平成16年6月定例議会報告  (第21号)

 

ある朝、早く起きて窓際でデスクワークをしていると、コンコン・コンコンとなにやら音が聞こえます。よーく見てみると隣家の庭にあるモチノキにキツツキが巣を作っていました。直径5センチほどの真ん丸い穴が幹のてっぺんにポッカリと開いていて、そこからヒナが小さな頭を出しています。親鳥が大きな体で器用に、小さな巣穴を出たり入ったりしています。さっそく図鑑で見てみるとキツツキの仲間のコゲラのようです。東浦の住宅地にキツツキとは驚きましたが、公園や民家の庭に巣を作ることは珍しくないようです。

 

6月定例議会が終了しましたので議会報告を致します。本会議は6月4(金),7(月),16(水)と3回開かれました。このうち、4・7は主に一般質問、7の後半は議案の説明・質疑、16は討論・採決でした。

 

 

一般質問

 

 

@入札制度改革について

 

入札価格の高止まりや談合が社会問題となっています。各自治体において入札制度改革が行われていますが、東浦町ではどうなっているのでしょうか。

競争性を高め、自由競争によるコストダウンを追及するのは当然としても、価格を叩いてとにかく安く発注ことが必ずしもベストとは限りません。結局、設計段階からコストを考えるために、設計・施工の一括発注や、工費だけでなく使い勝手や維持コストなどを総合的に評価する総合評価型入札を取り入れていく必要があると思います。

 

<補足>

入札制度については、一度質問してみようと以前から思っていました。官公需の問題に立ち入ることは、役所のみでなく官公需に関係する人々の生活にも直結しかねないことだけに勇気の要ることです。しかしながら、皆さんの貴重な税金を使って、少しでもコストを抑えつつ、良い仕事をするのが行政にとって優先課題です。

過去1年間に議会で報告された入札について平均値を調べてみると、落札価格は予定価格の97.5%、最高入札価格は予定価格の99.2%、その差はたった1.7%、入札参加企業は規模も収益構造も違うはずなのに不自然な気がします。

 

 

他の自治体の例から、入札改革によって落札価格が10〜20%ほど下がることが期待できます。税収が減るのではと言う人もいますが、支出の減(コストダウン)に比べれば、税収に及ぼす影響はわずかです。落札価格が下がると、採算性が悪くなり、手抜き工事につながったりするとの指摘もありますが、工事のチェックは本来、発注者の責任です。役所の安心のためには多少高くついても仕方ないと言うのでは納税者をバカにしています。また、第三者機関によるチェックも可能なはずです。町内の産業を育成せねばとの声もありますが、育成のためにもむしろ適正な競争が必要なのではないでしょうか。

具体的な入札改革の方策としては、条件付き一般競争入札、インターネットによる電子入札、郵送による入札、抽選型指名競争入札、指名方法の改善、ペナルティーの強化などが行われています。

例えば、神奈川県横須賀市では、指名制度を廃止、入札業者との接点を一切持たないようにインターネット又は郵送による条件付き一般競争入札を行っています。条件さえ満たせば市外の業者にも参入障壁がないため、参加業者が増えて、競争性と透明性を高めています。落札価格が10%以上下落し、年間30億円のコストダウンになるそうです。

兵庫県相生市では、同時入札参加者の下請けの禁止、談合のペナルティーを契約額の10%以上にアップ、抽選型指名競争入札(談合の本命がクジで落選する恐れがあるため、談合防止に効果)などを取り入れています。

東京都立川市では、制限付き一般競争入札による入札結果をホームページで公開しています。最近の例では、落札価格が予定価格の67.2%、最高入札価格との間には29.3%の開きが出ています。

指名競争入札から一般競争入札への大きな流れがありますが、東浦町では、これらの思い切った入札制度改革は目下考えていなようです。

横須賀市は、ホームページで自分たちのシステムを採用するように全国に呼びかけています。当然、厳しい入札制度を突きつけられた地元業者との軋轢も生じています。地元業者の二世経営者のグループもまた、業者の立場を市民に理解してもらおうと情報発信しています。彼らはホームページの中で、住民、行政、業者それぞれの立場からの横須賀市の入札制度のメリット・デメリットを、自分たちなりに分析しています。事なかれ主義で摩擦を避け合うのではなく、利害が対立する者同士の真摯な議論を通じてより良い制度を作っていくことが大切だと思います。

町長は、「入札そのものよりも、むしろ設計の見直しがコストダウンに大きく寄与することは、中部新国際空港の例を見ても明らかだ。設計・施工一体型ならば、より有利な工法についても施工側が提案しやすくなる。さらには、運営・メンテナンスの立場から設計を考え、施工方法を提案できる。」と答弁しました。

確かに町長の言う通りで、初めに設計ありきでこれと同じものを作れと言うよりは、設計段階から(どこでコストダウンできるか)考えた方がより良い物が作れるはずです。

また、我々民間で何かを発注するときは、価格だけでは判断していません。価格以外にも、企画力・信用・技術力・アフターサービスやメンテナンスなどさまざまな要素を勘案して総合的に判断しているはずです。極端に値切れば不公正な労働行為の原因にもなるでしょう。

したがって、今後は総合評価型入札を取り入れていくべきだと考えます。平成11年から自治省施行例の改正で一部導入可能となり、神奈川県立近代美術館などがその好例です。総合評価型入札では、価格のほかにメンテナンス、サービス、環境への配慮などさまざまな指標を点数化し評価することにより、透明性と競争性を両立させています。

 

 

A残り少ない自然環境を保護するには

 

1)残すべきところ残したいところを指定して、地権者に理解を求める努力を

東浦町内にもまだ里山が残っていますが、こうしている間にも着実に減少しています。現在、里山と言えるほどまとまって残っているのは、飛山池周辺とSTLCDの周辺だけになってしまいました。その中でも、飛山池周辺には、私が議員になる以前から自然公園構想がありましたが、まったく着手されていないばかりか地権者も構想について知らされていません。残すべきところを指定して、地権者の理解と協力を得る努力が必要ではないでしょうか。

行政は、里山の大切さは十分認識していると言いますが、この数年間に一体どんな働きかけをしたのでしょうか。答弁では、借地で用地を確保したいとのことですが、地権者に対し具体的にどんな働きかけをしていくかについてハッキリとした返事がありません。また、行政は、飛山池を農水省の補助金をもらって整備していきたいようですが、そもそも自然公園は、補助金をもらって大掛かりな事業をしなくても、「そこにある」こと自体に意味があるのではないでしょうか。

平成10年に町が3000人を対象に行った住民アンケート調査ではグラフのような結果が出ています。町の環境基本計画には、飛山池周辺の自然保護、市民緑地制度による保全林の指定、緑地保全のための誘導策の検討などが実施計画として載っています。載せた以上は具体化して欲しいものです。

 

2)学校教育を通じて子供たちに自然環境保護の心を

長期的視野に立ち、学校教育を通じてこれからの社会を担う子供たちに、自然環境保護を伝え、実践していくことが重要です。野外活動として、ドングリを拾い苗を育てて植樹する里山再生やツタを使ってターザンごっこ、ゲゲゲの鬼太郎の家のようなツリーハウス作り、雑木林の素材を使った工作、探検マップ作りなどもできるでしょう。理科、社会、道徳のみならず、子供たちの美意識の分野にも関連してくるのではないでしょうか。

教育長の答弁では、「総合学習等で、高根の森、岡田川、明徳寺川、須賀川、厄松池をきれいにするなどの活動、地球温暖化や酸性雨の学習、土曜日の課外活動で野鳥観察、竹炭作りや竹の子掘り、ビオトープ作り、そして緑の少年団活動などを学校単位でやっている。子供たちには、学校、家庭、地域の協力を得て、自然のすばらしさ、生命の大切さを学び、豊かな感性を身につけて欲しいと願っている。西部中学校隣の雑木林を学校林として手入れしていく。」とのこと。

 

 

議案審議

 

 

[条例案・その他]

@教育委員の選任(新美英成氏の辞職に伴い、後任に久米英子氏)

A印鑑条例の一部改正(本人確認の厳格化)

B特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正(期日前投票制度の創設に伴う語句の変更)

C勤労福祉会館条例の一部改正(改修に伴い、間取と使用料の変更)

D国民健康保険税条例の一部改正(地方税法の改正に伴う規定の変更)

E非常勤消防団員に係る退職報償金の支給に関する条例の一部改正(法律施行令改正に伴い、退職金を2000円増額)

F平成16年度一般会計補正予算(親子で学ぶ地震防災教育委託料など)

G平成16年度老人保健特別会計補正予算(医療費確定による超過交付額の返還)

H町営半ノ木住宅建築工事請負契約の締結(6棟新築,5061万円,東浦土建)

I下水道工事請負契約の締結(6909万円,東浦土建)

 

上記全ての議案は全会一致で可決されました。

 

 

[請願・意見書]

J郵政公社の国民サービスの向上とユニバーサルサービスの確保についての意見書の提出を求める請願

K地方交付税の削減等に関する意見書

Lイラクからの自衛隊の撤退を求める意見書

M地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律の延長に対する意見書

 

Mは全会一致で可決、その他は共産党のみの賛成少数で否決されました。

 

 

合併問題の現状

 

市町合併はどうなってるんだとよく聞かれます。

今年1月に知多北部任意合併協議会が設置され、平成17年10月までに合併構想(都市ビジョン)をまとめて、住民の意向を問う計画です。その間、住民の皆さんにもこれからのまちづくりを考えてもらう機会を設けようと、リレー講演会街かど会議(5人以上のグループの要請があれば、職員が出向いて情報提供や座談会をセッティングします。)、子どもプロジェクト(夏休みにワークショップを開催、中学生40人にまちの未来図を描いてもらいます。)などを企画して、住民参加の盛り上がりを期待しています。

しかしながら、普段、町政・市政に直接かかわりを持たない一般の住民の皆さんが積極的に参加するところまでに至りません。それどころか、議員にも当事者意識が欠けているような気がします。合併するかしないか、するなら(しないなら)どんなまちをデザインするのか。これは、そこに住む住民私たち自身の問題です。役所にお任せでは、何のための合併協議なのかわかりません。行政も、合併問題は自分たちの住むまちのあり方を問い直す良い機会だと位置づけています。

 

 

これはあくまでも私個人の目から見た議会活動報告です。私の考えをできるだけ率直に述べたつもりです。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。人間一人で考えることには、所詮限りがあります。皆さんとの対話を通じて得られたことを政策に反映していきたいと思っています。

9月定例議会本会議の開催予定は9月3(金),6(月),7(火),8(水),17(金)の5回で、いずれも朝9時30分からです。3・6は一般質問、7・8は議案の説明・質疑、17は討論・採決です。平成15年決算・・・皆さんの税金がどのように運用されたか・・・が審議の中心になります。

 

平成16年7月22日

 

神谷明彦

E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com

 

 

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