神谷明彦の12月定例議会報告 (第35号)
庭の金魚が氷の下で泳いでいます。寒い日が続きますが如何お過ごしでしょうか。
12月定例議会本会議は12月7(金),10(月),11(火),12(水),21(金)の5回開かれました。このうち、7は議案の上程と説明、10・11は一般質問、12は議案の質疑、21は討論・採決でした。本会議で上程された議案は3つの常任委員会に分割付託され審査の後に、本会議最終日に採決されました。
@バス路線の再構築は待ったなし
知多バスが刈谷線と刈谷・石浜住宅線の撤退を表明しました。平成20年10月1日の路線廃止までに町内のバス路線を再構築しなければなりません。
<今後の対応と方針は>
現行知多バス代替路線の検討、刈谷乗り入れの検討、駅や乗り換えなどの交通結節点をどこに設けるか、利用者に乗ってもらえるための工夫、PRの工夫、などをどう考えているのでしょうか。
行政としては、住民に乗ってもらえる路線づくりには、バス停配置、バス停の親しみやすい呼称、わかりやすいダイヤ設定を重視。町の広報誌、車内広告、CATV、ホームページなどを使ってPRしたいとのことですが、具体的なことはこれから議論し、後述の地域公共交通会議で協議決定し、7月下旬には運輸局に申請を出したいとのこと。刈谷乗り入れは、刈谷豊田総合病院と刈谷駅を考えています。
利用促進策として、沿線マップを作ったり賢いバスの活用法を提案したり、利用者111万人突破(すでに9月に百万人突破)記念イベントで認知度を上げるなどが考えられないでしょうか。バスのチョロQを発売している自治体もあります。
知多バス、うららの時間帯別乗降数は把握しているでしょうか。利用者に便利なダイヤづくりには、現状分析が欠かせません。始発と最終便を決めるのにもデータが役に立つはずです。
<地域交通会議の公開と住民からの意見集約は>
バス路線を再構築するには、東浦町地域公共交通会議を立ち上げ、関係者と協議することになります。特に刈谷乗り入れや、他のバス、タクシー業者と競合が予想される場合には、関係者との十分な調整が必要です。この制度ができる以前には、自治体運行バスが隣の市町に乗り入れることは困難とされていました。会議のメンバーは、町長が主催し、区長、利用者3人、バス・タクシー会社、タクシー労組、半田・刈谷警察署、刈谷市、国・県の機関、学識経験者など26人。会議の傍聴や情報公開はどうなっているでしょうか。また、真に住民に親しまれる公共交通をつくるには、グループインタビュー等、地域住民の参加のプロセスが必要ではないでしょうか。
答弁によれば会議は誰でも傍聴可能とのこと。議事録等もホームページで公開したいものです。住民参加については新路線の素案ができたらパブリックコメントで住民意見を聞きたいとしていますが、素案を作るにあたって地域住民や利用者と懇談して意見収集することは考えていません。東浦町はこの辺の住民参加の仕掛けが下手だと思います。
A自転車の利用を促進するまちづくりについて
石油価格が高騰している中、マイカーへの依存度を減らし、徒歩や自転車で回れるまちづくりを考えていくべきではないでしょうか。自転車での移動が増えれば、コストはもちろん、交通事故、交通渋滞、環境、健康、地元商店街の活性化など、影響は多岐にわたると考えられます。道路新設の際の自転車レーンの設置、放置自転車の再生、町をあげての自転車利用推進キャンペーン、その他の推進策は考えられないでしょうか。
答弁では、今後のまちづくりの検討課題とのことでしたが、具体策となると決め手に欠きます。残念ながら時間が足りなくて十分な質問ができませんでした。
Bため池保全計画について
愛知県は、ため池保全構想を打ち出し、灌漑だけでなく、生物生息の場、学習や自然観察の場、憩いの場、水辺の景観、歴史文化財としての価値、洪水調節、防火用水など、ため池の多面的機能に着目し、それぞれの池の状況に応じた保全の在り方を示そうとしています。市町村に対しても、ため池保全計画の策定を促しています。
<ため池保全計画策定に向けた東浦町の対応は>
答弁では、ため池保全計画は平成20年度に策定予定とのこと。現在、県からヒアリングを受け、知多管内の市町と基本的考え方を調整中。
<飛山池のオニバスはどうなっているか>
オニバスは平成7年以降見つかっていません。水位や日射が発芽に影響するらしいですが、自然な開花の条件は整っていません。将来のために於大公園で種を保存中との答弁でした。
<市街地の中にあるため池の水辺整備は>
とくに、生路の厄松池や切池は、下水道完成後に市街地の水辺の在り方を考えるべきと思います。
答弁では、厄松池以外については堤体整備済み、石浜の田之助池、宮の池は水辺に配慮した整備を完了。厄松池については地元意見を聞きながら周囲の環境に配慮した整備を検討したいとのこと。
ため池改修事業で岸や堤をコンクリートで覆ってしまうことで、生物が棲めない、人が落ちると上がれないので危険、景観的にも好ましくないなど、ため池の多面的機能を損ねてきたのではないでしょうか。厄松池はコンクリート張りにしないで、市街地の中の親水的な憩いの場にしたいものです。地域住民や子どもたちも参加して池の将来像を計画できると楽しいと思います。授業で宿題を出すと小学生はとても夢のある絵を描いてくれます。
C「自然環境学習の森」の今後について
私はかねてからこの新池周辺と飛山東地区の里山に注目してきましたが、町内最大のまとまった里山である飛山東地区の宅地開発が決まってしまって残念で仕方がありません。非常に力を落としています。
残るは本当に新池周辺だけになってしまったわけで、この場所については、本来の里山の自然をしっかり残していけるよう働きかけをしていきたいと思っています。
自然環境学習の森の里山再生は11月から作業に入っていますが、住民参加をうたいながら、行政の公共事業のペースになってしまわないか危惧します。
<生物、地形、水流、歴史などの現地調査、周辺調査は>
学習も兼ねて、住民、現地農家や専門家の参加による調査、プラン作りが望ましいと考えます。
答弁では、県はすでに地質、気象、動植物、水質環境などの調査をしている。今後、生物観察同好会と打ち合わせながら自然再生のみでなく住民が自然に触れ合い生物観察を楽しめるところにしたいとのこと。
<住民向けの里山再生に関するPRや研修・講座の予定は>
これから施設整備や人材育成の研修、講習会、住民参加、管理運営方法を計画したいとの答弁でした。
<竹林伐採後の植栽は>
当地に縁のない植物や動物、土壌を持ち込むのは好ましくないというのは今や常識です。植林をすると言っていますが、どんな木を植えようとしているのでしょうか。
竹林は一部を除き伐採、自生木は残し、シラカシ、クヌギなどの在来種を植えるとの答弁でしたが、植林はほどほどにしておくべきだと思います。竹を切った後に植林はせずに、自然に芽吹くのを待っても十分ではないでしょうか。また湿地のある谷の部分まで木を植えてしまうと谷が暗くなってしまいます。町外から木や土壌を持ち込むのは問題です。どうしても植えたいのなら飛山東の木を移植したらいかがでしょうか。
<補足>
12月の初めに、ため池や里山の保全に携わっている専門家にご一緒いただいて現地を見てきました。
低農薬の自然に近い農法で水田耕作しているためか、タニシがいっぱいいます。トンボの種類も豊富だし、きっと良い場所になるとのコメントをいただきました。そのほかにも、「維持管理には、自然に対するしっかりした考え方と知識をもった『長』を決めて、地域住民で継続的な活動が必要。『本来の自然の復元』というしっかりしたコンセプトを提示すべき。営農されている方にも指導に参加いただいては。」などのアドバイスをいただきました。
近くの明覚池は東浦で最も自然(水草、トンボ)に富んでいるので、明覚池との連携(公園区域を広げる、遊歩道でつなげる)も考えてはどうかと思います。
[条例・補正予算・その他]
@人権擁護委員の推薦(安藤慧氏の再任)
A職員定数条例の一部改正(町長部局を295から304人に、教育委員会部局を58から49人に変更)
B職員の勤務時間、休暇等に関する条例の一部改正(有給休暇を年付与から年度付与に変更)
C職員の育児休業等に関する条例の一部改正(法律の改正に伴い、育児休業をした職員の職務復帰後の昇給に配慮)
D職員の給与に関する条例の一部改正(扶養手当、勤勉手当、管理職手当の増額、若年層の給料を増額)
E企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部改正(法律の改正に伴い、退職手当、部分休業についての規定を変更)
F愛知県後期高齢者医療広域連合を組織する地方公共団体の数の減少及び愛知県後期高齢者医療広域連合規約の変更(音羽町、御津町の豊川市編入に伴う構成市町村の変更)
G町道路線の変更(相生の丘宅地開発地内)
H町道路線の認定(相生の丘宅地開発地内、緒川北山神宅地開発地内)
I平成19年度一般会計補正予算(寄付金収入、給料・諸手当の改定、電算システム開発・LAN更新等の延期など)
J平成19年度国民健康保険事業特別会計補正予算(コンサルに委託予定だった特定健診等実施計画策定を内製に変更)
K平成19年度下水道事業特別会計補正予算(森岡・藤江ポンプ場耐震設計見直し)
L平成19年度緒川駅東土地区画整理事業特別会計補正予算(人件費の補正)
M平成19年度水道事業会計補正予算(人件費の補正)
Iの補正予算。住民からの寄付金で図書館のインターネット閲覧用のパソコンを更新したいとのことです。しかし、2台で59万円とかなりの高額。また買い替えの理由が「パソコンの立ち上がりが遅い」とのこと。どうしてインターネット閲覧のたびに電源を切る必要があるのか。パソコン購入の必要性、機種選定の妥当性、図書館におけるインターネット閲覧方法の再検討を求めました。これに対して行政は、執行段階での見直しを約束しました。
寄付をいただく場合は、当然寄付者と行政が活用方法について話し合うわけですが、細かい使途まで指定があることは稀です。行政としてはなるべく早く役立てたい気持ちはわかりますが、一呼吸おいてから本当に必要なものは何かを考える余裕がほしいと思います。教育、交通安全など大まかな使い道ごとに基金を設け、そこに寄付金をプールして、必要な時に買い物をするのも一つのアイディアだと思います。
上記の議案は全会一致で可決されました。
[請願・意見書]
@知多バス路線・町営バスに関する請願
A原爆症認定基準の抜本的改善を求める意見書
B教職員定数の改善にむけて十分な予算確保を求める意見書
C最低賃金の引き上げを求める意見書
D東浦町・大府市に警察署誘致を求める意見書
E地方税源の拡充についての意見書
@は賛成すべきか反対すべきか迷いました。知多バスが撤退しては困るので、行政に対して知多バス存続を働きかけるよう求める。また、知多バス撤退が避けられないならば、う・ら・らの町外乗り入れを求めるのは、知多バスが撤退表明した状況の中では当然の願いだと思います。300人もの住民の皆さんがこのようなこのような請願を出してこられた事実は重く受け止めなければなりません。
しかし、本請願の真意は、行政が知多バスに代わって、国道沿いにう・ら・らの路線拡充を図り、刈谷に乗り入れたとしても、依然として知多バスの存続とう・ら・らの半田乗り入れを要求することにあることが明らかになってきました。
私は、補助金を払ってまで知多バス路線を存続させるべきではないと考えています。また、利用者の極めて少ない半田方面への輸送を大量輸送機関であるバスに担わせるのは得策でないと考えます。よって私は、本請願書の採択に反対しました。
Dは大府市議会が同様の意見書を採択するのを受けて、東浦でも遅れじと出したものです。
Eは県から意見書のひな型が来ました。東京都、愛知県、大阪府などの都市部の法人事業税収を地方に振り向ける国の措置を暫定的に認めるかわりに、地方交付税の復元、国から地方への権限移譲・税源移譲を求めるものです。
@Aは共産党のみの賛成で不採択。Cは共産党と齋議員と私が賛成しましたが不採択。他は全会一致で採択されました。
東浦の公共交通をどうつくりかえるか・・・加藤博和准教授を招いて勉強会
11月5日に名古屋大学大学院の加藤博和准教授http://orient.genv.nagoya-u.ac.jp/kato/Jkato.htmをお招きして、東浦の今後のバス交通のあり方について、議会と行政の担当者向けに講演をしていただきました。これは、知多バスの撤退表明を受けて、私が加藤先生にお願いしたものです。加藤先生には、人と環境にやさしい『持続可能な』交通体系の実現研究の傍ら、あちこちの自治体のバス運行への助言や国・県の制度作りへの関与(地域公共交通会議の生みの親も加藤先生です。)など、多忙の中、わざわざ東浦までお越しいただきました。
講演の中で、示唆的だったのは、
●これまで、規制に守られて、バス事業者はお客様や地域を向いた商売をしてこなかった。また、自治体や沿線住民もその場限りの路線廃止反対運動しかしてこなかった。これからは、地域住民の主体的参加が必須。
●バスの基本コンテンツは系統、ダイヤ、乗降施設、車両。安かろう悪かろうではダメ。地域住民の自由な発想でライフスタイルを提案すべき。
●地域公共交通会議の利点。活用できそうな国の補助制度の説明。
●知多バス撤退後の東浦のバス交通への提言として、
@う・ら・ら1号線・2号線を4両体制にし、1時間ヘッドの運行に。緒川駅で両路線の接続をとる。
A石浜・生路付近は国道経由を設定、全便石浜住宅経由とする。
B刈谷市内(総合病院、刈谷駅)にう・ら・らを直行させる。
最後に、「自動車依存度と生活習慣病罹患率とは比例するとのデータがある。公共交通の充実は『健康都市・東浦』にとって重要な要素」と結びました。
加藤先生には東浦町の地域公共交通会議に学識経験者として参加いただき、東浦のバス路線再構築について助言をいただくことになりました。行政は、加藤先生と計画の初期段階から突っ込んだ意見交換をしてアドバイスをフルに活用してほしいものです。
10月31日に、生路小学校の5年生のクラスでため池の環境をテーマに講師を務めました。担任の先生から里山の大切さも話してくださいと言われましたが、うまく子どもたちにわかるように説明できたか心配です。
11月11日(日)は小学生や保護者、先生方も参加して厄松池の掃除をすることになっていましたが、いやーな予感が的中。昨夜からの雨が降り止まず、8時半の時点で学校と相談の上で中止を決めました。
9時半ころになったら、予報通り雨は上がり日が差してきました。予備日をとっていなかったので、大人の有志だけで掃除をすることに。岸の草刈をして、岸と池の中のゴミを拾って、トラックで搬出。池の中のアシまでは手が回りませんでしたが、少ない人数の中でできるだけのことをしました。
これはあくまでも私個人の目から見た議会活動報告です。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。
3月定例議会本会議の開催予定は3月3(月),4(火),5(水),7(金),21(金)の5回で、いずれも朝9時30分からです。3は議案の上程と説明、4・5は一般質問、7は議案の質疑、21は討論・採決です。3月定例議会では平成20年度の予算・・・あなたの税金の使い道を審議します。
平成20年1月24日
神谷明彦
E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com
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