神谷明彦の12月定例議会報告  (第47号)

2011年が明けました。大晦日から元旦にかけて、近所の氏神様には参拝者の長い列ができていました。人の数は昨年と同じくらいだったそうですが、一人一人がひときわ時間をかけて丁寧にお参りしていたように感じる今年の初詣ででした。

12月定例議会本会議の日程は、12月3日(議案の上程と説明),6日(一般質問),7日(一般質問),8日(議案の質疑),17日(討論・採決)でした。

 

 

一般質問

 

 

①住民投票制度と自治基本条例

 

まちの将来を左右するような基本的かつ重要な政策決定について、住民の意思を直接反映する仕組みが必要だと思います。自治体の運営に直接民主的な制度を導入することは、住民の自治意識・当事者意識を高め、住民の総意によるまちづくりを進める上で重要です。常設型住民投票制度を設ける考えを尋ねました。

また、住民参加のしくみを整えつつ自治基本条例を創り上げていく考えを尋ねました。自治基本条例は、「地方自治体の憲法」ともよばれ、住民の権利と責任、行政の責務、議会の責務、まちづくりの方向性、住民と行政の協働、情報共有と住民参加、住民投票に関することなど地方自治についての基本的な理念と定めを盛り込んだそのまちの自治の基本原則です。自治体によって「自治基本条例」や「まちづくり基本条例」などの名称で制定する動きが盛んになってきました。

町長の答弁では、「実際に住民投票が行われる事案は稀で、直接請求や個別型の住民投票で対応可能。議会制民主主義との関係においても常設型住民投票制度を設ける考えはない。」とのこと。自治基本条例については、「住民あるいは議会において必要であるという意識が高まったときに制定したい。そのために、昨年から主体的にまちづくりにかかわる人材の発掘や育成、地域における課題の発見や課題解決の手法について考える勉強会を支援している。」とのことです。

<直接請求で代用するのは不十分>

現行の直接請求制度では、案件ごとに有権者の1/50以上の署名を集めて、なおかつ個別の住民投票条例案が議会で可決されなければ、住民投票までこぎつけられません。だから私は、タイムリーに投票できるしくみとして常設型の住民投票制度が必要だと考えます。

<ひとつの自治の手段として、直接民主制と間接民主制が補完しあえばよい>

議会と民意は(名古屋市の直接請求の例を見ても)必ずしも一致しません。だから民意を直接問うしくみも必要になります。間接民主主義と直接民主主義は補完関係にあると私は考えます。

<住民は信用できないでは、選挙の正当性さえ怪しくなる>

以前も、「住民は理性よりも感性に流されやすい」という答弁がありました。私は住民がそんなに愚かとは思いません。選挙だって直接民主制で行われているわけですから、住民が非合理的決定をするなどということを言ってしまったら、選挙の、議会の正当性さえなくなってしまいます。

<自治基本条例を作るには住民参加の仕掛けが必要>

自治基本条例案は、住民と行政がいっしょになって練らねばなりません。例えば、日進市の場合、平成15年から、住民意識調査、住民参加の勉強会、まちづくり塾、フォーラム、対話集会、検討会などを経たうえで、平成19年に制定しています。本当にやろうとすればそういった仕掛けが必要です。

次の地方自治法の改正では住民投票に関する条項も入ってくると聞きます。国に言われて慌ててやるのではなく、自分達のまちとして何ができるかを考えておかねばなりません。

 

 

②東浦緑地の今後の整備方針

 

藤江の海岸に愛知県が造成中の(仮称)東浦緑地の埋立て完了部分の利用方法は、現在、町と県が協議中と聞きます。その他の部分の計画については、県のプレジャーボート係留施設の計画はあるものの今後の動向は不透明です。


東浦緑地の計画図

現計画は、東浦町・住民の要望に基づいたものだったのでしょうか。特定のレジャーボートの所有者のみを対象にするのではなく、現計画を見直し、住民から意見を募り、子どもから大人までだれでも手軽に楽しめるウォータースポーツ(カヌーなど)のできる場としての整備は考えられないでしょうか。

これに対して町長は、「埋立て完了部分は、サッカーなどのできる広場を考えている。のこりの未整備の部分について、カヌー、カヤックを子ども達に楽しませて、水とのふれあいを高めていく拠点にしたい。」との見解を示しました。

 

 

③特別支援教育への対応

 

平成17年から特別支援教育が導入されました。学校現場は対応できているでしょうか。

(1)情緒障がいと知的障がいではそれぞれの対応が必要になるが、県の対応を待つのみでなく、教員や補助員を適宜採用するなど町単独での予算措置は考えられないか。

(2)特別支援学級や普通学級に居る知的障がいや発達障がいをもつ児童が、適切なケアのもとで授業に参加できているかをチェックする体制が出来ているか。

(3)学校側と保護者との情報共有は十分できているか。

(4)いわゆる軽度発達障がいまで含めると、すべての学級に何らかの問題を持つ児童が居る可能性が指摘されるが、教員の障がいに対する理解は十分か。

答弁では、人は配置しているし、特別支援の体制もしっかり機能しているし、教員の理解も十分とのことです。しかし、本当に十分でしょうか?

特別支援教育に限らず、授業について行けない子の個別対応も含めて、人員が足りているとは思えません。実際に比較してみると、東浦町は町単独で、7小学校と4中学校に、教員資格のない生活支援員7人と特別支援介助員5人、また、少人数教育に対応する教科等特別指導員7人を入れています。一方、武豊町は、4小学校と2中学校に、教員資格のあるスクールアシスタント25人を入れています。東浦町は子育て日本一を標榜しているのです。教育は将来への投資です。

特別支援のチェック体制と、保護者との情報共有についても、保護者が、学校に支援委員会、特別支援教育コーディネーター、個別支援計画、個別指導計画などがあることすら知らない現状があります。また、当然のこととしてすべての教員に障がいに対する一定の理解と経験がなければなりません。

 

 

④鉛筆の持ち方、箸の持ち方

 

学校の授業参観などで気づくことですが、ほとんどの子どもの鉛筆のもち方が間違っています。学校では「いろいろな持ち方があって良い」あるいは「家庭の問題だ」ということで放置しているのでしょうか。鉛筆の持ち方は、箸の持ち方とも共通します。学力の面から、文化の面からこの問題をどう考えるのでしょうか。

答弁で教育長は、「1・2年生の書写の指導要領には正しい持ち方を指導することが明記されている。正しい鉛筆の持ち方をすれば、無駄な力が入らず、楽に字が書け、疲れにくいため、学力にも好影響があるだろう。高学年になってからでは矯正しにくくなるので、今後とも粘り強く指導していく。」「保護者の4人に1人、担任の8人に1人は箸が正しく使えない。教育委員会としては、基本的には躾の範疇と考えるが、伝統的な食文化を継承するには、学校においても指導の必要があると考える。」と答えました。

 

 

議案審議

 

[条例・補正予算・意見書・その他]

①人権擁護委員の推薦(安藤慧氏の後任に杉浦義治氏を推薦)

②議会の議決すべき事件に関する条例の制定(定住自立圏形成協定の締結を議決事件に加えるため)

③子育て支援センター条例の一部改正(緒川から石浜に子育て支援センターを移転するため)

④児童館条例の一部改正(建設中の子育て支援センター内に石浜西児童館新設のため)

⑤行政財産の特別使用に係る使用料条例の一部改正(県の改定に合わせて土地使用料を引き下げ)

⑥道路占用料条例の一部改正(県の改定に合わせて土地使用料を引き下げ)

⑦公共用物管理条例の一部改正(県の改定に合わせて土地使用料を引き下げ)

⑧都市公園条例の一部改正(県の改定に合わせて土地使用料を引き下げ)

⑨衣浦西部都市計画事業東浦緒川駅東土地区画整理事業施行に関する条例の一部改正(県の都市計画区域の再編に伴う語句の変更)

⑩地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部改正(県の都市計画区域の再編に伴う語句の変更)

⑪衣浦西部都市計画東浦下水道事業受益者負担に関する条例の一部改正(県の都市計画区域の再編に伴う語句の変更)

⑫知多地区広域行政圏協議会の廃止(総務省の必置要件が消滅し任意団体へ移行)

⑬平成22年度一般会計補正予算(第3号)(人件費の補正、子ども医療費助成金の増額補正、学校雨漏り修繕、教科書の改訂に伴う教材購入など)

⑭平成22年度土地取得特別会計補正予算(第1号)(緒川公民館隣接地を一般会計へ買い戻し)

⑮平成22年度下水道事業特別会計補正予算(第1号)(異動による人件費の補正など)

⑯平成22年度緒川駅東土地区画整理事業特別会計補正予算(第2号)

⑰平成22年度水道事業会計補正予算(第1号)

⑱第5次総合計画基本構想の制定

⑲介護保険制度の抜本的改善と介護労働者の処遇改善を求める意見書

⑳安心して子育てできる制度の確立を求める意見書

 

②の定住自立圏構想とは、医療や通勤など同じ生活圏にある市町村が、合併せず、協定を重ねることにより広域連携する国の新施策です。東浦町では刈谷市を中心市とした定住自立圏形成協定の締結を考えています。

⑤⑥⑦⑧でもっとも影響を受けるのは中部電力とNTTの電柱の土地使用料です。県が地価下落にスライドさせて約30%値下げを行ったのに追随して県と同額にします。年間2028万円だった使用料収入が1595万円に減りますが、町内の県道と町道の使用料格差は解消します。

⑤⑥⑦⑧の使用料条例と⑱の総合計画案は、共産党を除く賛成多数で可決、⑲⑳の意見書は共産党のみの賛成で否決、他の議案は全会一致で可決しました。

 

平成20年度から、策定を進めてきた第5次東浦町総合計画基本構想に対する採決がありました。はてなと思う点もありましたが、少ないながら公募住民の意見も取り入れて議論してきたものです。私は賛成の立場で下記のような討論をしました。

 

策定方針として、公募住民を含むまちづくり計画委員会の意見を取り入れるなど、計画段階からの住民参加に一定の進歩があったこと。目指すべき目標値を設定したこと。総合計画・実施計画・予算・決算・そして行政評価の連動、実効性のある改善サイクルの構築に努めたことを、評価する。それから、総花的になりがちながら、多岐にわたる社会的要請や課題を、住民の意見を集約しつつ総合計画としてまとめ上げたことに敬意を表したい。

今後の課題として、住民と行政の協働を前面に出しながら、協働の定義が曖昧なこと。交通体系として東浦町に特徴的ともいえる鉄道を積極的に利用する発想に乏しいこと。開発とのバランス・調和という言葉が前面に出て、自然環境保護への取り組みの意識が甘いこと。設定した目標の妥当性、目標値の妥当性を、これから継続的に吟味・見直しすることが必要なことを、指摘しておく。

日本は人口減少社会に入った。名古屋都市圏にある東浦町においても人口の伸びが鈍化することを前提にした計画となった。ただし、いまだに人口を増やすことに大きな価値を置いている。膨張する行政組織とコストを支えるために、税収を確保しなければならない。そのために宅地開発して工場を誘致して人口を増やさなければならないといった、行政サービスの供給者サイドの発想に立つのでは本末転倒だ。

ぜひ、子どもたちにツケを回さないこと、豊かな自然環境を残すこと、最終的に住民が幸福を感じることを常に念頭において、この計画が運用されることを願って賛成討論とする。

 

 

ちっとも進まない議会改革

 

昨今、多くの議会で議会活性化の取り組みがなされ、その集大成として、議会基本条例の制定が進んでいます。特に、行政が住民参加を進めてきているのに比べて、肝心の議会への住民参加が遅れています。住民を代表する合議体として、議会への住民参加を進める必要があります。

より具体的には、

①議会ホームページの充実を図り、情報公開と情報発信の機能を高める。

②議会としてテーマをもって各地区で住民説明会を開き、住民と意見交換し、公聴機能を高める。

③議員間討議により合議体としての議会の意思決定機能を高め、説明責任を全うする。

④正副議長選挙の際には、各候補者が所信表明し、議長公約を戦わせる。議長は議会のリーダーとして議会改革の方向性を明らかにする。

⑤上記の方策を含めた一連の議会改革を進め、東浦町議会のあり方を議会基本条例としてまとめる。

 

以上が、とりあえず行動に移すべき議会活性化の方策だと私は考えますが、議会改革の検討委員会で出る大方の意見は、「議会基本条例を制定した議会はまだ多くない」「行政が自治基本条例を作るのを待ってから」「住民参加はまだ進んでいない」「説明会に人を集めるのは大変」「議会には執行権がないので要望を出されても困る」「要望が実現しないと返って不満の元になる」「説明会をすると特定の議員に有利になる」「説明会を開くなら会派が支持者向けにやればいい」など後ろ向きなものばかり。住民と意見交換もしない、議員同士で討議もしないでは議会の存在意義はありません。

 

政務調査費(1人月額5千円)を倍額にしようという意見もありましたが、さすがに議員の中に反対者がいるということで、統一地方選後に継続検討ということになりました。年額6万円あれば十分先進事例を調査することはできます。これを増額しても単なる贅沢旅行代になる可能性が大です。今でも、九州や北海道に行くケースが目立ちます。もちろん遠くに行く必然性があれば結構ですが・・・。

 

 

地方議員年金はやっと廃止の方向に

 

地方議員年金問題に対して総務省が、今年6月限りで廃止の方針を出しました。この方針によれば、受給権者に対してはこれまで通り年金が支給されるために、新規加入がなくなるだけで、年金制度が継続するのとほとんど変わらない状態です。年金制度を廃止しても、受給権者がいなくなるまで今後、約13000億円余りの税金投入が必要になると試算されています。私は、制度が破綻した以上、年金制度廃止後に受給権が著しく制限されても仕方がないと思います。

 

 

厄松池の掃除をしました

 

1127日(土)9時半に、小学生46年生と先生、約30人が集合。それに、いつもの掃除メンバー約10人に加えて飛び入り参加もありました。ありがたいことです。

大人は水辺に生えるアシなどの草を刈ってトラックで搬出しました。2tのダンプトラックを貸してくれる人がいたおかげで搬出作業がとてもはかどりました。子ども達はゴミ拾いと落葉拾い。燃えるゴミ19袋、空き缶1袋、陶器など燃えないゴミ3袋、トラック3台分の刈り取ったアシがこの日の収穫?でした。

 

 

これはあくまでも私個人の目から見た議会活動報告です。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。

 

平成23年1月8日

 

神谷明彦

E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com

 

 

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