神谷明彦の9月定例議会報告  (第46号)

ちょうど今、生物多様性条約第10回締約国会議(CBD-COP10)が名古屋で開かれています。その関係で、今年は環境関連イベントが目白押しです。CBDCOP10に便乗した一過性のブームに終わらず、これをきっかけに多くの市民が、生物多様性〜自然環境の保全に目を向け、持続的な社会の変革につながっていくことを願っています。

9月定例議会本会議は9月1(水),2(木),3(金),6(月),17(金)の5回開かれました。このうち、1は議案の上程と説明、2・3は一般質問、6は議案の質疑、17は討論・採決でした。

 

 

一般質問

 

 

@審議会、協議会、委員会などの諮問機関の活性化を(Part2

 

これまで私は、行政の諮問会議の公開と住民参加について、一般質問などを通じて提言を行ってきました。これは6月定例議会の一般質問の続編です。

<議題・資料は会議に先立って(たとえば1週間前に)配布しているか>

行政は「有意義な会議を効率的に運営する上でも資料の事前配布は必要。さらに徹底する。」と答弁。

<本来は委員主導で運営すべきところを、専ら事務局の都合で運営していないか>

「資料作成を含め形式的な運営となっている会議もある。役所の論理だけでない住民からの意見をもらうことが大切。行政の都合で会議を誘導するつもりはない。」との答弁。事務局はあくまでもお手伝い役で、意思決定には関与しません。質疑・意見交換の時間を十分にとって、意見の出やすい雰囲気作りが大切です。

<会議を活性化する活力の源として、その分野に興味・関心・見識をもつ公募委員の活用は>

行政は「公募により、関心の高い方からの意見や提言は重要。貴重な意見もいただける。反面、個人の意見と言う側面もある。」と答弁。しかし、たとえ団体の代表者であっても、所詮は個人の意見です。諮問会議の前に団体の中でちゃんと意見集約しているかといえば、たぶんそうではないと思います。私は、むしろ参加者の個人意見が大事だと思います。

それから、委員の任期や構成についてルールをつくったほうが良いと思います。例えば、日進市の「付属機関等の設置に関する要綱」が参考になります。そこには「広く各界各層および幅広い年齢層の中から適切な人材を選任する」「女性の登用割合は概ね30%以上とする」「市職員は委員等に選任しない」「市退職職員は委員等に選任しない(公募する場合はこの限りではない)」「委員等の在任期間は就任時において通算して10年は越えない」「同一人を委員等として選任できる付属機関等の数は3機関まで」「団体からの委員選任については当該団体の長に限定した委員の選定を行わず、できる限り他の付属機関との重複選任を避ける」などが明文化されています。行政としても明文化を検討してみるとの答弁でした。

東浦町はもっと、住民の興味関心、見識力を活用できるはずです。5万人もの人が住んでいるのですから。

<その日の議論の要点は会議の中で整理しているか>

閉会する前に、当日出た質問、意見、それに対する答弁などを口頭で簡単にまとめ、参加者の共通認識として確認を取っておくことが必要だと思います。論点整理は、何を決めたか明確に、意見を聞き置くだけでなく対応も明確にすべきです。行政は「会議を充実させ、いただいた意見を生かすためにも、論点整理を意識したい。」と答弁しました。

<傍聴者に会議資料を提供すべきでは>

すでに会議は公開されているわけですから、資料の持ち帰りやコピーの禁止はありえません。

「傍聴者の人数把握ができない。資料によってはページ数や図面等が多い。無駄が出る可能性があるため、閲覧用のみとし余分には用意しない。」との答弁でしたが、たとえ部数が足りなくても、コピーが可能なことについて説明が欲しいです。

<議事録の公開は役場窓口での閲覧だけなく、ホームページに>

行政は「窓口で(関連の)資料を見ながら閲覧していただくほうがわかりやすいと考えている。」と答弁。しかし、中にはホームページへの掲載が容易な会議資料もあります。役場の窓口での閲覧と比べれば、ホームページを見る人のほうが断然多いはずです。

以上、せっかく委員のみなさんが貴重な時間を割いて出席されているのですから、ぜひ実のある会議にしていただきたいと思います。

 

 

Aこれからの財政運営について

 

<これまでの手法は成り立たない・・・時代の大転換期を迎えた中で、どんな財政運営が求められるか>

612日に開かれた町主催のまちづくり講演会で講師の昇秀樹教授が、「すでに右肩下がりの時代に入っているとの認識をもって、価値観を180度転換しなければならない。」と語っておられました。これから、扶助費など福祉関係の費用はどんどん増えます。しかし、工場進出も人口も税収も高度成長期のような伸びは期待できません。従来どおりのやり方を続けていてもこのジレンマからは抜け出せません。

行政は、「現下の経済情勢から見て、今後大幅な税収増は見込めない。厳しい財政状況が続くと予想する。当面は、臨時財政対策債の発行(借金)、財政調整基金からの繰り入れ(貯金の取り崩し)、地方交付税(国からの仕送り)などにより一定水準の財源確保は可能。しかし、高齢化による扶助費の増加、公共施設の建て替え時期が来ることによる財源不足は避けられない。よって、徹底した行財政改革と事業の優先順位付けが必要。同時に住民の理解と協力が不可欠。」と従来どおりの答弁です。しかし、新しい財政運営に挑戦しようとしている自治体もあります。名古屋市と杉並区の例を紹介します。

<河村名古屋市長の減税>

名古屋市の河村市長は「まず減税をしなければ、行革は無理。」と言っています。価格競争がなければ安くてよいサービスは生まれません。でも、役所は独占企業で競争がありません。そこで、収入に一定のタガをはめて、役所の内部にコストを減らさざるを得ない状態をつくるのが減税の狙いです。市民から求められるサービスを提供するだけでなくて、コストダウンして税金を減らすことも行政や議会の重要な使命なんだというのが基本的な考え方です。

また、減税した分で公共に寄付をして欲しい。寄付には、強制的な税の徴収と違って、選択、競争の自由度があるから、寄付によってより良いサービス、より支持されるサービスが仕分けされるはずだというのが、河村市長の言い分ではないかと思います。

<杉並区の減税自治体構想>

杉並区の減税自治体構想とは、毎年一定額の財源を積み立てて財政のダムを造り、必要に応じてその基金を活かしつつ、将来はその利子で減税を実現しようとするものです。名古屋市のように先に10%減税してしまうのではなくて、その約10%の部分をあらかじめ基金として積み立てていきます。

杉並区では平成11年から区民税の十数%を毎年積み立てて、23年度には借金をゼロにする見込みです。一方で基金を増やして1.5%ほどで運用すれば30年度から区民税を10%減税できると試算しています。現在世代に冷たいと言う批判はありますが、前もって積み立てて将来にあてていく考え方は面白いと思います。

    
                                ※杉並区のホームページより

<これは問題提起>

以上のように、これまでの常識とは異なる発想で将来の財政を考えていこうとする動きが出ています。過去の延長線上にこだわっているだけでは状況は改善しないと思います。

 

 

Bこれからの都市計画のあり方について

 

現在、都市計画マスタープランを改定中です。6月には各地区で住民との懇談会が開かれました。

これまでは、区画整理、工場誘致、民間の宅地開発をひたすら推し進めていくしか「まちの発展」の手法がありません。新しい発展の構図は描けないのでしょうか。まちに人をひきつける魅力とは何でしょうか。

里地や雑木林が回廊状に連続していることが大事なのに、今回の計画だと工場に分断されてしまうのでは。緑地とひとことに言っても、雑木林の緑、公園の緑、街路樹の緑はそれぞれ分けて考えるべきでは。住農混在や住工商混在は一律に悪いと言うのが従来の考えですが、実生活の豊かさを考えると職場や家庭菜園が近くにあるのもまちづくりのひとつと考えるべきでは。良好な生活環境、良好な住宅地、良好な景観などの言葉が頻繁に出てきますが、「良好」とは何か。キチンと定義すべきでは。高齢化や低炭素社会への対応を考えると、鉄道やバスなど公共交通をまちづくりに取り込むとともに、歩いて暮らせる徒歩圏のまちづくりを充実させねばならないと思います。これまで、歩いて暮らす人に対して冷たいまちづくりだったのでは。

などなど、日頃から漠然と疑問に感じていることを題材に議論するつもりでしたが、型どおりの答弁をとったところで時間切れ。再度論点を整理して議論したいと思います。

 

 

議案審議

 

 

[条例・補正予算・請願・意見書・その他]

@教育委員会委員の選任(稲葉耕一氏の再任)

A財政健全化判断比率及び資金不足比率の報告(国の基準をクリア)

B消防団員等公務災害補償条例の一部改正(児童扶養手当法等の改正に伴う規定の整理)

C平成22年度一般会計補正予算(第2号)(町民税の減収、地方交付税の増収、第二農免道路の改修、婚活事業など)

D平成22年度国民健康保険事業特別会計補正予算(第1号)(療養給付費の確定)

E平成22年度後期高齢者医療特別会計補正予算(第1号)(広域連合への負担金)

F平成22年度緒川駅東土地区画整理事業特別会計補正予算(第1号)(前年度繰越金の確定)

G議会議員の定数を定める条例の一部改正(現行の定数1918に減員)

H三十人以下学級の実現と義務教育費国庫負担制度拡充を求める請願

I30人以下学級の実現と義務教育費国庫負担制度拡充を求める意見書

J国の私学助成の増額と拡充に関する意見書

K愛知県の私学助成の増額と拡充に関する意見書

 

Cの補正予算では県からの補助金の一部(約50万円)を使って、婚活事業を始めます。未婚者の増加は行政課題と捉えることもできますが、民間の婚活とどう差別化するかが問題です。

Gの議員定数条例は共産党を除く賛成多数で可決、他の議案は全会一致で可決しました。

 

 

[決算認定]

@平成21年度一般会計決算

A平成21年度特別会計決算

B平成21年度水道事業会計決算

 

平成21年度(平成214月〜平成223月)の予算が適正に執行されたかどうかを、決算書に沿ってチェックします。決算書には一般会計141億円と6つの特別会計(国民健康保険事業、土地取得、老人保健、後期高齢者医療、下水道事業、緒川駅東土地区画整理事業)69億円、合計210億円もの使途が科目毎に記載されています。採決の結果、一般会計と後期高齢者医療特別会計は、共産党を除く賛成多数、他の決算案は全会一致で認定可決されました。

ずっと右肩上がりを続けてきた税収ですが、2年連続で減収となりました。経済不振の中、地元の商工業者から物品調達しろという声が共産、自民系両方から高まっています。同じ条件ならば地元を優遇するのはうなづけますが、高くても地元業者から買えと言うのは、産業の育成にはならないし、そもそも納税者への背信行為だと思います。

    過去10年間の町税収入の推移

 

 

次回の選挙から議員定数を19から18に減らす条例を可決しました

 

4年前に定数18を提案した(当時は賛成少数で否決された)本人としてはピッタリ18になるのだから、本望じゃないかとも言えるのですが、なにかスッキリしません。

本来は定数をいくつにするかの前に、あるべき議会の組織論を考えねばならないと思います。議会を劇的に変えようと思えば、半分の10人くらいにしたら良いと思います。意思決定責任が肩にズシッと来ることでしょう。10人ならば、代表者の根回し会議も不要になるでしょう。常に全員で協議すればよいのです。会派に持ち帰って密談などという手間も不要になります。その代わりに、メンバー一人一人の判断が今以上に厳しく問われることになります。10人の知恵では心もとないならば、市民や学識経験者のブレーンを擁すればよいのです。公聴会や住民説明会・意見交換会なども開けるではありませんか。

一方、議会は、普通に市民生活をしている人が、多様な生活者の代表として、民主主義を担う市民の応分の負担として、議会を構成し、市民としての意思決定をし、それを行政に執行させていくものだとすれば、定数を大幅に減らすべきではありません。実際、ヨーロッパの地方議会は仕事が終わった夜間や休日にボランティアで市民が集まって開かれています。今程度の定数にしておけば、やる気のある人が議員になるチャンスは十分あると思います。

結局、議員の活動が見えてこない、議会が十分に機能していないという住民の漠然とした不満が、議員定数削減や報酬削減の声につながっているのだと思います。議会で政策提言はしているか、住民に対して活動報告はしているか、既成政党や会派が議会内の自由な議論を妨げていないか、「会派で決めた」と責任の所在を曖昧にしていないか、議員自ら振り返ってみる必要があると思います。

議員同士で「議員は忙しい、大変な仕事だ」という共同幻想を作っているのではないかと思うことがあります。これは一種の参入障壁です。女性の議員が少ないのも異常です。私は普通の人では議員はできないという偏見を取り除いて、議会をもっとオープンな活気のあるものにしていきたいと思うのです。

 

 

さて、市になる要件は?住民意向調査は?

 

101日付で大正9年以来、第19回目の国勢調査が行われました。この調査で実人口が5万人以上であれば、東浦が市になる要件が揃います。東浦町の住民基本台帳(住民票)の人口は9月末で50,192人ですが、住民票を置いたまま遠隔地に住んでいる学生などが多く、実際に住んでいる人はそれよりも少ないと言われています。国勢調査の結果はこれから徐々に回収が進み、集計がまとまるのは11月になってからだと思われます。

もし、5万人以上であれば市になる手続きを進めていくことになります。6月議会の一般質問では、住民投票は叶いませんでしたが、その後、市政施行に関する住民意向調査は行う方針であるとの報告を行政から受けています。いずれにしても国勢調査の結果次第です。

愛知県内では学生などの多く住む長久手町(9月末住民基本台帳人口49,154人)の国勢調査人口が5万人を超えることがほぼ確実視されています。

 

 

直接請求とは。我々に何ができるか。上水道の水源問題に一石を!

 

名古屋市選挙管理委員会では今、リコール署名の集計が進められています。所定の数の署名が集まれば、市議会解散の住民投票が行われることになります。直接請求には、地方議会の解散請求のほかに、条例の制定・改廃の請求、地方公共団体の事務監査請求、首長・議員の解職請求、主要公務員の解職請求、合併協議会設置の請求などがあります。これらはいずれも請求するのみで、結果は議会の議決や住民投票に委ねられることになりますが、その気になれば住民は直接請求権を行使できるようになっています。

直接請求は地方自治法などに定められています。一方、憲法に定められた国民の権利として請願という制度もあります。請願は誰でも(個人でも複数名でも法人でも)出すことができますが、議会に提出する際には議員の紹介が必要となります。

ところで、上水道の水源を木曽川に戻すことを求める意見書を採択する請願を出して下さる方を募集中です。私が喜んで紹介議員になります。住民が直接物申す仕組みはちゃんと用意されているのにあまり活用されていません。東浦の住民が立ち上がって、水源問題に一石を投じてみませんか?

 

 

厄松池の掃除をします

 

今年も、小学生のボランティアを募って生路の厄松池の掃除をします。雑草を刈って、ビンやカンやペットボトルなどのゴミを拾って、池の冬支度をします。

11月27日(土)9:30に厄松公園集合、午前中に終わりたいと思います。飛び入り大歓迎ですので、おとなの皆さんのご協力、ご参加を心よりお待ち致しております。

 

 

これはあくまでも私個人の目から見た議会活動報告です。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。

 

平成22年10月18日

 

神谷明彦

E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com

 

 

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