平成15年12月定例議会報告  (第19号)

 

明けましておめでとうございます。本年も御指導の程よろしくお願い申し上げます。

12月定例議会が終了しましたので議会報告を致します。本会議は12月8(月),9(火),17(水)と3回開かれました。このうち、8・9は主に一般質問、9の後半は議案の説明・質疑、17は討論・採決でした。

 

 

一般質問

 

いずれも行政の意識改革が狙いです。しかし、内容がピンボケ。具体性に欠けました。言いたいことはいっぱいあったのですが、ポイントを絞れず時間切れで終わってしまったのが残念です。

 

 

@これからの都市計画について

 

日本の街づくりは都市計画機能が弱いと言われてきました。もっぱらコンサルタント会社にお任せで、全国で画一的な金太郎飴のような街をつくってきました。ヨーロッパなどでは、新しいものを上手く取り入れつつも、伝統を生かした地方独自の街づくりをしています。

これからは住民と行政が知恵を出し合い、私たちのまちが主体となって、街をつくっていかねばなりません。下水道や道路などの面的整備のみならず、公園面積などの量的指標の充足のみならず、公園、緑地、家庭菜園、ブロック塀や地域の景観など自分たちが住むことの質をどうしていくかが重要です。

 

1)都市計画機能の強化を

職員研修に努めるとの答弁でしたが、人材育成にしても手続きのプロばかりでなく計画・企画の専門家を育てて欲しいものです。日本の国土は、かつては訪れた外国人から「ガーデンアイランド」と呼ばれるほどの文化的バックグラウンドがありました。今では、全国何処へ行っても、和風とも洋風ともつかない、決して美しいとは言えない街並みになってしまいました。我々の街のあるべき姿を都市計画で考えていく視点が必要です。最近、国土交通省も量から質への転換や市町村独自で景観を定めていくことを打ち出しています。

 

街づくりは量から質の時代へ

美しい国づくり政策大綱 前文(平成15年7月 国土交通省)より抜粋

 

戦後、我が国はすばらしい経済発展を成し遂げ、今やEU、米国と並ぶ3極のうちの1つに数えられるに至った。

その結果、社会資本はある程度量的には充足されたが、我が国土は、国民一人一人にとって、本当に魅力あるものとなったのであろうか?。

都市には電線がはりめぐらされ、緑が少なく、家々はブロック塀で囲まれ、ビルの高さは不揃いであり、看板、標識が雑然と立ち並び、美しさとはほど遠い風景となっている。四季折々に美しい変化を見せる我が国の自然に較べて、都市や田園、海岸における人工景観は著しく見劣りがする。

美しさは心のあり様とも深く結びついている。私達は、社会資本の整備を目的でなく手段であることをはっきり認識していたか?、量的充足を追求するあまり、質の面でおろそかな部分がなかったか?、等々率直に自らを省みる必要がある。

国土交通省は、この国を魅力ある国にするために、まず、自ら襟を正し、その上で官民挙げての取り組みのきっかけを作るよう努力すべきと認識するに至った。そして、この国土を国民一人一人の資産として、我が国の美しい自然との調和を図りつつ整備し、次の世代に引き継ぐという理念の下、行政の方向を美しい国づくりに向けて大きく舵を切ることとした。

 

2)コンサルタント会社にお任せにしない地域主体のまちづくり

都市計画マスタープラン策定などでは町の方針の下、あくまでもコンサルの専門性を利用しているとの答弁でしたが、そもそも専門性とは何でしょうか。自分たちの街を自分たちで計画して創り上げることが仕事の核心ではないでしょうか。住民でも職員でもないコンサルが街の絵を描くことに不思議さを感じます。むしろ、申請手続きの受け付けなど役所の定型業務をアウトソーシングして、企画設計などのコアの業務を町で行えるようにすべきです。

神奈川県大和市では都市計画マスタープランを住民と意見交換しながら作っています。伊勢市はモデル地区を決めて住民ワークショップを開いています。東浦でも市街地の公園やため池などの小さな事例から始めてみてはどうでしょうか。

 

3)区画整理のコンセプトは

「秩序ある市街地」とか「良好な住宅環境」などの言葉が返ってきましたが、あまりにも漠然としていて、何処の住宅地にも当てはまります。もっと各地区で特色があって良いはずです。区画整理は、人口増や固定資産税増収などの行政の要請を満たす手段として使われてきた面があり、街づくりの手法も非常に画一的です。元の地形を無視して、丘を削り谷を埋めて、電柱をツクツク立てて、個性のない碁盤の目状の街になります。売るには楽かもしれません。でも、自分で住みたいと思えるでしょうか。元土のほうが災害にも強いと思います。

 

4)鉄道などの公共交通を意識した市街地誘導を

答弁では、「一般的に、駅から遠いとインフラ整備などで投資効率が悪い」「東浦でも緒川駅や石浜駅周辺を整備してきた」「今後も鉄道を十分意識する」とのこと。しかし、町長は、東浦駅東側の農地の開発には「駅の周辺というだけでは採算が不明」として難色を示しました。しかしながら、今特に心配なのは、市街化区域ですでに家が建っているところの区画整理です。移転補償コストやそれ以上の地価の上昇が見込めないことから非常にリスクが高いことを指摘しておきました。区画整理は、本来は地主の自己責任ですが、首都圏などでは計画が頓挫して行政に泣き付いている所も出てきています。

 

 

A自治基本条例の制定を

 

「地方自治体の憲法」として「基本条例」や「まちづくり条例」を制定する動きが盛んになってきました。基本条例の内容としては、住民の権利と責任、行政の責務、国・県・他市町村との関係、住民と行政の協働、情報公開と説明責任、住民投票、策定・改定作業に関することなどの基本的な理念と定めが盛り込まれてしかるべきと考えます。

住民自治に関することは、日本国憲法にも地方自治法にも明確な定めがありません。住民参加のもとにこれらを規定する基本条例の制定を考えていくべきです。

町長は、「今までの条例は国の準則のコピーで、手作りのものはなかった。これから独自の条例を作るためのバックボーンとして基本条例が必要となるだろう」と、今後の重要な研究課題であるとの認識を示しました。

 

 

B信号機の設置に関して

 

町内各所に信号設置の要望があり、毎年少しずつ信号が増えています。しかし、信号設置で事故は減ったか?渋滞への効果は?コストは? 実態は住民にはわかりません。地域住民と、行政、警察の情報交換が必要ではないでしょうか。

 

1)歩行者用信号を(交通弱者対応)2ボタン式に

平成12年6月定例議会でも質問した2ボタン式信号の普及に関することです。歩行者用押しボタン式信号で、車両を止める時間が長すぎるのは、ドライバーにとって苦痛なのはもちろん、歩行者にとっても心苦しいことで、ボタンを押さずに走って渡ることにもつながります。しかし、車両を止める時間を短くすると、今度は、子供、お年寄り、障害者等の交通弱者が渡り切れなくなる恐れがあります。

そのために、歩行者が横断に要する時間を短時間(一般用)か、長時間(交通弱者用)か、選ぶことができる2ボタン式信号機を提案していました。生路大踏切交差点には以前から設置されていますが、その後の対応はどうなっているのか聞いてみました。

しかし、警察も町も関心はなく新規設置は考えていないようです。効果がないのかコストが高いためか理由の説明もありませんでした。

 

 

2)優先道路と脇道との交差点には自動感応式を

脇道の交通が全くないのに、時差式信号のため優先道路が頻繁に止められることがあります。周囲の状況や地元の要望に応じて、可能なものは自動感応式に切り替えていくそうです。

 

3)信号設置と維持のコストは

公安委員会が公開しないとのこと。なぜ秘密にしなければならないのか理解に苦しみます。

 

4)地域住民と、行政、警察との情報交換の場は

交通安全推進協議会を開いたり、年2回、町と県と公安委員会で要望箇所の現地調査をしているそうですが、情報交換は十分なされているのでしょうか?

2ボタン式は何が問題なのか?なぜ最初から自動感応式を設置しないのか?それはコストのせいなのか? この情報公開の時代に、非常に不明朗です。警察が使っているお金も住民の税金から出ています。警察がもっとオープンになるように町は働きかけるべきだと思います。

 

 

議案審議

 

 

[条例・補正予算・その他]

@人権擁護委員の推薦(宮地幸子氏の後任に小林久枝氏)

A職員定数条例の一部改正(町長部局の定員増、教育委員会部局の定員減)

B税条例の一部改正(前納報奨金の引き下げ)

C行政財産の特別使用に係る使用料条例の一部改正(民間業者による信書送達用ポストの設置を想定した語句の変更)

D公共用物管理条例の一部改正(民間業者による信書送達用ポストの設置を想定した語句の変更)

E道路占用条例の一部改正(郵便公社法、鉄道事業法等の施行に伴う語句の変更)

F町営住宅条例の一部改正(町営住宅の廃止と建替)

G公民館条例の一部改正(文化センターふれあいサロンの一般貸し出し)

H知北平和公園組合規約の一部改正(役員の任期変更、負担金の人口割に外国人を算入)

I知北平和公園組合議員の補欠選挙(戸田安信議員の辞任に伴い村瀬直正議員を選出)

J平成15年度一般会計補正予算(地方交付税歳入減、基金取崩し、町債増、人件費減、道路用地購入など)

K平成15年度土地取得特別会計補正予算(一般会計に売払〈緒川三角地内〉、開発公社から買入〈藤江線用地、摩耶坪釜調整池〉)

L平成15年度下水道事業特別会計補正予算(当初予算より安く発注)

M平成15年度緒川駅東土地区画整理事業特別会計補正予算(人件費減)

N平成15年度水道事業会計補正予算(人件費減など)

 

JLMNに共産党が反対しましたが、すべての議案が賛成多数で可決されました。

 

 

[意見書]

O基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1へ早急に引き上げを求める意見書

P自衛隊のイラク派遣に関する意見書

Q徳山ダムの総事業費増額による追加負担についての意見書

 

またまた難しい意見書案が出てきました。Oは今ホットな年金問題です。国庫負担割合をいじったところで抜本的な問題解決にはなりません。年金問題では高齢者の老後の心配ばかりがクローズアップされていますが、一番ワリを食いそうな若年者への配慮が欠けているように思います。議会運営委員会で、意見書案に「若年者に過大な負担を強いないこと」を追記するように提言しましたが、多勢に無勢で却下されました。

Pは自衛隊のイラク派遣に関して、「国民への説明と理解を求めつつ人命の安全を最優先し」慎重な対応を求める意見書です。

Qは建設反対運動が巻き起こっている徳山ダムの事業費の追加負担に県が応じないよう求める意見書です。この意見書案は共産党が提出したものです。いつの間にか事業費が膨れ上がっていく公団のやり方は容認できません。また、私は常々ダムは造り過ぎだと思っています。したがって、本会議では意見書案に賛成しました。賛成討論の内容は以下の通りです。

 

そもそも、徳山ダムの建設には疑問の声が上がっています。すなわち、揖斐川の最上流部にダムを作ったところで治水に対する効果は極めて限定的であること、工業用水も上水も水は余っていると言われていること、発電もコストに見合わないと指摘されていることが理由として挙げられます。それに引きかえ、村を一つ消滅させ、住民を移転させ、莫大な費用をかけて環境を破壊するダム建設が疑問視されるのは当然のことです。

そんな中で、当初2,540億円の事業費に960億円の事業費追加の方針が発表されました。さらに、愛知県が徳山ダムの水を利用するための導水路にも数百億円を要すると言われています。長良川河口堰の負担も加わったところであり、県の水道事業を圧迫するのは必定です。値上げしなければやっていけないわけで、結局は、我々、水道の利用者が負担しなければなりません。

水資源開発公団(現、水資源機構)は、愛知用水2期事業のときも、当初1,030億円の事業費を3,155億円に膨らませた前歴があります。結局これは、税金と地元住民負担で穴埋めされています。水資源機構のかかる行為は、国民・住民への裏切りです。一体誰が責任を取ったのでしょうか? もうやってしまったからしょうがないでは済まされません。これからも同じことが繰り返されるのを許して良いのでしょうか。もう許せません。よって、私は本意見書案に賛成します。

 

これらの意見書案のうち、Oは全会一致、Pは反対1(私ではありません)で可決、Qは私と他に無所属1、共産党3の計5人が賛成したものの、反対14で否決されました。徳山ダムの事業費追加に疑問を感じている与党系議員さんもいるようですが、おいそれと国や党の方針には逆らえないようです。

 

 

総務委員会視察

 

合併特例法適用第1号となった兵庫県篠山市へ視察に出かけました。市町村合併の先進事例として、全国からこの5年間に1万5千人もの視察があったそうです。地理的には山に囲まれた1つの盆地の中、歴史的にも1つの藩で、旧篠山町を中心に鉄道駅のある旧丹南町が玄関口となって一体の地域を形成しているため、合併して1つの自治体となるのがむしろ自然なことと感じました。但し、合併特例債をフルに使って一気に公共事業をやってしまったために、人口4万7千人のまちが560億円もの大借金を背負ってしまったことが心配です。

もう一つの視察先、兵庫県相生市は、石川島播磨重工業の企業城下町ですが、造船業の衰退とともに人口も税収も減り続けています。そんな中で、談合を防止し公共事業の落札価格を下げる取り組みをしています。公募入札や、抽選入札、ペナルティーの強化などを組み合わせて、予定価格の91%前後であった落札価格を70%台にすることができたそうです。また、相生市はパブリックコメント制度も実施しています。個々の事業の趣旨や内容について市民の意見を募る事を定めた制度で、住民参加と意思決定過程を透明にする手法の一つとして最近注目されています。

 

 

厄松池のクリーンアップ作戦

 

11月30日は天気が危ぶまれましたが、穏やかな曇りとなりました。5年生を中心に小学校の子供たちが20人程、お父さんやお母さん、先生方、池を管理する役場の職員、それといつものメンバー、総勢約40人で、厄松池の草刈とゴミ拾いをしました。

子供たちは、大人公認で池に降りるのは珍しいらしく、大はしゃぎでした。みんな一所懸命にやりました。ボランティアを意識し過ぎて肩に力が入ったりしていないのも自然に感じました。大勢で一気にやったので、1時間ほどで池はすっかりきれいになりました。

地域のみんなの力で池をきれいにしていけると良いと思います。子供たちが掃除をしていることを知っていれば、誰も池に汚物やゴミを捨てなくなるのではないでしょうか。

また、暖かくなったら掃除をしたいと思います。

 

 

 これはあくまでも私個人の目から見た議会活動報告です。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。

 3月定例議会本会議の開催予定は3月4(木),5(金),8(月),10(水),22(月)の5回で、いずれも朝9時30分からです。4・5は一般質問、5〜10は議案の説明・質疑、特に3月定例議会では16年度の予算を審議します。22は討論・採決です。あなたの税金の使い道を決定します。

 

平成16年1月24日

 

神谷明彦

E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com

 

 

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