神谷明彦の3月定例議会報告  (第48号)

顔写真

地震から1ヶ月が経とうとしています。現場の復旧はなかなか進まないようです。原発の被害も深刻です。復興にはとても息の長い支援が必要になると思います。

私たち東海地方に住む者にとっても、地震はいつ来るかわかりません。30mの津波が来たらどうするのかと心配する声もあります。千年に一度の天変地異にハードで対応するのは無意味でしょう。しかし、起こった場合、起こりそうな場合のソフトの整備は可能なはずです。震災から得た教訓を無駄にしてはならないと思います。

3月定例議会本会議の日程は、3月2日(議案の上程と説明),3日(一般質問),4日(一般質問),7日(議案の質疑),17日(討論・採決)でした。

 

 

一般質問

 

今回は、お休みしました。

毎回欠かさずやっている一般質問ですが、実は、一般質問の通告締め切りに間に合わなかったのです。PTA会長のアテ職で出席要請のあった会議に出て、締め切り時刻の少し前に議会事務局に行き、パソコンから通告文を取り出そうとしたら、ファイルが壊れて出てきません。・・・結局アウト。

情けない話しです。付託をいただいている住民の皆さんにもお詫びせねばなりません。

 

今回、質問するつもりだったテーマは、

@市制施行にかかる経常支出の増と、補助金や交付税による財源手当を明らかにする

A最近頻繁に使われるようになった「協働」の意味や目的を明確にして、これからの住民と行政の協働のあり方を考える

B業務改善を考える習慣をつけ、改善提案の共有化を図るために、業務改善提案制度を創設する

の3点でした。これらについては、決算審議にかこつけて若干の質問をしました。

 

 

議案審議

 

 

[条例・その他]

@固定資産評価委員の選任(長坂吉春氏の再任)

A自然環境学習の森条例の制定(自然環境学習の森を設置し、利用のルールを定める)

B職員の給与に関する条例の一部改正(結核も他の病気休暇と同様に90日を越えると月給半減)

C交通安全条例の一部改正(高齢者の事故防止と飲酒運転根絶の努力規定を追加)

D国民健康保険税条例の一部改正(国保税賦課限度額を合計68万円から法定上限73万円に引き上げ)

E手数料条例の一部改正(子育て短期支援利用料を15350円以内と定める)

F国民健康保険条例の一部改正(暫定的に42万円としていた出産育児一時金を恒久化)

G愛知県後期高齢者医療広域連合規約の変更(一色町、吉良町、幡豆町が西尾市に合併のため)

H森岡ポンプ場建設工事委託協定の変更(20.8億円を18.9億に減額、日本下水道事業団)

I定住自立圏の形成に関する協定の締結(刈谷市を中心都市とする定住自立圏形成のために、医療、教育、交通など幅広い分野にわたり協力関係を築く)

J新たに生じた土地の確認(県の埋立て事業により27haの土地が生じた)

K公有水面の埋立てにともなう字の区域の設定(「大字藤江字みどり浜」と命名)

L町道路線の変更(森岡〜緒川、五ヶ村川沿いの堤防道路)

M町道路線の認定(県道の移管、366バイパス石ヶ瀬川橋梁付近、宅地開発地内、交差点改良)

 

Eは、新規に始める子育て短期支援事業の利用料を規定するもの。保護者の病気、出産、看護、事故、虐待などによって家庭による育児が困難になったとき、一時的に児童養護施設で保護します。

Iの定住自立圏形成協定は、合併とは異なり、刈谷市周辺の知立市、高浜市、東浦町が中心市である刈谷市と個別に協定を結び、必要な事項について広域連携します。東浦町は刈谷市と病診連携、公共施設の相互利用、特別支援学校の誘致、行政バスの広域利用、観光・情報発信、幹線道路整備、ボランティア活動の活性化、職員研修などについて何ができるかを探っていきます。

JKは、県が東浦緑地整備のために藤江の須賀側河口近くで海を埋立て造成している土地に関するものです。緑地部分の27haは芝生のサッカーコートにする予定です。

@〜Mの議案は全会一致で可決しました。

 

 

[予算]

@平成22年度一般会計補正予算(第4号)(国庫補助、地方交付税の増額、金額の確定など)

A平成22年度国民健康保険事業特別会計補正予算(第2号)(金額の確定など)

B平成22年度土地取得特別会計補正予算(第2号)(石浜コミュニティセンター用地取得など)

C平成22年度後期高齢者医療特別会計補正予算(第2号)(金額の確定)

D平成22年度下水道事業特別会計補正予算(第2号)(金額の確定など)

E平成22年度緒川駅東土地区画整理事業特別会計補正予算(第3号)(保留地処分の遅れなど)

F平成22年度一般会計補正予算(第5号)(住宅耐震改修補助を15件分増額)

G平成23年度一般会計予算            (140億円)

H平成23年度国民健康保険事業特別会計予算    ( 43億円)

I平成23年度土地取得特別会計予算        (0.3億円)

J平成23年度後期高齢者医療特別会計予算     (3.9億円)

K平成23年度下水道事業特別会計予算       ( 16億円)

L平成23年度緒川駅東土地区画整理事業特別会計予算(2.9億円)

M平成23年度水道事業会計予算

 

平成23年度(平成234月〜平成243月)予算を決定しました。一般会計は140億円、5つの特別会計(国民健康保険事業、土地取得、後期高齢者医療、下水道事業、緒川駅東土地区画整理事業)は合わせて66億円、水道事業会計は原則独立採算の企業会計になっていて事業収益8.5億円と事業費用8.4億円を見込んでいます。

一般会計予算総額は、昨年度に比べて1億円増額。町民税収入は8.4%減の31億円、固定資産税収は6.7%増の39億円(南ヶ丘や石浜工業団地からの税収を含む)、都市計画税は12%増の5.5億円を見込んでいます。歳入不足分は財政調整基金の取り崩し6.2億円や臨時財政対策債6.5億円で補っています。

Gは、共産党以外の賛成多数で可決。その他の予算案は全会一致で可決しました。

 

<新規事業は>

●住民と行政の協働を推進する事業(地域への交付金、地域づくりリーダー養成講座、職員研修) ●子育て短期支援事業(保護者が一時的に育児が困難となった場合や、母子が急に一時保護を必要とする場合に、「風の色」で預かる) ●なかよし学園施設整備事業(森岡保育園内に障がい児の通園施設を整備) ●住宅用地球温暖化対策機器設置費補助事業 ●子宮頸がん等ワクチン予防接種事業(子どもを対象に、自己負担なしで、子宮頸がん、ヒブ、肺炎球菌のワクチンを接種) ●緊急雇用創出事業 ●公園施設長寿化計画策定事業 ●小中学校施設整備事業(トイレ改修、屋根防水改修、教室扇風機設置) ●図書館の開館時間と日数の変更(1時間早く開館し、9時〜18時に、夏休み中は無休に) ●新学校給食センターの設計 ●市制施行関係事業などです。

 

<市になると掛かるコスト>

市制移行経費としては、記念式典などに568万円、電算システム改修などに7734万円、看板、印刷物の変更、その他に3092万円。計1.14億円を見込んでいます。

県からの権限移譲で毎年必要になる経常的な経費としては、生活保護3.3億円、児童扶養手当1.1億円など約4.7億円。うち国の負担を除いた市負担分は、人員増を考慮して2.17億円が見込まれますが、地方交付税が2.1億円ほど増額すると考えられるので、市の持ち出し分は数百万円で済むとの答弁でした。しかし、生活保護費は今後増えることが予想されています。また、生活保護に関わる医療費の伸びは考慮していないそうです。

人件費の増加も気になるところです。行政は、市になることによって自動的に給与や報酬が上がることはないと言っていますが、今後注視が必要です。市になって変わったのは、職員の数と給与や特別職の報酬では、住民にとってメリットはありません。

上記は、行政のコストの話しですが、民間の住所変更にともなう印刷物等の切り替え費用は自前で持たねばならないと言うボヤキ?も聞こえてきます。

<協働とは>

第5次総合計画から「協働」と言うことばが随所に登場するようになりました。しかし、住民と行政の協働とは何か、協働の範囲、住民と行政の関係、協働の姿勢などについての議論はなされていません。

それから、人事異動。協働相手の住民のほうは活動経験を積んでどんどん専門性を高めてくるのに、役所の担当者がコロコロ替わっては困ります。協働相手の住民から見れば頼りないし、担当職員との共通認識を築くのに改めて時間を要することになります。

行政の答弁では、協働とは何かを規定した「協働のルール」をつくりたいとのことでした。

 

 

[発議(議員提案)、意見書]

@国民健康保険税条例の一部改正

A企業の立地の促進に関する条例の廃止

B議会委員会条例の一部改正

C環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への対応に関する意見書

D上水道の水源を長良川河口堰から木曽川にもどすことを求める意見書

E木曽川水系連絡導水路事業の見直しを求める意見書

F国民健康保険を都道府県単位とする「広域化」に反対する意見書

 

@Aは共産党の提案です。@は国民健康保険税の均等割額を中学生まで半額にするもの。Aは企業誘致のための優遇措置をやめるもの。

Bは、5月からの議員定数1減に合わせて、総務委員会の定数を7から6へ減らすもの。

Cは、(地震前に話題になっていた)日本のTPPへの加入について、国民の合意を得ることと、農業者対策を十分にすることを求めるもの。JAや共産党は加入反対を求めていますが、「加入について慎重に対応すること」で、各会派が調整しました。

DEは私と平林由仁議員と齋吉男議員の3人で提案しました。Dは以前から問題にしている上水道の水源のことです。Eは財政難の中で無駄な導水路計画の見直しを求めるものです。意見書案の全文は下記の通りです。

Fは経営が難しくなりつつある国民健康保険を市町村単位から県単位にすることに反対するもので、共産党の提案です。

採決の結果、@Aは共産党のみの賛成で否決、BCは全会一致で可決。DEは、我々3人と共産党の賛成がありましたが、6:10で否決。上水道の水源を木曽川にもどすことについては、他の議員がなぜ反対するのか理由がよくわかりません。Fは共産党のみの賛成で否決しました。

 

上水道の水源を長良川河口堰から木曽川にもどすことを求める意見書(案)

 

知多半島東浦以南に飲料水を供給する知多浄水場の水源は、元々、木曽川中流の兼山取水口で取水された愛知用水の水だった。これが、後に木曽川下流の馬飼大堰に切り替えられ、さらに、長良川河口堰完成後の平成10年には、長良川の河口の水に切り替えられた。それ以来、まずい、臭いという苦情があったにもかかわらず、長良川河口堰の水が供給されている。多くの住民が、早く木曽川の水に戻してほしいと望んでいる。

知多浄水場では、木曽川の水と長良川河口堰の水を両方供給できるようになっている。にもかかわらず、飲料水には長良川河口堰の水、工業用水や農業用水には木曽川の水が依然として供給されている。飲料水には、岐阜市など都市部の廃水が流れ込む長良川河口の水ではなく、よりきれいな木曽川の水を優先して供給するのが当然だ。

木曽川の水は愛知の誇れるもののひとつである。関係各機関に対し、この木曽川の水を再び知多半島全域の人たちが飲めるようにするための必要な措置を取り計らうことを強く要望する。

 

(提出先) 愛知県知事、国土交通省中部地方整備局長

 

(提案理由) よりきれいでおいしい水を飲みたいという自然な欲求を満たし、住民満足の向上を図るため。

 

木曽川水系連絡導水路事業の見直しを求める意見書(案)

 

木曽川水系連絡導水路事業は、徳山ダムの水を長良川を経て木曽川に導水するもので、新規利水の供給と河川流量の維持が目的とされている。総事業費3,350億円の徳山ダムに加え、さらに890億円(うち愛知県の負担は318億円)もの巨額の国民負担および県民負担が課せられることになる。このような水需要増加を前提とした大型公共事業は、人口減少、財源不足の中で考え直す時期に来ている。

木曽川水系では、水需要は逼迫しておらず、水余りといわれている。河川流量維持の効果についても疑問視されている。徳山ダムの建設のみならず、さらにまた高いコストをかけて導水事業をしなければならない必然性は認められない。工事による環境負荷は言うまでもなく、本来別の川である揖斐川の水を長良川や木曽川に混ぜることによる生態系攪乱は未知数だ。導水路事業に対する見直しの機運は高まっている。

国・県の財政が逼迫している中、事業計画地における生活、自然に与える影響は大きく、必要性や、効果が疑問視されている事業は見直し、その莫大な資金を必要かつ緊急性の高い用途に振り向けるべきだ。住民、納税者として、私たちの国税、県税がより有効に使われることを求める。

よって、国、県に対し、木曽川水系連絡導水路事業を見直すことを求める。

 

(提出先) 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、財務大臣、国土交通大臣、国土交通省中部地方整備局長、愛知県知事

 

(提案理由) いったん計画されると止まらない公共事業を見直し、住民の税金をより有効に使うため。

 

 

行政が1月に実施した市制施行に関する住民アンケートの結果から

 

「広報ひがしうら」に折り込んで全戸配布、そのうち回答があったものを集計した結果、83%が市制移行を良いと思い、良いと思わないのは15%でした。しかし回収率は22%。残りの約8割の皆さんはどう考えているのでしょうか。またこのアンケートでは、市政移行に賛成の理由は設問中に例示してあり選択式になっていましたが、反対の理由は例示がなく記述式でした。設問が非対称である点を行政に質したところ、反対理由が考えられないとの答えが返ってきました。

アンケートの賛成理由は「住所表示が簡単になる」61%、「公共サービスの充実」55%、「地域の発展」52%の順でした。反対理由としては、住民負担の増加や具体的なメリットが不明であることが多く見受けられました。

1月に各地区公民館で開かれた説明会に参加した感触としては、市政施行に反対・賛成以前に、具体的なメリットや住民負担の説明なしに拙速に市制移行を進めようとする行政への住民の不信感が感じられました。

6月定例議会では、議会として市になるかどうかを意思決定することになります。

 

 

皆さんの声・・・後援会パンフレットのご意見欄から

 

後援会の入会申し込みのご意見欄に、記入して下さる方がいらっしゃいます。ありがたいことです。そのいくつかをご紹介して、簡単なコメントをさせていただきたいと思います。

 

●コミュニティは人選を見直して、地域の課題に取り組むべきだ。

・・・同感です。年間イベントの消化ではなくて、身近な課題を地域で解決するための組織に変えていく必要があると思います。

●文化センターしかないので、音響の良いホールが欲しい。

・・・確かに東浦には立派なホールがありませんが、近隣市のものを活用することは十分可能です。それでも自前で持つか、そのお金を他のことに役立てるかは住民の皆さんの選択だと思います。

●政治を良くするには、住民が、行政や議会に関心を持って、主体的に関わる必要がある。

・・・行政への住民参加は少しずつ進んできましたが、これから議会を変えねばなりません。

●源泉徴収を改めて、自分で納税するしくみにすれば、もっと政治への関心が高まるはず。

・・・おっしゃるとおり日本独自の源泉徴収制度が、税負担とサービスとの関係を見えにくくしています。取りっぱぐれはないし役所には都合の良い制度です。これをなくすには国の税制を変えなければなりません。

●新しくできる三丁公園には、木に登ったり、イタズラ遊びのできる場所をつくっては。

・・・ある方が子どもの遊びの基本はAKU(あぶない、きたない、うるさい)だとおっしゃっています。遊びと危険はつき物。行政、地域、保護者、子ども自身が、公園の安全対策と自己責任について共通認識を待つことができれば、楽しい公園を作ることができるはずです。

 

きちんとしたアンケート調査ならば、サンプル数や属性などを明確にした上で結果を報告せねばなりません。しかし、集計途中であること、また、後援会の申し込みにご記入いただいた特定の層を対象としていることから、およその傾向のみをお示しします。


 

ここに列挙した政策の中には「上水道の水源を木曽川へ切り替える」など具体的なものもありますが、「心豊かな老後」「子育ての支援」など、一般的、抽象的なものも含まれています。30代の方は子育てに、50〜60代以降の方は老後に漠然とした不安を感じているのが見て取れました。

一言にお年寄りといっても元気な方、家族に恵まれている方、そうでない方などさまざまです。すべての人にお釣りの来るような政策はありえません。税収に限りがある中で、本当に困っている方を公共で支えていくにはどんな具体策が必要か、皆さんとともに知恵を出さねばならないと思います。

 

 

議員の仕事と議会の役目

 

議員の仕事って何でしょう。町の行事に賑やかしの来賓として出席することでしょうか? 他に何も用事がなければ必ず参加していますが、「行事に出るので忙しい」では困ります。

それでは、特定の支持者の要望を優先的に行政に届けることは議員の仕事でしょうか? 地域の道路や水路に関する要望は、区長さんを通すことになっています。6月ころには地区実態点検といって、区を通して住民の要望を行政に伝える機会もあります。そもそも議員は行政の執行権(首長の権限)に干渉することはできません。

議員の仕事は、意思決定機関として、議会として、予算や条例を定めて、政策決定をし、行政がそれに基づいて執行をしているかどうかをチェックするところです。町全体を見て、聞き取りや現地調査や資料集めをして、問題点や質問を考える。調べて、考えて、議論して、政策や合意を作っていくプロセスが、今の議会に決定的に欠けています。

住民と議会との距離が、住民と行政よりも遠くなってしまっているのも問題です。陳情・請願はもとより、議会の側から積極的に住民と意見交換する場を持たねばなりません。

 

 

もうすぐ議員としての4年間の任期を終えます。毎回、議会報告の感想を送ってくださる方もいらっしゃいます。皆さんの温かいご支援に感謝しています。これが今期最後の議会報告となりますが、再び、議員をやらせていただく機会に恵まれましたら、引き続き議会報告にお付き合いいただきたいと思います。

さくらの花も満開になりやっと春本番になりました。どうかご自愛ください。

 

平成23年4月11日

 

神谷明彦

E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com

 

 

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