしょうか。これからは、ワークショップの中身や運営法が問題になります。

<子どもたちが自由に遊べる公園を>

公園などの利用はこれまで規制が中心でしたが、これからは木登りやボール投げ、落ち葉で焼き芋、穴掘り、水遊びなど、従来禁止されていたことも地域の合意を作りながら可能にしていくべきではないでしょうか。

自己責任で好きな遊びのできる冒険遊び場(プレーパーク)の考え方を取り入れてはいかがでしょうか。日本初の常設の冒険遊び場「羽根木プレーパーク」のプレーリーダー天野秀昭さん(現大正大学特命教授)は「遊びの本質はAKU(あぶない、きたない、うるさい)だ。」と言っています。これまで、行政や地域社会がそれらを子どもたちから奪ってきました。子どもたちが本当に求めているのは「昔の資材置き場」。出来合いの遊具に頼るばかりではなく、少しでもその理想に近づけたい。これは立派な子育て応援です。そんな考え方も含めて検討して欲しいと思います。

<ワークショップの柔軟な運営を>

行政は、「管理運営のこと、住民が自由に公園づくりのできるエリア、プレーパークの考え方を取り入れることについても、提案していただきたい」と答弁。また、「議論が十分でなければ、回数が若干増えても良い。」「東浦町はまだまだ経験が浅いので、素案程度は行政から出させてもらう。ある程度のコントロールはする。」とのこと。

<住民協働には、職員の熱意と専門性も必要>

住民と職員が協働で活動をする場合、職員の異動が問題になります。NPOやボランティアで活動する住民はその分野の知識・経験を蓄積していくのに、職員は2〜3年で異動してしまいます。職員もその分野のことを勉強して好きにならないとやっていけません。

また、協働に徹するなら、ワークショップに職員も住民に混ざって、対等に参加してはどうでしょう。土木、防災サイドの職員の都合やアイディアもあるのでは。初めから条件を分かち合いながら、議論に加わる手もあるのではと思います。

 

 

議案審議

 

[条例・その他]

@人権擁護委員の推薦(梶川達彦氏の再任、神谷昌宏氏の後任に中村建志郎氏)

A職員の育児休業等に関する条例の一部改正(地方公務員の育児休業等に関する法律の改正に伴い、非常勤職員の育児休業を拡大)

B町税条例の一部改正(地方税法の改正に伴い、東日本大震災により生じた損失の一部を控除)

C財産の交換、譲与、無償貸付等に関する条例の一部改正(庁舎内の自販機スペースなどを通常の賃貸条件で民間に賃貸する「行政財産の貸付制度」の導入に伴い、規定を整備)

D平成23年度一般会計補正予算(第1号)(庁舎内ガス配管、民間木造住宅耐震改修費補助、東日本大震災支援、於大まつり中止に伴う減額など)

E町道路線の認定(緒川唐治屋敷地内)

F橋梁新設工事請負契約の締結(藤江線須賀川橋台と護岸工,6877万円,東浦土建)

 

Dの庁舎内ガス配管は、寄付を受けたガスファンヒーター78台を利用可能にするため、480万円で庁舎内にガス配管を新設するもの。民間木造住宅耐震改修費補助は最大105万円で今年度25戸分を確保します。

@〜Fの議案は全会一致で可決しました。

 

 

6月定例議会に上程されることになっていた「東浦町を東浦市とする」議案が見送りに

 

6月定例議会に上程されることになっていた「東浦町を東浦市とすることについて」の議案が見送りになりました。この議案は平成2414日から東浦町を東浦市とすることについて愛知県知事に申請するためものです。

新聞報道にもありましたが、理由は、平成23225日に公表された50,080人の国勢調査人口速報値に誤りが見つかったためです。さらに人口の値が変動する可能性があるため、行政としては、人口が確定した段階で改めて議案を提出するとのことです。

人口速報値に誤りがあることは、518日に総務省統計局の抽出調査が入り、疑義のある調査票66世帯(131名)について現地調査を行い判明しました。これらの疑義のある調査票の中には、2世帯同居で別々に提出されたものが重複していたり、外国人登録台帳をもとに聞き取り調査をした場合に又貸しやルームシェアを見過ごしていたりした可能性があるそうです。いずれにしても、速報値よりも人口は減少することになりそうです。

国勢調査人口が市制施行の要件である5万人を超えるかどうか微妙だった中で、東浦町に市制移行を急ぐ焦りはなかったでしょうか?

 

 

長良川河口堰検証公開ヒアリングに意見陳述人として出席しました

 

6月23日に開かれた愛知県の「長良川河口堰検証 第2回公開ヒアリング」に出席し、意見陳述しました。与えられた時間は約15分間。そのあとプロジェクトチーム委員から質問を受けました。

この数日前に突然県庁から連絡があり、知多半島の上水道の水源問題に関して意見陳述して欲しいとの打診を受けました。プロジェクトチームのメンバーからの推薦があったようです。

意見陳述の内容は、これまで一般質問などで発言してきたことをまとめたもので、客観的なデータに基づいて飲料水の水源を木曽川にもどすことを訴えました。厳しい質問が出ることも想定していましたが、反応は非常に好意的でした。傍聴者は報道陣のほかに抽選で選ばれた市民80名ほど。傍聴席は満席で、東浦の方もいらっしゃいました。

 

長良川河口堰検証プロジェクトチームは知事が任命した5人の委員で運営されています。

 ・小島 敏郎  青山学院大学国際政治経済学部教授 愛知県政策顧問

 ・蔵治 光一郎 東京大学生態水文学研究所長・准教授

 ・辻本 哲郎  名古屋大学大学院工学研究科教授

 ・松尾 直規  中部大学工学部長

 ・村上 哲生  名古屋女子大学家政学部教授

 

第2回公開ヒアリングの意見陳述者は、以下の4名でした。

 ・秋田 清音 赤須賀漁業共同組合代表理事組合長

 ・大橋 亮一 サツキマス漁師

 ・神谷 明彦 東浦町議会議員

 ・平野 久克 NPO法人木曽三川環境保全機構理事長、元長島町長

→ 詳しくは、ブログを参照

 

 

8期32年の長期政権をどう考えますか? 東浦の未来をどう考えますか?

 

井村町長ご自身は、立派な方ですし、大きな失政もありませんが、周囲も含めて世代交代がまったく進んでいません。東浦の世代交代は、若いまちに比べて2世代遅れていると思います。

長くても3期12年くらいを一区切りに、新しい価値観や新しい人のつながりを入れて、若い人も含めて、東浦に住む人たち、東浦にかかわりのある人たちの知恵を結集できるまちづくりをしていこうではありませんか。人は能力を発揮して、周りからそれを評価されることが、生きがい、暮らしがいにつながっていくのではと思います。

政策的には、開発から辛うじて残った丘陵地の自然を守りつつ鉄道など公共交通機関を生かしたコンパクトなまちづくりを指向すべきでしょう。防災対応では、堤防に不安をもっている人が多いと思います。堤防のチェックと改修を進めたいところです。

子どもたちの未来を考えれば、これからとても大切になってくることは、教育です。大半の家庭が塾で公教育を補わなければならないのは問題です。目の行き届く体制を作っていくことがすべての子どもたちにとって教育の機会均等につながると思います。子どもたちにツケを残さない財政運営も未来に不可欠な要素です。

また、すべてを役所が背負い込んではこれからやっていけません。住民参加は不可欠です。とくに意思決定や素案作りの過程に主権者である住民が関わることは、民主主義の理念にもかなうと思います。

 

 

これが町議会議員としての最後の議会報告となります。

古くて普遍的なものを大切に守ることが必要であるとともに、洋の東西を問わず、時代は常に新しいものを求めているのも事実です。皆さんとともに活力あるまちをつくっていきたいと思います。

蒸し暑い毎日が続いています。どうかご自愛ください。

 

平成23年7月12日

 

神谷明彦

E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com

 

 

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