神谷明彦の6月定例議会報告  (第37号)

学校が夏休みに入りました。このところ猛暑が続いています。

6月定例議会本会議は6月4(水),5(木),6(金),9(月),18(水)の5回開かれました。このうち、4は議案の上程と説明、5・6は一般質問、9は議案の質疑、18は討論・採決でした。本会議で上程された議案は3つの常任委員会に分割付託され審査の後に、本会議最終日に採決されました。

 

 

一般質問

 

 

@補助金の見直しについて・・・市民活動を育てる方向で

 

時代の変化とともに公共を担う市民活動や市民協働に対する社会的要請も変化しています。こういった活動団体への補助も、組織の維持というよりは、公共に資する活動を育てる方向に軸足を置き、必要に応じて新陳代謝を図っていくべきです。補助金の見直しは進んでいるか、どんな方針で臨むのか、行政として市民活動に何を期待しているか、行政の考えを聞きました。


主な団体等への補助金の推移

これまでの実績を見る限りでは、30件以上はある団体運営に係る補助金のうち、過去10年間で新規採択、打ち切りは各々2件。前年踏襲で一律に補助するのではなく、必要に応じてメリハリを付け、新陳代謝を可能に、自立を促す仕組みが必要です。これから市民活動として育てていきたいもの、町として政策的に必要なもの、定型の業務なら委託で対応すべきものなど、補助の中身を仕分けしてみてはどうかと思います。

東京都足立区では、「協働ガイドライン」をつくって市民協働を分類、行政と市民のかかわりあいと留意すべきことをまとめています。東浦でも、行政と市民のかかわりあいと、公共を担う市民活動の育成の仕方を一度整理してみたほうが良いと思います。

補助団体の活動報告や会計報告を調べると、主な年間活動は懇親旅行というところもあります。また、多くの補助団体では、役員は毎年替わり、総会の年次計画表は毎年同じ、心ならずも毎年同じことをやらざるを得ない状態です。

行政評価では、いくつかの団体に対する補助金をひとくくりにして一つの補助事業として評価しています。まとめてしまうと、個々の効果、公益性や必要性が評価できずに、まとめて継続扱いになってしまいます。くくりの見直しも改善すべきです。

 

行政は、「数年前には、補助金額を一律1割削減したこともあったが、今後の見直しは削減ありきではなく、増額、新規も含め、活動内容に応じたものにしたい。」「少子高齢化など社会情勢の変化により、住民の行動やニーズは多様化している。行政の手が行き届かないところをNPO、ボランティアなどの市民活動によって支える、行政と住民、各種団体との協働によるまちづくりが肝要。経済面のみでなく、活動の場などさまざまな支援をしたい。」とのこと。

 

 

A塾と学校教育の関係・・・学校の授業が不十分だとすれば

 

東京の公立中学校で学習塾の講師を招いて補習を行うところが現れました。東京と愛知では公立中学校の事情は異なりますが、本町でも現実に多くの児童生徒が学習塾に通っています。塾に通う時間的・金銭

的負担も無視できないのではないかと思います。風紀や社会教育は学校で、教科は塾でという傾向が強まると、万人に教育を保証する学校の機能が損なわれかねないのではと危惧します。

塾に行く行かない、行ける行けないで格差が生まれていないか。もしそうだとすれば、塾のような補習的な授業を受けられるサービスを公的に提供するのも一つの考え方ではないでしょうか。

小中学生の通塾率

最近、特に東京圏で、公的な部門でもって、学校の授業を補うような動きが出てきています。たとえば、杉並区立和田中学校における「土曜寺子屋」(土曜日に学校で、大学生やシニアのボランティアが生徒の自習をみる)「夜スペシャル」(希望者に対して、夜に割安料金で塾の講師を招いて補習をする)などの試みが始まっています。他にも、足立、港、江東、千代田区などで教育委員会が主導で無料の塾をやっている例もあるようです。それから、北区の神谷中学校では、「パワーアップ教室」と名付けて、近所の私立高校の教員や生徒を巻き込んで補習をやっています。

 

教育長の答弁では、「教委としては、不足のないよう、指導の個別化と学習の個性化を図り、それぞれの子どもに合った教育に取り組んでいる。和田中学校のような進学塾の講師による有料特別授業を提供する考えはない。今後も一人一人の教育を保障するため、指導の個別化と学習の個性化を図りたい。」とのこと。

 

<補足・・・自分が親として思うこと>

通塾する理由は様々でしょう。中学校では模擬試験などの入試情報が入らないためということもあるでしょう。家庭学習の延長線で塾のほうが落ち着いて学習できるということもあるでしょう。近所に塾があるし、友人が行くから自分も行くということもあるでしょう。

 

しかし、私は個人的には、学校がキチンと機能していれば、(特別な学校を受験しない限り)基本的には塾に行かないほうが良いと思っています。なぜなら、

@1日6時限も集中すれば十分で、それ以上は無理。ということは、学校でいかに集中できるかが大事。

A家に帰ってまで自由時間を拘束されるのは不幸。宿題を除けば、塾どころか夜遅くまで家で勉強するのも控えたほうが良い。睡眠時間にも差し支える。

B言うまでもなく、塾に行けば余分なお金がかかる。子育てや教育にお金が掛かるというが、掛かるのではなく掛けているのだと思う。

 

学校には、子どもたちや保護者の信頼を得るべく頑張って欲しいと期待しています。

 

 

B通知表の評価項目・・・わかりやすく工夫を

 

通知表が絶対評価に変わって数年が経ちますが、自分の子どもの通知表を見ると、評価の項目が抽象的でわかりづらいと感じます。通知表の性格からして、保護者に具体的なイメージがわく必要があるのではないでしょうか。たとえば、(自動車学校の星取表のように)九九、割り算、分数など各ステップをマスターしたか、どこでつまずいているか把握できるようにしてはどうでしょうか。

たとえば小学校4年生の算数を例にとると、「数学的な考え方の基礎を身に付け、筋道をたてて考える」とか「整数や少数の計算をしたり、図形の面積を求めたり作図したりする」のように、いろんな要素が一つの評価項目に入ってしまっているし非常に漠然としています。緒川小学校の場合は「三角形や四角形の内角の和の決まりを運用して様々な問題を解くことができる」「小数の計算の仕方を理解し、少数÷小数の計算問題を解くことができる」など非常に具体的です。

指導要録に評定を書くのは義務ですが、通知表をつくる義務はありません。つくり方は各学校の自由です。巻物でも、冊子でもカラーでもできます。工夫してわかりやすいものをつくって欲しいと思います。

 

答弁では、「緒川小学校と卯ノ里小学校では、通知表の評価項目を各教科の単元または題材別に設定、学期毎に評価項目が違う。いつ、どのような学習をどんな観点で評価したかわかりやすい反面、一部の題材の評価しか伝えられないデメリットもある。一方、他の学校では、指導要録に示された観点を総括的に知ることができるが、学習状況が伝わりにくい。」「詳細にわたりすべてを表現するのは無理なので、各題材や単元ごとのテストについてその達成度を示すなど、通知表を補完する手立てを考えたい。他のまちでは、個別の保護者あてのお知らせで補完している学校もある。また、自己評価をさせて先生との評価の違いを振り返らせようとしているところもある。」とのこと。

 

 

議案審議

 

 

[人事、条例、補正予算、請負契約]

@人権擁護委員の推薦(神谷昌宏氏、梶川達彦氏の再任)

A農業委員の推薦(戸田聡、駮丸義弘、水野茂の3氏を議会から推薦)

B税条例を一部改正する専決処分の承認(地方税法改正に伴う規定の整理)

C都市計画税条例を一部改正する専決処分の承認(地方税法改正に伴う語句の変更)

D平成20年度老人保健特別会計補正予算の専決処分の承認(5200万円を前年度へ繰上充用)

E監査委員に関する条例の一部改正(財政健全化法の施行に伴う語句の変更)

F職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部改正(法律の改正に伴う語句の変更)

G税条例の一部改正(地方税法の改正に伴う規定の整理)

H都市計画税条例の一部改正(地方税法の改正に伴う語句の変更)

I国民健康保険税条例の一部改正(地方税法の改正に伴う規定の整理)

J町営住宅条例の一部改正(暴力団員の排除、九俵池住宅の一部廃止)

K消防団員等公務災害補償条例の一部改正(政令の改正に伴い事故補償基礎額を微増)

L公共下水道森岡3号幹線の建設工事委託協定の締結(流入施設,5,600万円,日本下水道事業団)

M藤江ポンプ場の増設工事委託協定の締結(電気設備の更新及び増設,1700万円,日本下水道事業団)

N平成20年度一般会計補正予算(法人税5,840万円を還付、自立支援システム改修委託126万円、乾坤院山門の改修補助金200万円、保育園耐震改修工事5,099万円の取り止め)

O下水道工事請負契約の締結(管渠敷設,4,851万円,東浦土建)

P下水道工事請負契約の締結(管渠敷設,7,989万円,地建興業)

 

BCは、地方税法の改正を41日から町税に反映させるための専決で、Bには住宅の省エネ改修に対する固定資産税の減額、住民税の住宅ローン控除の申告期限の延長などが含まれます。

Gの主な改正点は、ふるさと寄付を促進するため地方自治体に対する寄附金税制を拡充、公的年金から住民税の天引きを導入、株式の配当や売買益に対する軽減税率の廃止など。Iは、公的年金から国民健康保険税の天引きをするためのもの。

Nの還付は高額納税を予定していた企業が赤字を出したため、既に納めてあった法人町民税を返すもの。赤字の持ち越しで来年度も税収が減る可能性がありそうです。また、耐震強度が足りないとされていた石浜西保育園の耐震診断に計算ミスが見つかり、耐震改修工事が不要になりました。

Pでは、町外業者が参入する一般競争入札が行われ、刈谷市の業者が予定価格の78%で落札しました。Oが予定価格の95%だったのに比べて競争性が顕著に表れました。

GIについては、共産党以外の賛成多数で可決、他は全会一致で可決しました。

 

 

[請願・意見書]

@労働者派遣事業法の抜本的な改正を求める意見書

A後期高齢者医療制度の廃止を求める意見書

 

@Aともに共産党のみの賛成で不採択となりました。Aに関する私の反対討論は以下の通りです。

 

4月から始まった後期高齢者医療制度は、75歳以上を後期高齢者として分離、財源に一定のルールを設け負担をより明確化させたものです。税や若年者の保険料負担で医療を支えている構図は基本的に変わりありませんが、少子高齢化に伴い若年者の負担が急激に増加しない仕組みを設けたこと、従来市町村で行っていた財政運営を県単位まで広域化したことにより市町村格差を是正したこと、被扶養者も被保険者に組み込まれ同じ県内で同じ所得の個人に係る保険料は原則同じになることなどが大きな特徴です。

一方、多くの問題点が指摘されているのは周知の通りです。とくに低所得者の負担が過大なこと、終末医療の在り方、責任のはっきりしない広域連合方式などの問題点を含んでおり、生活者や医療現場の実態も把握したうえで見直すべきと考えます。年金からの天引きが批判されていますが、煩雑な手続きを考えれば納入側にも徴収側にも有利な納付方法と考えます。

高齢者の医療費が増大し続け、現行の制度では持続可能な医療保険制度を維持できなくなっており、制度改革に迫られているのは事実です。単に再び後期高齢者医療制度を廃止したところで何ら問題の解決にはなりません。4月にスタートしたばかりの地方自治体のシステムを再度変更させれば混乱を招くでしょう。新制度下における生活者や医療現場の実態も詳細に把握すべきです。

後期高齢者医療制度に多くの問題点があることは同感です。あるべき医療制度について財源問題も含め国民的な議論を行うことは不可欠ですが、制度自体の廃止を前提としている本意見書案には賛成できません。

 

 

自然環境学習の森 計画づくりワークショップ

 

621日と75日に、東浦町が主催する「自然環境学習の森ワークショップ」に参加しました。

このワークショップは、現在、県が竹林の間引きと管理歩道の整備を進めている「自然環境学習の森」について、今後この地区をどう保全し、自然環境を再生していくか、市民のアイディアを活かした計画づくりを進めるためのものです。公募による市民参加の森づくりへの第一歩です。

参加者20人程度を募集したところ、1日しか出席できない人を含めて18人ほどの応募がありました。多くの方が炭焼きや生物観察など、日ごろ環境に興味を持って活動していらっしゃるようです。参加者の中には小学生も。また頼もしいことに町外からも、力になろうと参加して下さった方がいらっしゃいます。これに、自然観察会のメンバーで、それぞれ鳥や虫や魚、植物などに詳しいアドバイザーの方が6人、町の関連部署の方がオブザーバーとして10人。総勢30人ほどで役場に集合。

1回目は、現地を見学、役場に帰ってから、自然環境学習の森の保全活動の在り方や、やってみたいこと、必要だと思われる施設など、気のついたことをシートに書き込んで解散。

2回目は、出席者が2つのグループに分かれてディスカッションをしました。最後に各グループで出た意見を発表。各自の意見の違いはそんなに大きくなかったと思いますが、欲しいものを挙げただけで、本当に必要かは吟味せず、それ以上の突っ込んだ議論がなかったのが残念です。肝心なのは、少々時間がかかっても自分たちで合意形成し、結論を導き出すことだと思います。当然意見対立もあるでしょう。そういう意味では、議論する時間が足りませんでした。参加者が言いたいことだけ言って、あとは行政任せでは、従来の「要求型・お願い型の民主主義」からの脱却はできないと私は思います。

行政は、一旦、今日出た意見を集約しアドバイザーと検討を重ね12月くらいまでに計画案をつくりたいとしています。ただし、それで決定ではなく、改めてワークショップのメンバーを集めて議論をしたいとの姿勢です。さらに自然環境学習の森の整備後の管理・運営についての議論も必要です。

東浦町にとって、公募による計画づくりのワークショップはこれが初めてです。今後、これらの経験を糧に市民参加の内容を充実していけることを期待します。

 

 

地域公共交通会議を傍聴・・・う・ら・ら新路線の概要がほぼ決まりました

 

10月からの新路線と新時刻表の案が出され基本的に了承されました。少々複雑で不規則なダイヤですが、運転手の休憩時間や学校の下校時刻など制約の多い中、緒川駅東口での乗り継ぎを可能にして、東ヶ丘、長寿医療センター、平池台(ふじが丘―県営住宅―文化センター経由と体育館東―県営住宅―役場経由)、刈谷駅の各方面へ、それぞれ1時間〜2時間に1便程度を確保した労作だと思います。運行時には、利用者にわかりやすい時刻表の表示を工夫してほしいと思います。

 

 

これはあくまでも私個人の目から見た議会活動報告です。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。

9月定例議会本会議の開催予定は9月3(水),4(木),5(金),8(月),22(水)の5回で、いずれも朝9時30分からです。4は議案の上程と説明、5・6は一般質問、9は議案の質疑、18は討論・採決です。10(水)〜12(金)には常任委員会が予定されています。

 

平成20年7月19日

 

神谷明彦

E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com

 

 

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