神谷明彦の12月定例議会報告 (第43号)
今年は暖冬だと思っていたら、年末に寒波が来て急に冷え込みました。日本海側は大雪だったようです。近頃天気予報がよく当たるようになったといいますが、長期予報はなかなか難しいようです。
12月定例議会本会議は12月4(金),7(月),8(火),9(水),21(月)の5回開かれました。このうち、4は議案の上程と説明、7・8は一般質問、9は議案の質疑、21は討論・採決でした。
@合併処理浄化槽設置補助金を考える
<政策目的に合致した補助事業を>
いま、国の事業仕分けが話題になっています。事業の政策目的を精査し、事業がそれに合致しているか再検討することは重要なことです。
例えば、下水道認可区域外の個人住宅が合併処理浄化槽の設置をする際に、町が個人に対して補助金を交付する事業があります。この事業の目的は何でしょうか。
既存の単独処理浄化槽や汲み取りから合併処理浄化槽への切り替えを補助で政策誘導するのは理解できますが、新築家屋の場合は合併処理浄化槽しか付けられないのだから、補助する政策的な意味はないはずです。しかし、実態はほとんどが新築家屋への補助です。
「22年度は国の動向も踏まえ、新築への補助、単独処理浄化槽や汲み取りから合併処理浄化槽への切り替え補助について継続していくかどうかを検討する。」と行政は答弁しました。
<他にも政策目的を精査すべきものはないか? 事業仕分けで外部の目を>
外部の目を入れないと、なかなか気が付かないこともあると思います。事業仕分けでは、役所の内輪の論理でなくて、公開の場で行政担当者自身がその事業が必要であることを市民にわかるように説明することが問われます。つまり説明責任が行政の側にあるわけです。
事業仕分けを試行してみていかがでしょうか。職員の説明能力や課題形成能力の向上に与える影響は大きいはずです。
これに対して、町長は、東浦町の規模なら、個々の事業について議会が精査すれば良いと答弁しました。
Aこれからの自然環境保護の方向性を問う
(仮称)自然環境学習の森が保全されることになったのは1つの成果ですが、ここだけ残せばもう終わりということでは、自然環境破壊への免罪符になりかねません。
<里山保全地区の拡大を>
自然環境学習の森を中心として、それに連なる山林・田畑・ため池(上三ツ池周辺)への里山保全地区の拡大や、於大公園に至る明徳寺川の谷の自然景観をどう守っていくか。また、町内の自然を回廊状に結び自然環境のネットワークをつくっていく考えを訊ねました。
行政は、「自然環境学習の森での活動が拡がり、里山保全がされていけばと考えている。川沿いの緑道整備もしたい。」と答弁しました。
<農免道路の拡幅工事に、自然環境、景観への配慮を>
町道森岡藤江線(通称農免道路)が自然環境学習の森に隣接する区間は、車道から見ても「森」を感じる町内でも自然景観に優れた場所です。現在、農免道路の拡幅工事が始まっていますが、当該部分だけ(規格を変えて)道路を控えめとし、伐採、谷の埋立てを極力押さえるべきではないか。あるいは歩道部分だけ(遊歩道的に)自然環境学習の森に取り込む構造にするなどの配慮は出来ないのか訊ねました。
現況7m半の道路を12mに拡幅するとなると今の景観は失われてしまいます。この部分の道路の東側(自然環境学習の森地内)は谷になっているので道路幅を広げるには斜面の木を伐採し、谷を半分近く埋めて法面を造らねばなりません。この拡幅工事による湿地への影響、景観破壊、そして、現在の道路の斜面下にある湧水への影響も大いに気になるところです。
これに対して、「規格は変えないが、コンクリート擁壁は使わず、自生による緑化、湧水に配慮した構造にする。」との答弁でした。これだけでは自然環境や景観への配慮は不十分だと思います。目先の利便性や(根拠の薄い)安全の追求一辺倒から、自然環境や景観重視に軸足を移していくべきだと思います。
<ため池の外来種対策を>
「東浦町ため池保全計画」には「自然環境の保全、生物多様性の確保に配慮する」との記述があります。自然環境を守るべき池を種別分けして、池干し(掻い掘り)をして、外来種を駆除、放流禁止にするなどのルールをつくるべきではないでしょうか。
行政は、「池の改修工事にあわせて、ブラックバスやブルーギルなどの外来種の駆除を計画的に進める。」と答弁しました。
B審議会等の情報開示の充実を
都市計画審議会、図書館協議会、学校給食委員会など行政に設置された各種の諮問機関、および農業委員会、教育委員会などの行政委員会の会議開催予定、議題、決定事項、議事録などは、一部の会議を除いて積極的に公表されていません。ホームページに漏れなく情報を載せるなど情報開示の充実が求められます。会議の傍聴に関して、開催予告や傍聴規定の整備など傍聴者への配慮が必要と考えます。
行政は、「公正で透明性の高い開かれた町政と住民参加の推進のために、22年度実施を目指して、公開する会議の範囲、周知方法、傍聴方法、会議録の公表等の仕組みづくりを進める。」と答弁しました。
[人事、条例、補正予算、意見書、その他]
@人権擁護委員の推薦(小林久枝氏の再任)
A職員の給与に関する条例の一部改正(地域手当を7%から3%に引下げ)
B議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例の一部改正(船員保険法の改正に伴う規定の削除)
C職員の勤務時間、休暇等に関する条例等の一部改正(昼休みを45分から60分に増やすことにより、勤務時間を1日あたり8時間から7時間45分に短縮)
D消防団員等公務災害補償条例の一部改正(消防法の改正に伴う語句の変更)
E後期高齢者医療に関する条例の一部改正(保険料の延滞金を7.3%から4.5%に軽減)
F勤労福祉会館条例の一部改正(利用時間を1時間刻みにすると同時に、利用料金を平準化)
G公民館条例の一部改正(利用時間を1時間刻みにすると同時に、利用料金を平準化)
H学校体育施設の開放に関する条例の一部改正(体育館・武道場を有料化)
I文化広場条例の一部改正(利用時間を1時間刻みにすると同時に、利用料金を平準化)
Jふれあいセンター条例の一部改正(利用時間を1時間刻みにすると同時に、利用料金を平準化)
K愛知県後期高齢者医療広域連合規約の一部改正(小坂井町が豊川市に編入合併され構成団体が減少、三好町がみよし市に改称)
L平成21年度一般会計補正予算(補助金の確定、臨時財政対策債の増額、子ども医療費の増額、子育て応援特別手当21年度版の廃止、三丁公園用地取得延期など)
M平成21年度土地取得特別会計補正予算(緒川公民館駐車場用地取得など)
N平成21年度下水道事業特別会計補正予算(下水道事業負担金の確定など)
O平成21年度緒川駅東土地区画整理事業特別会計補正予算
P平成21年度水道事業会計補正予算(人件費の減額など)
Q改正貸金業法の早期完全施行等を求める意見書
R労働者派遣法の抜本改正を求める意見書
S後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書
Aは、3月定例議会で給料・管理職手当・扶養手当の月額合計の9%から7%に引下げた地域手当を、更に3%まで引き下げるものです。地域手当とは、民間の給与水準にあわせて都市部で働く公務員に手当てを支給し勤務地格差を調整するしくみです。国の基準に合わせるよう指導があるので、民間給与、周囲の市町の動向や財政状況を見ながら段階的に引き下げています。
FGHIJは公共施設の利用条件を時間ごとに平準化するものです。
AFGHIJは共産党を除く賛成多数で可決。RSは共産党の賛成のみで否決。他の議案はすべて全会一致で可決しました。
地方議員年金が破綻状態です。地方議員年金制度は、「特権的」と批判され平成18年(2006年)に廃止された国会議員年金制度に準じて1961年に発足しました。当初は、任意加入であくまで互助の精神にのっとり、年金給付や事務費などのすべての経費は加入者の掛金でまかなっていました。その後、全地方議員の強制加入となり、1972年には掛金の他に公費が投入されるようになりました。掛金と自治体からの公費負担を主な収入源として運用されてきましたが、高齢化の進展や議員定数の削減で1990年代から支出が収入を上回る赤字体質になり、基金を取り崩す運用が続いていました。
そしてさらに、平成の大合併で議員の数が激減、年金財政は逼迫することになります。2002年と2006年には制度を一部改正し、年金給付の引き下げや、掛金と公費投入の引き上げを行いましたが、状況が改善するべくもなく破綻が決定的になりました。
下の表は、平成19年度末時点で市議会議員年金と町村議会議員年金を合算したものですが、すでに3万人余の議員がその2.6倍の9万人もの受給者を支えるいびつな構造になっているのがわかります。
収支を見ると毎年100〜200億円もの赤字が続いて、平成11年度には1700億円余りあった積立金を使い果たし、平成23年度には完全に破綻することが予想されています。
東浦町の場合、現在、議員報酬月額25万2千円のうち毎月4万円と期末手当年額997,920円のうち75,000円の計555,000円を議員が掛金として支払い、これに公費負担495,000円を加えた1,050,000円を年金共済会に支払っています。
一方、65歳以上で12年以上議員を務めた受給資格者は、在職年数に応じて毎年、報酬年額の24〜約40%台の年金を受け取るしくみになっていますが、今のままで制度を存続することは不可能です。
手をこまねいていても、状況は悪化するばかりです。だらだら先延ばしをしていると、際限なく住民の税金をつぎ込むことになるでしょう。ただでさえ特権的と批判のある地方議員年金にさらに公費を投入し続けることは、住民の税金を守る議員の立場からしても許されることではありません。
すでに、全国いくつかの議会で地方議員年金の廃止を求める運動が起こっています。私は、東浦町議会としても地方議員年金の早期廃止を求める意見書を採択できないか問題提起しているところです。
昨年9月末で「う・ら・ら」の新路線が4両体制で運行を始めてからちょうど1年になりました。利用状況をまとめてみました。
路線を延ばした割には利用者が増えず、5%の微増にとどまっています。一方、運行経費は3,593万円から6,163万円に大幅アップしたため、収支は悪化しています。
刈谷線の利用が思ったほど伸びていません。また、緒川駅での乗り継ぎを前提に路線が組まれている割に乗り継ぎが少ないのは今後の課題です。利用者の意見を聞きながら改善したいところです。
<保全・育成の会が発足>
8月に、これまでの話し合いを踏まえ、会則を決定、『(仮称)自然環境学習の森 保全・育成の会』が発足しました。この会は、自然観察会のメンバー、住民参加のワークショップからかかわってきた炭焼や里山保全に関心のあるボランティア、この場所の環境に関心のある企業や地域団体で構成され、里山の保全、再生、利活用のあり方を議論し、行政と協働で、体験学習などのイベントや保全活動、ボランティア養成などの計画を立てて実行していくことになります。
<池干しなどの活動を実施>
昔は、池の水を抜き、鯉などを捕ったり、池の補修をするために、定期的に池干し(掻い掘り)をしていたものです。最近、県も試験的に池干しを復活させるイベントをしています。
8月29日に、テストケースとして、自然環境学習の森中央部にある小さなため池の水をポンプで抜いて、堆積した枯竹や倒木を取り除き、生き物を捕獲して外来種を駆除するなどの活動を計画しました。30〜40人ほどの親子連れの参加者が集まって捕獲作戦スタート。大きなコイが4〜5匹、フナ(マブナ、ゲンゴロウブナ)50匹以上、アメリカザリガニが大漁。小さな池でも結構いるものです。
昔田んぼだったところや小川が流れているところの草刈りもしています。水の湧いている所や流路を確認し、水辺の再生や散策ルートの計画づくりに役立てます。また、水面を覆っている草などを取り除き、トンボの産卵できる環境をつくります。草が絡まり生い茂って、とても入れない状態だったので、トラクターも登場。昔あった階段状の水田の地形が姿を現し、水路との関係がよくわかるようになりました。
野鳥の観察会なども開かれています。こうしたボランティア活動と並行して、現在、県の治山事業として竹林の伐採やチップ化が行われているところです。
<今後のスケジュールは>
平成22年度に整備工事終了、23年度に一般公開予定。その前に、公募で森の正式名称を決める予定ですが、まだまだPRが足りません。私もボランティアとして保全活動にかかわっています。たくさんの皆さんが身近な自然を楽しみながら、里山を保全、再生する活動の輪が広がることを期待しています。
10月22日に小学校の5年生の授業で、ため池の環境(ため池の歴史、立地と役割、だれのものか、水質と私たちの生活、清掃活動、池の今後)をテーマに講師を務めました。
11月14日(土)の午前に厄松池の掃除を計画しました。さて、当日の朝8時。外は本降りで屋外での作業は到底無理な状況なので、関係者に中止を連絡しました。ところが、9時頃になって急に雨があがって晴れてきました。2年前と全く同じパターンです。
念のため9時半に現地に行ったら、来ている人がいます。中止の連絡をした人たちにも呼びかけて、いつものメンバーに小学校のPTA、少年野球のメンバーなどで、岸や浅瀬のゴミ拾い、ヨシの刈り取りなどをしました。土手やヨシの間に、飲み物のカンやビン、紙パックなどがたくさん落ちています。汚さなければ掃除する必要もないのですが・・・。
これはあくまでも私個人の目から見た議会活動報告です。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。
平成22年1月21日
神谷明彦
E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com
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