平成16年9月定例議会報告 (第22号)
9月定例議会が終了しましたので議会報告を致します。本会議は9月3(金),6(月),7(火),8(水),17(金)と5回開かれました。このうち、3・6は一般質問、7・8は議案の説明・質疑、17は討論・採決でした。
@合併に伴う行政改革の筋道について
知多北部3市1町の合併を論ずる際には、地域自治組織をどうするか、中核市の権能をどう生かすか等、いくつかの重要な論点がありますが、今回は、行財政の効率化・行政改革について取り上げました。
市町村合併は「究極の行政改革」とも呼ばれ、合理化、効率化、コスト削減が大きな目的のひとつになります。単にいくつかの自治体が合体するのみでは、収入と支出が同時に膨れるのみで、合併による効率化は達成できません。行政再編のビジョンが必要です。
自治体の規模が大きくなるにつれて、職員は官僚、市長や議員は雲の上の人となり、住民からの距離は益々遠ざかるばかりでないでしょうか。それに引きかえ、自分たちで考え、独自にやっていく能力さえあれば、小回りが利いて、住民同士お互いに顔の見える規模の自治体の方が、住民自治の観点からして魅力的に見えることもあるでしょう。合併を考えるにあたっては、巨大化のデメリットをいかに抑え、合理化のメリットをいかに発揮するか、その道筋が問われます。
はたして行政改革のビジョンはあるのでしょうか? 人件費をどうやって削減するのか? 職員数と一人当たり人件費をどうしていくのか? ゆくゆくは中核市(30万都市)並みの高い給与を払うことになりはしないでしょうか?
答弁では、「3市1町で構成する知多北部任意合併協議会に、3つの特別部会を設置し、行革推進を原則にこれからのビジョンをつくる。行政経営特別部会では、合併する場合の新しい行政組織や行政サービスのあり方を検討・提案。情報化構想特別部会では、合併経費の70%を占めるといわれるシステム統合化、およびその前提となる情報化施策案を作成。財政推計特別部会では、住民が合併について検討する際に財政面の比較検討資料を提供。」「合併する場合、しない場合の財政シミュレーションは、部会での検討結果を踏まえてこれから行う。」とのこと。
住民サービスが見直される中で、給料は一番高い東海市に合わせるのかの問いに対し、「安易に、一番高いところに合わせると決めているわけではない。職員定数などと併せて検討対象になる。」との答弁でした。
さらに、総務部長は「これからの時代の『公』のありかた(民と公の役割分担)、権限とスケールを生かす組織のあり方、戦略的なマネージメントシステム、職員の意識啓発と人材登用、地域内分権、などが議論の対象として避けて通れない。」と答えました。
合併は手段であり、目的ではありません。しかし、現状の問題点、合併の目的、達成すべき目標がはっきり示されているとは言えない状態です。メリットなり目標なりが必要です。それが合併への説得力になります。まちづくりの明確なビジョン、合併による新たな効果、住民自治の発展、財政の健全化など、それぞれの分野で、合併の成果指標があっても良いと思います。合意形成過程の透明性も必要です。
最後に、私から「合併のビジョンをきちんと作って、それを公開し、住民の判断を仰ぐ必要がある。リレー講演会で千葉大学の大森教授は、住民投票は望ましくないと述べられたが、私はそうは思わない。反対意見が出たら困ると言う意見もあるが、そもそも反対が出るのは説明不足が原因ではないか。きちっとしたビジョンを作ったうえで、説明して納得してもらったうえで、住民に一票を握りながら考えてもらう。それが、情報公開と住民参加をベースにした合意形成のあり方だ。」と注文をつけておきました。
A睡眠健康相談の導入について
健康維持・増進の三要素は、栄養、運動、休息と言われています。休息すなわち睡眠についてはこれまであまり注目されてこなかったのではないでしょうか。東浦町では睡眠の充実についてどんな取り組みを考えているのでしょうか。
沖縄県佐敷町では、睡眠の改善によって、老人医療費を大幅に減らすことができたとも聞きます。佐敷町では、高齢者の睡眠の質を高めるために琉球大学と共同で、昼食後の30分ほどの昼寝、夕方の軽い運動などを指導しています。良い睡眠のための体操(お年寄りでも寝たまま出来るストレッチ)も考案しています。茨城県利根町でも、昼寝、軽い運動、ぬる目の入浴、などを推奨しています。
働き盛りの人達も良い睡眠をとっているとは限りません。新幹線の居眠り運転を契機に問題になった睡眠時無呼吸症候群の潜在的な患者は、200万人とも言われています。子供たちの脳の発達にとっても睡眠の役割は重要です。
答弁では、「東浦町では、今年度より住民健康診断に簡単な問診事項を加えたところだ。休養・睡眠については個人の生活スタイルに依るところが大きいが、今後、あいち健康プラザでの研究成果や他の自治体での取り組みを参考にして充実させたい。」とのことでした。
[補正予算・その他]
@教育委員の選任(本田眞哉氏、久米賢治氏の留任)
A平成16年度一般会計補正予算(石浜西保育園改修工事など)
B平成16年度国民健康保険事業特別会計補正予算(15年度療養給付費の確定による交付金返還)
C平成16年度土地取得特別会計補正予算(保有地を一般会計に売払い)
D平成16年度下水道事業特別会計補正予算(緒川駅東区画整理地内の調整池築造)
E選挙管理委員の選挙(委員4名と補充員4名を選任)
Dでは緒川駅東区画整理地内に敷地7,900u、容量17,000㎥の調整池を築造します。低湿地で軟弱地盤のため深さ15m程度まで地盤改良が必要だそうです。総事業費は7.5億円。本年度は補正予算で1.5億円、残りは債務負担行為により築造します。
債務負担行為とは、数年次にわたる大きな工事請負契約を締結する場合に、将来の支出を約束する行為です。今回の場合は、総額7.5億円の事業に対し、初年度に1.5億円、17年から18年度にかけて残り6億円の支出予定額を定めるものです。契約相手は日本下水道事業団の見込みです。
上記全ての議案は全会一致で可決されました。
[決算認定]
@平成15年度一般会計決算
A平成15年度国民健康保険事業特別会計決算
B平成15年度土地取得特別会計決算
C平成15年度老人保健特別会計決算
D平成15年度下水道事業特別会計決算
E平成15年度緒川駅東土地区画整理事業特別会計決算
F平成15年度水道事業会計決算
平成15年度(平成15年4月〜平成16年3月)予算が適正かつ有効に使われたかどうかをチェックします。決算は、一般会計と5つの特別会計と水道事業会計に分かれていて、決算書は合わせると400ページにもなります。これらの書類の中に、一般会計116億円、特別会計94億円、合計210億円もの使途が科目毎に記載されています。水道事業は原則独立採算の企業会計になっています。決算書のほかに「主要施策の成果に関する説明書」も付いてきます。行政活動の成果が統計資料としてまとめられていますが、これらのデータを評価や改善にもっと活用すべきです。
採決の結果、@ADFは共産党を除く賛成多数で、他は全会一致で認定可決されました。
<入湯税>
最近、温泉のニセ物が話題となっています。東浦町の入湯税は大丈夫でしょうか。
町内ではあいち健康の森が入湯税を1,347万円納めています。地方税法では、鉱泉浴場の入湯客に1日1人150円の標準税率を課すことになっています。では、ここで言う鉱泉とは温泉法における温泉のことなのでしょうか?
循環式の浴槽でも、他所から運んできたお湯でも、温泉が一滴でも入っていれば温泉なのでしょうか?
町は、鉱泉の定義については関知しないそうです。仕方のないことですが、浴場が申告しているのだから貰っておけば良いとの姿勢です。
余談ですが、我家では、温泉旅行はひなびた源泉の一軒宿ばかり。大浴場に滝のように湯が流れ込んでいても、浴槽からあふれ出ていないのは循環させている証拠です。
<図書館の話>
平成15年度は、図書館の貸し出し冊数が初めて40万冊を突破しました。たぶん一人一度に15冊まで借りられるようになったからだと思います。お母さんが自分の小説と子供の絵本を同時に借りていくケースが増えたようです。
新刊を積極的に買い入れて蔵書を増やしている関係で、開架の空きスペースを十分確保し辛いのが悩みです。かと言って書棚を所狭し並べると、せっかくの開放的な雰囲気を台無しにしてしまいかねません。
開架図書約10万冊のうち、常時1万冊以上が貸し出されていると推定されます。一度に返ってくると図書館はかなり窮屈になりそうです。面白いことに、皆さんのお家が書庫代わりになっています。入れ替わり立ち代り借りてくれることによって、図書館は回っているのですね。
[請願・意見書]
@義務教育費国庫負担制度の堅持と学級規模の縮小に関する請願
A市町村独自の私学助成の拡充を求める請願
B愛知県の私学助成の増額と拡充に関する意見書
C国の私学助成の増額と拡充に関する意見書
D義務教育費国庫負担制度の堅持と学級規模の縮小を求める意見書
EBSE全頭検査維持に関する意見書
請願とは、憲法で保障された国民の基本的権利で、誰でも、議員の紹介を経て議会で採択されれば、国や県などの関係機関に対して希望を述べることができます。意見書は、地方自治法で定められた議会の権限で、議員が発案し議会で可決されれば、関係機関に意見書を提出することができます。
請願は行政サービスの受け手である個人が、意見書は地方の議員が主役であるべきだと思います。しかし、現実には、利害関係のある組合や業界や政治団体などの上部組織からの雛形を採用しているに過ぎません。毎回たくさんの請願・意見書が登場しますが、果たして住民のためなのか、組織の既得権のためなのか、判断に迷うことがあります。
Eは共産党のみの賛成少数で否決、その他は全会一致で可決されました。
6月から、う・ら・らが増発され、1号線で1日往復12本が19本に、2号線で1日往復12本が20本になりました。増便の効果を見てみると、6月以降、2号線の伸びが大きく1号線を抜き去る勢いです。と言っても、増発した分だけ乗客が増えたわけではなく、(当然のことながら)1便当たりで見ると乗客は減っています。1号線は頭打ちですが、当初苦戦が予想された2号線の乗客が1号線を追い抜いてまだ増える傾向にあるのは注目に値します。
9月定例議会の総務委員会では、時間帯別の乗車人数を把握して、ダイヤ設定に役立てるべきことと、町内の知多バス路線を100円均一区間にして、う・ら・らのシステムに組み込んでしまうことを再度提言しました。交通政策はネットワークが勝負。これは公営、あれは民間などと言っている場合ではないはずです。
9月11日に岐阜県可児市で開かれたNPO(市民と行政の協働がテーマ)の勉強会に参加しました。講師は、改革派市長として全国的に有名な穂坂埼玉県志木市長。「自治体業務は90%NPOや市民に移管できる。」「自立性がなく責任の所在がはっきりしないような教育委員会は廃止すべきだ。」などなど、2時間の講演に加え、その後の喫茶店での雑談も含めて3時間ほど熱弁を振るっていかれました。志木市では、ボランティアによる市民委員会が予算編成に関わっています。市議会議長や県議会議長を務め、まさに保守本流にいた人が、いま地方改革の先頭に立っているのは、時代の流れとはいえ不思議な気分です。
9月20日には、逢坂ニセコ町長の講演を聞きに東京へ行きました。テーマは「寄付による投票」。長野県泰阜村と北海道ニセコ町は、寄付による直接的な政治参加を推進しています。寄付者は意中の自治体の意中の施策に対して寄付をします。現在の税制では、不十分ながら、若干の寄付金控除(所得税と住民税の所得控除)を受けられます。したがって、国や県に税金を納める代わりに、自分の意思で自分のまちの特定の政策を後押しすることが出来ます。(寄付者は地元住民に限らないので、)都市住民がふるさとへ寄付した場合には、地方交付税の代替効果も期待できます。
とは言え、逢坂町長は、直接民主制だけでは政治は成り立たないと述べておられました。徹底した情報公開と住民参加を先頭に立って推し進めてきた逢坂町長だからこそ、説得力のある言葉です。
10月27日に生路小学校5年生のクラスで私が授業をします。昨年に引き続き、池の環境や地理・歴史に道徳を絡めた授業にするつもりです。今年の5年生はどんな反応をしてくれるでしょうか。楽しみです。
昨年はほとんど発生しなかったホテイアオイが、今年は夏過ぎに増えてきて、今頃、花が咲いています。
今年も、11月28日(日)10:30から、小学生の参加を募って池の掃除をしたいと思っています。飛び入り大歓迎ですので皆様のご協力、ご参加を心よりお待ち致しております。
これはあくまでも私個人の目から見た議会活動報告です。私の考えをできるだけ率直に述べたつもりです。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。
12月定例議会本会議の開催予定は12月3(金),6(月),14(火)の3回で、いずれも朝9時30分からです。3・6は主に一般質問、6の後半は議案の説明・質疑、14は討論・採決の予定です。
平成16年10月24日
神谷明彦
E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com