平成17年9月定例議会報告  (第26号)

 

9月定例議会が終了しましたので議会報告を致します。本会議は9月6(火),7(水),8(木),9(金),21(水)の5回開かれました。このうち、6・7は一般質問、8・9は議案の説明・質疑、21は討論・採決でした。

衆議院議員選挙で小泉自民党が圧勝しました。私は中央政党の選挙にはノータッチです。他の議員さんから、神谷さんは暇でイイねえと言われたときには、「それ(国政選挙)は議員の仕事じゃなくて、党員の仕事でしょ!」と言い返しています。

 

 

一般質問

 

 

@愛知用水二期事業地元負担金について

 

東浦町は、愛知用水二期事業の地元受益農家負担を、年間10aあたり2,100円から1,000円へと引き下げる方針を打ち出しました。これは、東浦町に対する県の負担分が15年間で2.8億円ほど増額されることを受けたためで、町の負担分も受益農家の負担分も軽減することができます。しかし、県の負担で受益農家の負担を減らすと言うことは、一旦妥結したはずの受益農家負担をさらに減らすために住民の税金が使われることを意味します。納税者の納得は得られるのでしょうか?納税者に十分な説明がなされるのでしょうか?

東海市や大府市が1,000円にしているからと言いますが、これは(過去の議会答弁にもあるように)各自治体が財政状況に応じて決めることです。まさに人生イロイロ、自治体もイロイロです。

ある農家の方は、「年10aあたり1,100円安いかどうかより、ちゃんと水が出るかどうかのほうがよほど重要。農家が二期事業に賛成したのも水がちゃんと出ることを期待したからだ。」と仰っていました。

農家が苦しい、二期事業負担金が高いと言いますが、愛知用水の経常賦課金(いわゆる年間の水道料金に相当するもの)は10aあたり5,430円で、はるかに高くなっています。これらはもっぱら愛知用水の維持管理に使われているはずですが、人件費や愛知用水会館などのハコモノに必要な経費も無視できないはずです。愛知用水土地改良区が二期事業負担金を減らせと自治体に圧力をかけるのなら、まずは農家のために経常賦課金を減らす算段をすべきではないでしょうか?

私は、安易な負担の肩代わりはすべきでないとの立場で質問しましたが、町は農業保護のために必要との答弁です。税金を出している以上は、住民には知る権利があるし、町には説明する責任があります。この問題は広報やホームページでキチンと説明するよう要望しました。

また、「補助金だから、町のお金じゃないから」と国や県からもらったお金を安易に使う傾向があります。この件に限らず、「国や県からもらったお金も、町税と同様、元は住民の税金。別け隔てなく大事に使うこと。」「そして、公的補助を出すのなら、相手のお金の使い道をキチンと把握すること。」を要望しておきました。

 

愛知用水を守りながら営農されてきた農家の方々には異論もあろうかと思いますが、今まで3回もの計画変更が住民の知らないところで行われ、一旦妥結したにもかかわらず追加の税負担、それも住民は蚊帳の外。不条理を感じます。(ちなみに我家は「受益農家」の端くれで、今回の受益農家負担引き下げで負担が少なくなる側になります。)

 

愛知用水二期事業地元負担金とは?

愛知用水二期事業は、昭和56年〜平成18年を予定工期(第3回変更後)として、愛知用水の通水開始から20年を経過した施設の経年劣化に対する機能回復と災害時などにも使用しながらメンテナンスができるように、幹線水路の複線化と末端水路の更新、牧尾ダムの浚渫などを行ってきました。

総事業費は当初、1030億円でしたが、その後、牧尾ダム浚渫や支線への事業拡張、工法変更、物価変動などにより、1450億円、3002億円、3455億円と3回もの計画変更がされています。この事業費の負担は、概ね使用水量に応じて、上水道(433億円)、工業用水(879億円)、農業用水(2123億円)、発電(20億円)で分担することになっています。

このうち、農業用水の分担は、国50%、県25%、地元25%が原則のところ、関係市町、農業団体、愛知用水土地改良区などが運動して、おおむね国50%、県35%、地元15%に決着し、地元負担として、地元受益農家は毎年、賦課面積10aあたり2100円を平成19年度から15年間支払い、残りを地元自治体が支払うことで妥結しました。その後、3回の計画変更で、事業費が3倍以上に膨らんでも、地元受益農家の負担額は堅持され、東浦の場合、平成17年度当初で農家負担315百万円、町負担630百万円、地元負担計945百万円となっています。

今年7月になって、県が県の負担率を引き上げることを発表しました。これによれば、地元負担が278百万円ほど減って、残り667百万円となります。そこで、町は地元受益農家(愛知用水土地改良区)の要望を受け地元受益農家負担を年10aあたり2100円から1000円へと引き下げる方針を打ち出しました。

 

 

A国勢調査について

 

平成17年10月1日を期日として国勢調査が行われます。国勢調査の概要と個人情報の保護について質問しました。

国勢調査で調べる人口は、住民票の有無に関係なく本町に居住しているすべての人を対象とした実人口です。市制施行など、さまざまな政策決定の基本となりますが、今回の調査で5万人を超えることはなさそうです。

国勢調査員は原則公募ですが、応募者が少なかったので不足分は町職員で対応するそうです。

国勢調査に対する申告義務と秘密の保護については統計法で定められています。調査員が趣旨を説明して調査のお願いをしますが、どうしても協力が得られない場合は近隣世帯への聞き取り調査で、調査モレを防ぐそうです。また、プライバシー意識の高まりに配慮し、封入提出できるようにします。余談ですが、不申告や虚偽申告の罰則は6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金ですが、過去に罰せられた例はないそうです。

 

 

Bもしも行政がなかったら

 

合併問題への関心を見ていてもわかるように基礎的自治体に対する関心は必ずしも高くありません。行政サービスを受けている実感、税や使用料を負担している実感が薄いのがひとつの原因ではないでしょうか。なんとか町行政の存在意義をアピールできないでしょうか。

(1)モデル家族がどれだけ負担して、どれだけ行政サービスの恩恵を受けているかわかりやすく説明する、または、「もしも行政がなかったらこんなに困る」ことを図解(例えば地獄絵図)で示すなどのアピールは?

(2)事業のコストが住民にわかるように、事業現場等で事業にかかるコストをわかりやすく表示しては?

(3)住民の行政への関与の道筋の明確化と、その周知は?

 

この質問は、情報公開と説明責任、住民参加のプロセスについて議論しようと思って提起(ちょっと大袈裟な題は愛知万博三菱未来館のパクリです。)したのですが、「愛知用水」に時間を掛けすぎて時間切れ、十分な議論が出来ませんでした。この件については別の機会に改めて質問したいと思います。

 

 

議案審議

 

 

[条例・その他]

@教育委員の選任(久米英子氏の再任)

A平成17年度一般会計補正予算の専決処分の承認(総選挙のために1,202万円を急遽補正増)

B人事行政の運営等の状況の公表に関する条例の制定(地方公務員法に基づき職員の勤務実態を公表)

C議会の議員その他非常勤の職員の公務災害補償等に関する条例の一部改正(法改正に伴う語句の変更)

D消防団員等公務災害補償条例の一部改正(法改正に伴う語句の変更)

E手数料条例の一部改正(住民基本台帳の閲覧手数料を1世帯200円から1人200円に改定)

F福祉センター条例の一部改正(管理委託から直営へ規定の変更、社会福祉協議会の業務の見直し)

Gくすの木授産所条例の一部改正(管理委託から直営へ規定の変更)

H老人憩の家条例の一部改正(管理委託から直営へ規定の変更)

I生きがい活動支援通所条例の一部改正(管理委託から直営へ規定の変更)

J町営住宅条例の一部改正(緒川住宅と生路住宅の一部廃止)

K知多地区農業共済事務組合規約の一部改正(牛の胎児を共済の対象に追加)

L平成17年度一般会計補正予算(東ヶ丘老人憩の家追加工事、道路工事費、於大木像制作など)

M平成17年度国民健康保険事業特別会計補正予算(介護納付金、療養給付費負担金など)

N平成17年度下水道事業特別会計補正予算(森岡ポンプ場用地購入費)

 

Aは衆議院解散総選挙のための予算です。東浦町で千二百万円、全国では約800億円かかったと言われています。民主主義のコストとして高いのでしょうか?安いのでしょうか?皆さんはどう思われますか?

国政選挙の費用については、財政法で国が支払うことと定められています。したがって全額が国から県を経て支給されます。しかし、平日の選挙準備業務にかかわる職員人件費が経費算入の対象外になっています。本来は、国が規定の額(国の言い値)を支給するのではなく、選挙事務の委託を受けた地方自治体が掛かった分を請求する仕組みが望ましいと思います。

Eは、住民基本台帳の世帯ごとの閲覧が出来なくなるのに合わせて手数料の規定を改定するものです。営利目的の閲覧から個人情報を守るために、公開が原則とされてきた住民基本台帳の取り扱いが大きく変わろうとしています。

F〜Iは、条例の中に施設の管理委託規定があるため、来年9月までに直営か指定管理者制度に移行するかを決めなければなりません。指定管理者制度とは、従来、公共団体かそれに準ずる団体のみが可能だった公共施設の管理を、各自治体の判断に基づいて、民間(企業、NPO、ボランティア団体など)に開放するものです。町としては、これら4施設のうち、くすの木授産所の建替えおよび運営を民間の社会福祉法人に委ね、他は直営とする方針です。どこまで「官」が受け持ち、どこまで「民」に任せるか、今後すべての公共施設について再考する良い機会だと思います。

Lの於大木像制作は、「東浦誕生100周年記念事業」の一環として、教育振興基金(元はカリモクの寄付金)1千万円を取り崩して家康−於大−水野忠政の3代の木像を制作して郷土資料館に納めようというものです。

Nの森岡ポンプ場は、平成22度完成を目指して用地11,014uの買収を進めているところです。今回はそのうち5,534uを7,581万円で取得するための予算です。

上記すべての議案は、全会一致で可決されました。

 

 

[決算認定]

@平成16年度一般会計決算

A平成16年度特別会計決算

B平成16年度水道事業会計決算

 

平成16年度(平成16年4月〜平成17年3月)予算が適正に執行されたかどうかを、決算書に沿ってチェックします。決算書には一般会計125億円と5つの特別会計(国民健康保険事業、土地取得、老人保健、下水道事業、緒川駅東土地区画整理事業)90億円、合計215億円もの使途が科目毎に記載されています。

採決の結果、Aは5つとも全会一致、@Bは共産党を除く賛成多数で認定可決されました。

 

<周辺自治体との財政比較>

知多郡5町の普通会計決算の状況を見ると、東浦町の借金が突出しています。基金残高と相殺した額(公債残高−基金残高)で比較しても、阿久比13億円、南知多32億円、美浜49億円、武豊55億円に対し、東浦は87億円となっています。

家庭に例えると公債はローン、基金は貯金に相当します。“公債残高−基金残高”を年間の税収(ここでは“標準税収入額”)で割ると、正味の負債が年収の何年分あるかが大凡わかります。下のグラフは、知多郡内の各町、県内で人口規模が類似(4万人以上)の町、隣接する市との財政状況を比較したものです。1を越えている(正味の負債が年収よりも多い)のは東浦町、美浜町と半田市です。全国トップクラスの富裕団体である刈谷市は、事実上無借金です。

※普通会計とは、統一的基準で自治体間の財政比較をするために、自治体の会計から公営事業会計を除いたもの。東浦町では、一般会計と土地取得特別会計に緒川駅東土地区画整理事業特別会計の公共投資分を加えている。

 

 

我国は、今年をピークに人口減少社会となっていきます。未来永劫に人口が増え続けなければやっていけない社会設計は明らかに間違っています。年金でも、借金でも、将来の人口増を当てにするような、無責任な計画は改めなくてはなりません。将来も持続可能な、身の丈にあった財政運営が必須です。

 

 

[請願・意見書・決議]

@義務教育費国庫補助制度の堅持と学級規模の縮小に関する請願

A市町村独自の私学助成の拡充を求める請願

B地方議会の充実強化に関する意見書

C国の私学助成の増額と充実に関する意見書

D愛知県の私学助成の増額と充実に関する意見書

E義務教育費国庫負担制度の堅持と学級規模の縮小を求める意見書

F終戦60年、非核平和事業推進決議

 

Bは、全国町村議長会のキャンペーンにあわせて、首長に専属している議会召集権や予算案の提案権を議会側にも拡大することなど、地方議会の活性化のための法改正を国に働きかけるものです。

Fは共産党のみの賛成で否決。他は全会一致で可決されました。

 

 

今年は勉強の年?

 

最近複数の勉強会に参加しています。8月20日から10月15日までは毎週土曜日「愛知県 人にやさしい街づくり連続講座」を受講しました。受講者は、定年過ぎのおじさんから女子大生まで、主婦もいれば、会社員や行政関係者もいて、老若男女じつにさまざまでした。

半端でない車椅子体験(実際にさまざまな交通機関を使って名古屋市内を走破する)から、福祉、建築、いろんな分野で活躍されている方の講義やグループ討論。最後の「人にやさしい街づくり」について調査・提言するグループワークは、10人のメンバーが分担してアンケート調査をしたり、レポートを作成したり、深夜まで集まって発表用のパワーポイント原稿を作ったりと、大変でしたが、久しぶりに学生のノリを体験しました。ちなみに、私たちのグループワークはお互いに手助けしやすい社会の構築をテーマにしました。

この手の講座も、講義中心の受身から、参加型へ進化しているように感じます。市民力の高まりを感じます。

 

 

う・ら・ら増発前後の収支比較

 

この5月で、う・ら・ら増便から、1年が経ちました。増便前の1年と増便後の1年を比較すると、1号線と2号線をあわせて24便から39便に約6割増便した結果、乗客は33%増えました。運行収入は28%増えたものの運行委託料が62%増えたため、町の持ち出しは、894万円から1875万円に、営業係数(100円の収入を得るためのコスト)は177から226となりました。

 

 

 

 

ため池の環境をテーマに授業

 

10月26日に生路小学校の5年生のクラスでため池の環境をテーマに授業をしました。先生のお話では、今年の5年生はしゃべりたがり屋さんが多いそうです。授業では、子どもたちに問いかけをして答えてもらうよう心掛けました。去年のように、池の未来像を描いてもらう宿題を出して、それから、実際にボランティアで厄松池の掃除をしてみようと思います。

厄松池の掃除は、11月27日(日)9:30から厄松公園集合にしたいと思います。飛び入り大歓迎ですので、皆さんのご協力、ご参加を心よりお待ち致しております。

 

 

これはあくまでも私個人の考えを率直に述べたものです。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。

12月定例議会本会議の開催予定は12月6(火),7(水),15(木)の3回で、いずれも朝9時30分からです。6・7は主に一般質問、7の後半は議案の説明・質疑、15は討論・採決です。

 

平成17年10月28日

 

神谷明彦

E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com

 

 

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