平成17年12月定例議会報告  (第27号)

 

早いもので、もう一年が終わって新しい年になりました。皆さんはお正月を如何過ごされたでしょうか。

12月定例議会が終了しましたので議会報告を致します。本会議は12月6(火),7(水),15(木)の3回開かれました。このうち、6・7は一般質問、7の後半は議案の説明・質疑、15は討論・採決でした。

 

 

一般質問

 

 

@行政評価の進捗と今後について

 

行政評価の進捗と現状の問題点、今後の展開について訊ねました。東浦町の行政評価は、住民への説明責任、職員の意識改革、政策形成能力の向上を目的にしています。その点においては、職員自ら担当する事務事業の評価シートを作成し、コストと効果の観点から仕事を見直すことにより一定の効果が得られたとの答弁でした。

ただし、評価シートはまだまだ不十分で、事務事業のくくりや評価指標を改善する必要があります。行政評価が進めば、予算策定や総合計画との連係、さらには職員の目標管理や人事評価との連係も考えられますが、いまだ具体像は見えていません。

 

<事務事業評価が始まる>

行政評価とは、住民ニーズに基づくサービス(住民満足度=成果÷コスト)の向上のため、目標を明確にし、客観的な評価を行い、その結果に基づいた改善を次に反映させるための仕組みです。

平成14年度から行政評価の導入が開始され、16年度には295件の役場の事務について事務事業評価表を作成し、7月に公開できるようになりました。

しかし、これまでのところ閲覧者は私のみ。説明責任をどう果たすかとの問いに、3月までにインターネット上で公開するので反応を見たいとの答弁でした。

評価表を見ると、独立した幾つかの事業(ひとつの課の仕事すべて、複数の道路整備など)がひとくくりにされているなど、事務事業のくくりに問題があります。事務事業、施策、政策の関係も明確になっていません。この点に関しては、18年度中に完成品にしたいとの答弁でした。

目標値や達成度の設定もいい加減です。また、評価のほとんどが現状肯定(縮小5%、廃止1%)では事務事業の改善は望めません。これはくくりが完成してからの課題です。

 

<今後の課題>

形式的に事務事業評価表の作成を導入するのは簡単です。重要なのは本当の意味での意識改革、評価の精度向上、結果の活用です。

 

<予算編成との連係は>

まずは、予算や実施計画と事務事業との関連がはっきりするように、18年度中にくくりを改善するそうです。

 

<人事評価との連係は>

公務員は働いても働かなくても待遇に大差が出ません。成果主義をある程度取り入れることが必要です。行政評価が妥当なものならば、当然、成果は人事評価に連動すべきです。これに対しては、「時代の流れ」と言いつつも「国の動きを見ながら」と、消極的な答弁でした。

 

<評価に住民の視点を>

「外部評価(民間からの評価)、住民満足度調査などを検討したい。避けて通れないが、スケジュールは未定。」との答弁でした。

 

<事前評価は>

東浦町の行政評価は事後評価の方針を掲げていますが、新規事業(着手前)の評価はどうするのでしょうか。これに対して、「施策評価、政策評価まで進むと避けて通れない課題だが、事務事業評価の中では事後評価のみをする。」との答弁でした。

 

職員にとっては、自分たちの仕事に還元されないと、作文の面倒が増えただけで、やりがいが出てきません。職員のトレーニングに加えて、効用が実感できるように進めて欲しいと要望して質問を終えました。

 

 

 

A補助金交付の大胆な見直しを

 

東浦町の各種団体への補助金は、16年度決算で約2.5億円、交付金まで入れると約3.1億円にもなります。昨年度、およそ10%のカットを行いましたが、この手の補助金は、既存の補助団体の既得権が尊重される傾向にあり、思い切って見直しをすることが困難です。

千葉県我孫子市では、各種団体への補助金を一律何%カットと言った方法をとらずに、一旦すべて白紙に戻し、その上で補助を希望する団体を公募、そのうち応募のあったものを市民で構成する検討委員会で審査し、その結果に基づいて補助金を交付しています。継続分の1/3が不採択になるなど、新旧の新陳代謝が進んでいるようです。また、一度交付が決まっても、最長3年間で白紙に戻すことになっています。

東浦町における今後の補助金のあり方について質問しました。

企画部長からは、「各種団体あるいは様々な事業に対する補助金については、行政が関与すべき必要性、費用対効果、負担のあり方等を検証し、住民に対する説明責任を果たしながら整理合理化を計画的に進めていく必要がある。」「総務省の指針に基づき、行政改革推進本部を設置し、本年度中に集中改革プランを策定する。」との答弁がありましたが、「改革」の具体的な中身は不明です。

町長は、「人によって見方が違うので客観的な物差しはない。まちとしての重点課題(政策的に重点を置きたいものを)を行政が判断する。」と言いますが、果たして行政に大胆な見直しができるのでしょうか? 少なくとも我孫子市は、当局で大胆な見直しはできないと判断しました。それで、一旦白紙化して、市長の支持団体への補助も、医師会への交付金も廃止できたのです。延命ではなく育てる発想が必要です。団体自体のやる気や活躍する場を見出して、それを助けていくやり方をとらない限り、問題は本質的に解決しません。官製団体の自立・育成には、指定管理者制度を利用するなど補助金以外からのアプローチもありうると思います。

他の自治体と協定を結んで負担金を出し合っているものもあります。知多地区に複数ある道路建設促進協議会、民生事務協議会などの負担金は、整理統合の傾向にあります。これらはもっと早く整理できたはずだし、他にも潜在的に不要なものがあるはずだと思います。町長は、「状況も刻々と変わっているので、絶えず問題意識を持って行きたい。」と答えました。

 

 

議案審議

 

 

[条例・その他]

@人権擁護委員の選任(水野和子氏の再任)

A行政手続等における情報通信の技術の利用に関する条例の制定(インターネットを使った電子申請・届出を可能とするための条例整備)

B行政手続条例の一部改正(インターネットを使った電子申請・届出を可能とするための条例整備)

C知多北部広域連合規約の一部改正(地域支援事業に関する事務を追加)

D町道路線の廃止・変更・認定(石浜三ツ池区画整理地内,藤江下廻間宅地開発地内)

E平成17年度一般会計補正予算(庁舎壁面改修、障害者扶助費、水路改修など)

F平成17年度下水道事業特別会計補正予算(維持管理委託料の確定による減額など)

G森岡ポンプ場整備事業用地の買入れの承認(森岡栄北地内5,533uを7,538万円で購入)

 

ABは、役場の窓口に行かなくても、インターネットと住基カードを使って個人認証をし、電子情報を送ることによって申請や届出行為ができるようにするためのものです。まず、一月下旬から上下水道使用開始届など11の手続きができるようになる予定です。

Cは地域支援事業が創設されることによるもの。市町村の行う介護予防サービス等が介護保険に組み込まれるようになります。

上記すべての議案は、全会一致で可決されました。

 

 

[請願・意見書]

H地方の道路整備の促進と財源の確保に関する意見書

I個人所得課税に関する慎重審議を求める意見書

 

Hは、地方道路の整備のための財源確保を訴える内容ですが、実は、中央官庁が道路特定財源の存続を図りたいがために、県を通じて各市町村に意見書の採択をけしかけているものです。意見書は本来、議員の発案で地方自治体の公益に関する意見を述べるためのものですが、この手のブーメラン的な意見書に加え、中央の業界団体や労働団体から雛形が送られてくるケースが非常に目立ちます。私は、こうした意見書の現状にかねてから批判的でしたが、意見書の趣旨(地方の生活道路整備が必要)に賛同できれば、全会一致の意見書採択に協力しています。

Iは、労働団体からの要望で、各種所得控除の縮小に対し慎重審議を求めるものです。収入のある方にはたとえ僅かでも納税していただいて、納税意識と参画意識を持っていただきたいのが私の持論ですが、「増税する前に行政改革を急げ」との趣旨に会派として賛同して、採択に努めました。

HIは全会一致で可決されました。

 

 

臨時議会の報告

 

11月28日に臨時議会がありました。主な議案は、人事院勧告に基づき職員給料を平均で約0.3%引き下げ、勤勉手当を約0.05%引き上げる条例改正です。これによって、給料月額が平均1054円、配偶者手当が一律500円(13500円→13000円)それぞれ引き下げ、期末勤勉手当が年間4.4から4.45ヶ月分に引き上げになります。町全体の年間の給与費としては105万円ほどの削減になります。

これに先立つ11月12日に、行政から議会各会派に議案の取り扱いについて相談がありました。内容は、一般職職員の給与(給料+諸手当)を改定すると同時に、議員と町4役(町長、助役、収入役、教育長)の期末勤勉手当も引き上げるかどうかについてでした。同席した他会派の代表者たちは、期末勤勉手当の増額に前向きでしたが、私は便乗値上げには住民の理解が得られないとして反対を表明、蒼志会の2名も反対を表明したために、協議の結果、議員と町4役の期末勤勉手当増額の議案は提出されなかった経緯があります。

 

 

視察の報告

 

10月末に総務委員会で千葉県市川市と我孫子市へ行って来ました。市川市は、市民税の1%相当額を納税者が指定するNPOなどに交付する制度(使途指定納税の一種と考えることもできます)を創設したことで有名です。我孫子市の補助金制度見直しについては、視察するだけでなく一般質問で取り上げました。東京近郊のベッドタウンでは、NPOを育成するなど、団塊世代の大量退職者の活躍の場作りに腐心しています。

 

11月初旬には会派で兵庫県西宮市の財政改革と滋賀県愛知川町の図書館を視察しました。特に、愛知川町立図書館は、以前、朝日新聞の書評で館長の渡部幹雄さんの著書を知ってから是非一度行ってみたいと思っていた所です。

まず、館長がすごい。渡部さんは元々大分県生まれで、地元の緒方町役場職員だったときに図書館担当になりました。それから図書館の虜に。長崎県森山町で図書館新設計画が持ち上がったとき、町長に乞われて役所を移り、そこで図書館の立ち上げを指揮。木造で日本一の図書館を完成、利用者が大幅に増加しました。さらに、平成10年、愛知川町長に乞われて愛知川町に。このとき、断るつもりで、ほとんど無理な条件を(自分の待遇に関してではなく、新図書館のコンセプトやスペックに関すること)付けたが、町長がすべて呑んでしまったので断れなくなってしまったのだそうです。図書館を語らせたら話は尽きません。

そして、ハードがすごい。約15億円(併設の公園と瓶手まり展示館を含む)掛けた延べ床面積約3,000uの平屋造図書館の中には明るく広々としたスペースに木製のシンプルなデザインの本棚が並んでいます。現在の蔵書は13万冊ですが、26万冊まで収集できるそうです。本棚の高さは車椅子で届く程度の高さなので、館内を見渡すことが出来ます。読書コーナーは、畳だったり、掘りごたつのようになっていたり、円卓があったり、ソファーがあったり、カウンターのようになっていたり、書斎風だったり、それぞれ個性があって、利用者は思い思いの場所で読書が出来るようになっています。庭にも、テーブルが置いてあって、ガーデンテラスで本を読むこともできます。もちろん子どものコーナーも広くかつ工夫がされています。

それから、ソフトもすごい。書棚の本のディスプレイはきれいで、工夫がなされています。そして、書籍に限らず、あらゆる資料を自分たちで収集しています。全国の電話帳、新聞の折り込みチラシから、町内の飲食店のメニュー、自動車販売店のパンフレットまでも・・・。この図書館では、セールスマンにせかされることなくのんびり車選びが出来るのです。このほかにも、利用者が地域の紹介したいスポットをカードに書いてファイルする仕組みや、他県の市町村が送ってくる情報など、自己増殖型のデータファイルを備えています。

資料集めだけではなく、情報発信も怠りません。地域や小学校の今昔写真展、郷土資料の編纂、図書館の建物内外を利用した音楽会や薪能。併設のびんてまりの館での展示も企画します。本を貸すだけではなく、縦割りの垣根を意識することなく、中央公民館や郷土資料館、教育委員会や児童館の仕事にも手を広げていく積極性には感心させられます。

この図書館は、毎週月・火がお休みです。私が「利用者は不便ではありませんか?」と訊ねると、館長いわく「そんな質問をするのは町外の方だけです。町内の苦情はありません。”図書館は週休一日”の固定概念に縛られていませんか?」「図書館のかき入れ時は日曜日。日曜日に職員が一丸となって最高のサービスをするためには、週2日休みでないとシフトが組めません。職員のコンディションを整えるのはマネージャーの役目です。」とのお答えでした。

良いことばかり書いているようですが、とにかく一見の価値はあります。

 

 

厄松池の掃除

 

11月27日(日)に厄松池の掃除をしました。今年は、小学生5・6年に加えて4年生も加わったために、100人近くの子どもたちが集まりました。先生方やたくさんのお父さんお母さんの参加のおかげで、何とかお昼前に無事作業を終えることができました。今年は、池の中のヨシなども刈り取りました。ヘドロで足をとられてしまうので、コンパネやパレットを池の中に敷いて作業をしました。全部刈り取ってはカモがかわいそうだと言う声があったので、ヨシを少しだけ残してあります。

 

掃除前の厄松池

 

草取りとゴミ拾い              ヨシの刈り取り             ホテイアオイの引き上げ

 

掃除後の厄松池

 

    厄松池の掃除は、地域のボランティア活動として行っています。折に触れ、議会報告の中で紹介していますが、政治信条とは関係なくたくさんの有志の皆さんに参加いただいています。

 

 

公共施設のアスベスト問題

 

最近まで建材の中にアスベストが使われていたのはマスコミも知っていたはずなのに報道されませんでした。そして中皮腫が問題になってから、天井材にも屋根材にも壁材にもアスベストが入っていると騒ぎ出しました。そもそも中皮腫禍が起こっているのは30年前の劣悪な製造環境が原因ではないでしょうか。それと今、建材の中に数%含有しているアスベストを同列に扱うのはいささか理性的ではないように感じます。

とは言っても、子どもたちの通う公共施設でアスベストが飛散する可能性がある以上は対応せねばなりません。石浜保育園と石浜西保育園では建物全体にわたってアスベスト含有の天井材が吹き付けられていることが判明したために、一旦閉鎖し除去作業を行うことになりました。その間(9月頃まで)勤労福祉会館と文化センターが保育園代わりになります。この件での行政の対応は素早かったと感心しています。

 

 

これはあくまでも私個人の考えを率直に述べたものです。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。

前号の議会報告では、読者から一般質問の報告がわかり辛かったとの指摘を受けました。今回も難解な部分があったのではと反省しています。次回は、もっと簡潔にわかりやすく書くように心掛けようと思っています。

平成18年3月定例議会本会議の開催予定は3月2(木),3(金),6(月),8(水),22(水)の5回で、いずれも朝9時30分からです。2・3は主に一般質問、3の後半〜8は議案の説明・質疑、特に18年度の予算を審議します。22は討論・採決です。あなたの税金の使い道を決定します。

 

平成18年1月25日

 

神谷明彦

E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com

 

 

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