神谷明彦の6月定例議会報告  (第41号)

神谷明彦 顔写真4年間の議員の任期の半分が過ぎました。はたして、年間4百万円の議員報酬に見合った価値を生み出しているのか、たとえば、経費削減に寄与したか、同じ経費でもサービスを向上できたか、選挙で訴えた政策を実現できているのか、反省してみる必要があります。北海道の福島町(青函トンネルの出口のまちです)では、議会が議員の通知表を公表して話題になっています。

5月には、議会の役員人事や委員会のメンバーの改選がありました。私は総務委員会に所属することになりました。広域行政への代表としては、引き続き東部知多衛生組合の議員を務めます。

 

東浦町が関わっている広域行政

 

6月定例議会本会議は6月4(木),5(金),8(月),9(火),18(木)の5回開かれました。このうち、4は議案の上程と説明、5・8は一般質問、9は議案の質疑、18は討論・採決でした。

 

 

一般質問

 

 

@町運行バスの今後と公共交通政策全般について

 

知多バス路線の廃止にともない、これまでの1.6倍の経費をかけ、昨年10月に町運行バス「う・ら・ら」の車両を3台から4台に増やし、刈谷方面に乗り入れ、緒川駅東口で乗り継ぎ可能な4路線6系統に拡大しました。しかし、利用者は前年同時期に比べて5.9%の微増にとどまっています。刈谷方面への利用が伸び悩んでいることや、路線あたりでは結果的に減便になってしまったこと、乗り継ぎ運行の接続がわかりにくいことなどが、利用が増えない原因と思われます。

<1時間に1本の定時ダイヤが理想的>

2時間待たなければならないようでは足として不便です。う・ら・ら発足当時のアンケート調査でも、1時間に1本ならば利用しても良いと答えた人が大勢いました。時刻表もわかりやすくなるし、JRとの接続もとりやすくなると思います。

しかし、1路線に所要時間が約1時間かかるうえに運転手の休憩時間をとらねばならないことや、学校の登下校時刻を考えると、バスを5台以上走らせなければ1時間ヘッド体制は困難です。お金のかかる話しですから、いきなり本格運行せずに利用増がどれだけ見込めるか試験的に運行してみる手もあると思います。答弁では、町の地域公共交通会議で試験運行を含めた議論をしたいとのこと。

<乗り継ぎがわかりやすい時刻表やバスの行き先表示を>

乗り継ぎの便を時刻表で確かめるのは、慣れない人にとって大変です。現在、バス車両正面の行き先表示は直通の行き先のみを表示していますが、乗り継ぎを含めた行き先を併記すれば、バスを見ただけでどこまで行けるかわかるようになります。時刻表についても、バス停ごとの時刻表を作成し、利用者にわかりやすい案内にしたいとのこと。特にイオンのバス停は路線が交錯していてわかりにくいと思います。

<マイカーに偏重しないまちづくりとして、鉄道をどう生かすか>

町内に4つの駅があり通勤電車型の駅間距離になっている武豊線を、これまでまちづくりに生かす発想がありませんでした。駅から遠い山林などを宅地開発するのではなく、駅の近くにコンパクトなまちづくりをすべきではないでしょうか。高齢化に対応するためにも公共交通は重要になります。大府駅の武豊線と東海道線の乗換えを同じホームでできるようにして欲しいという要望も出ています。

「沿線の市町で組織している武豊線近代化促進期成同盟会で複線電化の要望活動を行っているが、今後は武豊線と地域の公共交通がひとつのネットワークになることで公共交通の活性化を進めることが必要。JRと沿線市町がともに研究していかなければならない課題として取り上げる。」との答弁でした。

<自転車や歩行者にも安全で楽しいまちづくりを>

自転車には、省エネ、CO2排出抑制、交通事故防止、渋滞緩和、健康なまちづくり、地元商店街の活性化などのさまざまな効用があります。問題はどうやって自転車利用を増進するかです。

行政は「自転車や歩行者の専用レーンは幅員的に困難。歩道内で自転車の走行ができる歩行者自転車道を整備したい。」と言いますが、ガードレールの間隙を縫って段差やアップダウンが多くて走りにくい歩道に自転車を閉じ込めるのではなくて、本来の車道を走りやすくするべきと思います。安城市では、エコサイクルシティー計画、チャレンジ・エコちゃり通勤など自転車の利用を促す取り組みをしています。

<パーク&ライドの評価と今後は>

パーク・アンド・ライドは駅周辺の駐車場に車を止めて鉄道に乗り換える環境にやさしい移動手段。渋滞緩和にも効果があります。本町でもイオンモールで実施していますが、30台分の駐車場を確保しているにもかかわらず、月平均10台程度の利用にとどまっています。行政は今後さらにPRしたいとしています。私は、現行のイオン東側の駐車場は駅から遠いので、新しくできた駅前の立体駐車場に移動できないかイオンに要望するよう提言しました。

 

 

A学校給食と食育について

 

給食センターの新設が予定されています。これからの給食のあり方に関心を持つ方たちの熱意の影響もあり、給食と食育について考えてみることにしました。

私は、本来、家庭や個人の嗜好や私生活の領域に行政が立ち入るのはいかがなものかという思いがありました。しかし、今、食の安全性、食の無国籍化、食料自給率の低下、食生活の乱れ、生活習慣病、食文化の伝承、飽食の問題などを考えると取り組んでいかざるを得ないと思うようになりました。国の政策としても、食育基本法ができ、地方自治体は食育基本計画の策定を求められています。

<給食センター新設の予定、候補地、概要は>

本年度に基本設計、22年度に用地取得、23年度に実施設計、259月に完成予定。候補地は緒川三ツ池地内。敷地面積は7800u。延床面積は3千u。調理能力は7千食(現行の1.2倍)を予定。

<強化磁器食器の使用など、器への配慮は>

家庭では現行の給食のようなポリプロピレンの食器は使っていません。重いことやスペースをとることが短所ですが、食器本来の質感や可塑剤の溶出を考えるとセラミックの食器のほうが好ましいと思います。基本設計の段階で各種食器の比較検討をするとの答弁でした。

<除去食や牛乳代替など、食物アレルギーへの対応は>

今年5月の調査では、食物アレルギーを持つ小学生189人(5.8%)の内、除去食(アレルゲンを含む献立をカットしたもの)提供8人、弁当持参2人、自分で除去97人、その他11人、献立にないため対応不要71人。食物アレルギーを持つ中学生89人(5.4%)の内、除去食提供なし、弁当持参2人、自分で除去59人、対応不要28人。施設、調理員の制約から今後も除去食での対応を考えているとの答弁でした。

対応策として、代替食(アレルゲンを含まない代わりの献立を提供)、アレルゲンを考慮した共通献立(全員にアレルゲンを含まないよう考慮された献立を提供)などの対策をとっている自治体もあります。給食は、みんなで食べるのが教育になっているわけで、学校教育の理念、昨今のノーマライゼーションの考えからいっても、立場の不利な人にできるだけあわせていく流れにあると思います。

一方、牛乳アレルギーは、小学生32人、中学生8人。知多管内では、大府市、南知多町は代替食として豆乳、常滑市はお茶を提供しています。東浦でも他市町を参考に豆乳、お茶等を検討したいとのこと。

しかし、そもそも米飯・和食に牛乳は合わないのでは?必ず牛乳をつけねばならないという完全給食の考え方は時代遅れでは?牛乳が入ることによってかえって献立の自由度を狭めていないだろうか?という指摘があります。

これに対して、「ご飯に牛乳が合わないとは思っていない。今の子どもにはコーラでご飯を食べれるという嗜好もある。」とほとんどヤケクソの答弁がありました。

<食材やアレルゲンに関する情報開示とホームページの充実は>

多治見市では、食材の産地や使用数量、調理の作業工程、加工品であれば、品目、メーカー、原材料の明細を、三好町は加工食品中のアレルゲンの含有%を、ホームページでかなり詳細に公表しています。これに対し、東浦町では2学期以降にアレルゲン関係の情報も開示するとの答弁でした。

多治見市では、学校給食運営委員会の議事録(給食費の値上げや学校給食申し込み制度の議論)などもキチンと公表していて、議論の過程がよくわかります。必要な情報を漏らさず、わかりやすく出していくことが、サービスを受ける側の安心感につながると思います。

<地産地消に関する考え方は>

知多半島産、愛知県産を積極的に取り入れたいとの答弁でした。

学校給食として、もう少しご飯にこだわってはどうでしょうか。日本人が米離れを起こした原因は給食ではないかという説もあるようです。裏を返せば、給食が子どもたちの嗜好に与える影響は大きいです。米飯については週3.5回にしたところなので、当面、ソフト麺、パンと組み合わせていきたいとの答弁でした。

<無農薬・減農薬など食の安全に対する考え方は>

「基準値を超えなければ安全と考えられるので、無農薬・減農薬を指定する考えはない。」との答弁でしたが、これは理解に苦しみます。化学物質なしで暮らせないことは承知しているけれど、わざわざ好んで農薬を摂取する必要はないというのは当たり前のことです。「できれば無農薬、減農薬を指定したい。」とういのが正しい答弁だと思います。農薬の散布回数なども公表して欲しいものです。

地産地消とも関連がありますが、なるべく作物の成長過程の見られる距離のものを使うのが理想です。生産者と消費者の顔の見える交流、なかには学校が生産現場に授業で入って自分たちのつくったものを食べている例もあります。そういったことを通じて、食の信頼関係につながっていくのかなと思います。

 

<補足・・・学校給食の基本方針について思うこと>

残念ながら時間が足りなくて、食育・給食センターの「基本方針」についての議論が不十分でした。東浦の給食・食育の理念についてもう少し突っ込んで考えてはどうかと思います。キチンとした方針なり哲学なりがあれば、その後の方向性はおのずと決まってくるものですから。

今、家庭の中で食生活の乱れが問題となっているとすれば、「給食くらいキチンとしよう。」「日本の食文化を大事にしよう。」という考えを中心に据えてみる手もあるのではと思います。

家庭にもいろいろあるでしょう。食材や食習慣に気を使っているところもあります。そういう家庭にとっては、家庭で気を使っているのに、学校で出されるお昼の給食が信用できないとしたら、それはとても残念なことだと思います。かたや無頓着な家庭もあるでしょう。嗜好、価値観、経済的な理由など、当然そこには、多様なスタンスがあることと思います。

だからこそ、平均値ではなく、給食に日本の食としての高いスタンダードがあっていいのでは(豪華にしろといっているのではない。質素であっていい。)と思うのです。食育を掲げる以上、その要求水準を満たすもの(たとえば、素性の知れた季節の食材を生かし、日本の風土・文化に合った料理)を提供する必要があるのではないかと思うのです。

例えば、学校給食法には「給食の目標」が明記されています。多治見市では、それらを踏まえて、「食に関する指導についての方針」「給食内容についての方針(@旬の食材A安全でおいしいBよく噛む習慣C日本型の食生活D魚を使った献立E食事環境を大切に)」「調理場施設の整備方針」など独自の方針を掲げているわけです。 →多治見市役所ホームページ『学校給食基本方針』参照

東浦でも「安心で安全」や「衛生面、栄養面」など、当然であるとしても今更言うまでもない安直な語句を並べる前に、もう少し深く考えてみるべきではと思うのです。

フランスでも、食の文化を誇る国だけあって、学校での栄養教育、味覚教育に力を注いでいると聞きます。日本の給食は、戦後の「まず栄養のある食事」を与える段階から、「日本あるいは地域の食文化の伝承」の段階に来ているのではと考えても良いのではないでしょうか。

 

 

議案審議

 

 

[人事・条例・補正予算・意見書・その他]

@固定資産評価審査委員の選任(長坂時也氏の後任に渡辺守男氏)

A出張所設置条例の制定(イオンモール内行政サービスコーナーを出張所に格上げ、納税に加え、戸籍謄本、納税証明等の即時発行を行う)

B部制条例の一部改正(イオンモール内行政サービスコーナーの業務を民生部の分掌とする)

C緑化基金条例の制定(レジ袋の売上金からの寄付を緑化のために積み立てる)

D産業廃棄物処理施設の設置等に係る計画の事前公開等に関する条例の制定(産業廃棄物処理施設の設置に当たり、関係住民や地域の環境への影響に配慮するため)

E税条例の一部改正(地方税法の改正に伴う規定の整理)

F国民健康保険税条例の一部改正(地方税法の改正に伴う規定の整理)

G地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部改正(石浜南部地区(飛山東地区の宅地開発)における建築物の制限を規定)

H飛山東地区の宅地開発に伴う字の区域の設定(石浜東飛山、飛山池上、坪釜、黒鳥、笹原、入海田の当該部分を「南ヶ丘」に改称)

I町道路線の変更(生路池下地内生路27号線の延長)

J石浜西小学校校舎改修工事請負契約の締結(外壁塗装・屋根防水・玄関改修,4336万円,東浦土建)

K下水道工事請負契約の締結(生路西午新田地内管渠敷設,5854万円,東浦土建)

L平成21年度一般会計補正予算(県の緊急雇用創出補助金による情報モラル教育、コミュニティ備品購入など)

M憲法9条改悪をやめるよう求める意見書

N地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の延長に対する意見書

 

Cは、町内のスーパー等でレジ袋が有料化されたのにともない、各店が町に寄付したレジ袋の売り上げ代金を基金に積み立て、生垣設置補助や緑花木の配布に役立てようとするものです。

Dは、県内では瀬戸市についで2番目の制定です。事業者が県に許可申請または届出を出す前に町に計画書を提出させ縦覧に供し、関係住民に対し意見交換会を開き環境保全のための協定を結ぶものです。

H北垂れの土地が「南ヶ丘」に。石浜の南部だからだそうですが、分譲しやすいからといって安易に地名を変えるのではなく、できることなら歴史や文化を尊重したいものです。しかし、地権者の総意で区の承認もあるのでは致し方ありません。

Nは国の財政措置が延長するように、県から意見書の提出を求められたものです。

Mは共産党のみの賛成で不採択。他の議案は全会一致で可決しました。

 

 

(仮称)自然環境学習の森を住民ボランティアで保全・再生

 

町は、公募市民による計画づくりワークショップで出た意見をもとに、パブリックコメントを行い、「(仮称)自然環境学習の森基本計画」をまとめました。

4月には、ワークショップの参加者の中で引き続き現地の保全・育成活動に関わりたいと希望したメンバーと自然観察会のメンバー、地域の区長さん、役場の担当課が集まって、自然環境学習の森の保全・育成を進める組織の立ち上げに向けて、会の目的や活動内容について話し合いをしました。その中で、水辺の生き物、竹炭づくりなど得意分野別に分科会を作ってはという意見が出ました。さっそく、水辺グループでは「自然環境学習の森応援ブログ」を開設しました。

現地では、県が治山事業として、竹林伐採や広葉樹の植林、土留め、水路、遊歩道などの初期整備をして、その後の保全や自然の再生、利活用を町と住民の協働で行おうと考えています。県の治山事業については、保全・育成組織のメンバーと県の担当者が現地を確認しながら、できるだけ大掛かりな工事は避け環境を改変しないかたちで進めていくことになりました。

719には、少年野球チーム(ホワイトベアーズ)の中学生30人ほどが参加して、水辺の草刈りや竹の伐採や炭焼きなど里山の保全活動をしました。829日には、ため池のかい出しと生き物調査を予定しています。

 

 山羊のサキちゃん

余談・・・また、ヤギを飼うことにしました

 

6月から山羊を飼い始めました。今年生まれた子ヤギのサキちゃんです。鼻にホクロがあって、以前飼っていたシロちゃんよりも不細工だけど、さびしがり屋でいつも家族の誰かにくっついてきます。さっそく廃材で小屋を作りました。

ヤギは草さえあれば生きていけるし、たいていの草を食べます。最近、木質バイオマス(草木の繊維質)の有効利用が注目されていますが、わが家ではヤギに草刈りをしてもらって、お乳を搾って、やがてはチーズを作るというのが一応の夢です。

 

 

これはあくまでも私個人の目から見た議会活動報告です。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。

 

平成21年6月20日

 

神谷明彦

E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com

 

 

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