平成15年9月定例議会報告 (第18号)
9月定例議会が終了しましたので議会報告を致します。本会議は9月4(木),5(金),8(月),9(火),19(金)と5回開かれました。このうち、4・5は一般質問、8・9は議案の説明・質疑、19は討論・採決でした。
一般質問では、(皆さんからのご批判を覚悟の上で)歳出削減について、辛口の話題、やや極端と思われる話題を敢えて取り上げてみました。
@財政問題について
行政は、歳入面で固定資産税の増加や大規模な工場誘致を図っていきたい方針ですが、歳出面ではどのような取り組みを考えているのでしょうか? 町の借金は増える一方です。明らかに収入に対し過剰支出となっており、歳出の削減努力が必要です。それも、新しい思い切った発想が求められます。行政も、事業の見直しや廃止、業務の効率化などの必要性を感覚的にはわかっていても、具体的な取り組みとなると難しいようです。
1)人件費の縮減策として、アウトソーシングが挙げられます。たとえば、総務部門は必要なのでしょうか?(デンソーなどの民間企業ではほとんどの部門を分社化して外部に出してしまい、最終的には経営と企画部門しか残さない方針のところもあると聞きます。)人事や徴税を外注化したり、複数の自治体が広域で行ったりする事だって考えられます。滞納整理などは地元同士では強硬な手段を採り辛いため、かえって好都合でもあります。埼玉県志木市では、市民が自給700円で市役所の仕事を請け負う代わりに500人の職員を50人程度に減らそうと考えているようです。山口県柳井市では市が建設機械や生コンを用意して市民自ら市道の補修をするそうです。NPOなどに行政の業務を任せることも考えられます。
町長は、「デンソーは分社化で人件費を7割にしたそうだ。箕面市では図書館のアウトソーシングを検討しているそうだ。まさに何でもありの状況になってきた。ただし、存続の保証のないボランティアやNPOに任せるのは不安がある。行政活動への住民参加のあり方を考える必要がある。行政事務を一つ一つ吟味して、最小のコストを目指していきたい。」と述べました。
2)契約単価の見直し策として、インターネット入札の採用により落札単価が大幅に下がった例や、専門知識を持った住民による予算チェック委員会で情報機器の予算を節約した例を紹介しました。そもそも、行政の発注は過剰品質を求めるきらいがあります。単価も、民間では下がっているのに、役所関係ではなぜか高止まりの傾向があります。「予算を使い切る」のではなく、予算を余らせたら半分は自由裁量にするなどして節約を奨励するしくみも欲しいところです。
町長は、「独自の契約単価を設定するための情報収集能力が必要。業者との継続的な信用関係も重要だが、今後、単価は徐々に壊れていくだろう。」「かつては予算を余らせると叱られたが、これからは不要額を適正に評価する必要がある。」との見解を示しました。
3)どこまで行政でやるか、業務の守備範囲を明確化すべきです。たとえば、東浦町では家庭の軒先にできた蜂の巣は取ってくれないそうです。私はそれでも良いと思います。民間で出来ることは民間でやれば良いのです。
4)サービス水準は落とせないと言いますが、歳出を削減する中でサービスカットが不可避になる場面もあるでしょう。むしろ、何にどれだけコストがかかっているか、受益と負担の明確化が必要です。その上でどれを優先して、どれを捨てるか住民に納得してもらう双方向の対話が必要です。あれもこれもの要求型民主主義は行き詰っていることを、行政は言うまでもなく住民も気付き始めています。
支出を節約するのも住民サービスの一部です。将来にわたって持続可能な財政運営を求めていきたいと思います。
A市街地のため池整備について
生路地区は市街地に3つのため池が残っています。水質やゴミ投棄などの問題も生じています。池には景観、憩いの場、自然観察の場、スペースの利用、洪水調整池、防火用水など、さまざまな機能が考えられます。今後どのような方針で整備していくつもりなのか、整備方針を尋ねました。
切池については、行政が、洪水調節用のカラ池にして隣接する公民館の臨時駐車場として使う案を出してきました。一部にマスを造って防火用水にもしたいそうです。しかし、それでは、水辺は消失、防火用水は腐り水、コンクリートやフェンスは景観上見苦しいし、駐車場は水没の恐れもあり管理が問題になります。草刈が煩わしいと言いますが、コンクリートを張るよりも毎年草刈をする方がむしろ低コストです。ゴミの投棄は、カラ池にすればなくなるという問題ではないはずです。厄松池だって最初は汚かったけれども、毎年掃除をすれば少しずつきれいになってくるものです。繰り返し地道に意識を向上していくしかありません。
切池は水が汚いと言いますが、バイパス水路ができ、出口では水は澄んでいます。カモの親子が居たり、憩いの場にしている人達もいます。何と言っても市街地の水辺は残すべきです。総合計画実施計画でも「ため池は親水空間として計画的に整備を」と結んでいます。身近な自然環境、共用の庭、公園としても貴重です。コンクリートは極力使わないで、本来の環境を取り戻す努力が大切です。平常時は水位を下げれば、水害対応も可能です。大掛かりな工事はしないでコストを抑えることが大切です。
できればビオトープ(生き物が住める湿地)的な空間をつくり、地域の体験学習の場として育てていきたいものです。安全面に一定の配慮が必要になりますが、隣接する児童館と一体に利用可能で、魚とり、虫取り、散策ができるのが理想ではないでしょうか。
そして、洪水時にビオトープ部分が浸水するようにすれば洪水調節機能も付与できます。池に浅く水を張れば、わざわざマスを造らなくても防火用水として十分使えるはずです。
町長は、「まだ結論が出ているわけではない。いろんな意見があるのは承知している。切池は生路にとって大事な場所なので、皆さんの知恵も入れていきたい。最小限の費用で景観を良くしたい。浚渫後も良好に管理されていくことが大切だ。」「洪水調節機能を持ちながら景観を保っていく工夫が要る。地域住民でワーキンググループでも作って検討できたら面白い。」との答弁。
池の整備計画もひとつのまちづくりです。町長の言うように住民参加のモデルケースに出来れば面白いと思います。防災面に加え、環境面、景観面も含めて十分な検討が求められます。
切池をどうしたら良いか、地域のみんなで考えよう
景観、親水性、洪水調整、防火用水などの両立を目指した私の案
[条例案・その他]
@職員の退職手当に関する条例の一部改正(国家公務員に準じ、退職手当を減額)
A国民健康保険税条例の一部改正(地方税法改正に伴い、先物取引に係る課税特例措置を追加)
B知多地区農業共済事務組合規約の一部改正(国の事業規模点数改正に伴う改正)
C平成15年度一般会計補正予算(病児保育、トヨタ系企業への企業立地交付金、道路用地購入、水路改修等、7216万円の補正増)
D平成15年度国民健康保険事業特別会計補正予算
E平成15年度老人保健特別会計補正予算
F平成15年度水道事業会計補正予算
G教育委員会委員の選任(竹川美惠子氏の後任に笠松千枝子氏)
H飲料水兼用耐震性貯水槽築造工事請負契約の締結(生路門田地内,5092万円,東浦土建)
I町道路線の廃止・変更(石浜三ツ池・菰蓋地内)
J町道路線の認定(森岡栄北地内)
@は、国家公務員に準じて町職員の退職金を引き下げるものです。60歳部長をモデルにしたケースでは、従来2755万円だった退職金が来年10月以降150万円減額され2605万円になります。Cは、生路に新設される前田クリニックの分院で、病気が快方に向かっていても医師から通園通学許可が出ない子供の一時的な保育を委託するための予算などを含みます。Hは、大地震に備え、常に新鮮な水を蓄えられる構造の地下タンクを生路の消防団詰所敷地に新設するためのものです。容量は100トンで、各地区に順次設置されています。
@Cに共産党が反対しましたが、すべての議案が賛成多数で可決されました。
[決算認定]
@平成14年度一般会計決算
A平成14年度特別会計決算
B平成14年度水道事業会計決算
平成14年度(平成14年4月〜平成15年3月)予算が適正に執行されたかどうかをチェックします。決算は、一般会計と5つの特別会計(国民健康保険事業、土地取得、老人保健、下水道事業、緒川駅東土地区画整理事業)と水道事業会計に分かれていて、決算書は合わせると400ページにもなります。これらの書類の中に、一般会計115億円、特別会計85億円、合計200億円もの使途が科目毎に記載されています。水道事業は原則独立採算の企業会計になっています。
採決の結果、共産党を除く賛成多数で認定可決されました。
<歳入を見てみよう>
東浦町の場合、一般会計の歳入のうち町税収入は約半分を占めます。その他の町独自の収入とあわせて64%が自主財源、残りは、地方交付税や国・県からの補助金、交付金、そして町の借金で賄われています。(グラフ1)
町税のうち主なものは、個人町民税と固定資産税です。固定資産税は、土地、建物、機械設備などの資産の所有者に対し、その資産の価値に応じて一定の税を課すもので、住宅の増加、工場や大型店舗の進出によって増加傾向にあります。(グラフ2)
地方交付税は、自主財源だけで賄えない自治体に対する国の言わば「生活保障」です。補助金は、国・県が政策誘導のために施設整備などの事業費の一部を負担するものですが、近年、地方の実情を考えない全国一律の基準が問題になっています。補助金や地方交付税は、国の台所事情もあって大幅に減額される傾向にあります。(グラフ3)
他所に頼る前に、まず自分達で考えるべきは、如何にして自主財源を増やし、如何にしてコストを削減するかだと思います。
[請願・意見書]
@義務教育費国庫負担制度の堅持と学級規模の縮小に関する請願・意見書
A国の私学助成の拡充に関する意見書の提出を求める請願
B市町村独自の私学助成の拡充を求める請願
C「県立高等学校再編整備基本計画」の見直しを求める意見書
D国の責任で30人以下学級の実現を求める意見書
E国の私学助成の増額と拡充に関する意見書
F大府市・東浦町に警察署誘致を求める意見書
G北朝鮮による拉致問題の徹底解明を求める意見書
これらの請願・意見書は、全会一致で可決されました。
う・ら・ら1号線の運行が始まって2年、2号線の開設からちょうど1年が経ちました。運行開始以来20万人もの人たちが利用したことになり、町内でも「最大級の公共施設」と呼べるのではないでしょうか。この1年間の平均利用者数は、1便あたりそれぞれ18.2人、13.2人になりました。苦戦が心配された2号線は予想以上に伸びていて、1号線に迫りそうな勢いです。(グラフ4)
収支を表1にまとめました。初期コストを除けば、この1年間の運行コストは全線合計で2590万円、運行収入は1120万円で、町の持ち出しは1470万円です。利用者1人当りの支出は107円で、営業係数(100円の収入を得るためのコスト)は231です。2号線のほうが赤字が小さいのは運行コスト(大興タクシーに委託)が1号線に比べて大幅に低いためです。
表1: 町運行バスの収支・評価
8月22日に商工会理事会にて市町村合併の勉強会の講師役を務めました。
商工会や商工会議所はどちらかというと市町村合併に積極的なのですが、私は慎重派ですと前置きして、私見を述べさせていただきました。市町村合併の問題点と留意点を挙げて、「役人任せでは役所のための合併になってしまう。住民自らまちのあり方を考えなければ、将来を見据えたまちづくりは実現できない。」と訴えました。1時間ほど話をした後で、活発な質問とディスカッションがあり、2時間を越えてしまいました。皆さんの関心の高さに驚かされました。皆さんからのご意見やアドバイスもたくさんいただきました。
感じたことは、多くの方々が関心があるにもかかわらず、まだまだ行政側からの情報提供が不十分、一方的なことです。「将来の浮き沈みや、行政サービスの水準を落とさないことを考えると合併はやむを得ない。」「単独でやっていけるにはどんな財政運営が必要となるか。」「合併すべきかどうか判断に必要な条件を整理すべき。」などなどさまざまな発言がありました。
皆さんとお話できる機会を設けていただいたことを心から感謝しています。
厄松池のホテイアオイは、今年も大繁殖しませんでした。バイパス水路のせいなのか??原因はよくわかりません。
10月9日、生路小学校で厄松池を題材に、なんとこの私が授業をしてしまいました。5年生の総合学習で環境をテーマに取り上げていて、インターネットでため池の水質について調べていたら、たまたま私のホームページが見つかったのだそうです。そこで、環境学習と道徳を絡めて、私がそれぞれのクラスで2時限ずつ授業を受け持つことになりました。5年生ともなるとさすがに集中力もあって、熱心に話を聞いてくれました。最後に担任の先生が「次回ボランティアで池の掃除を手伝っても良いと思うひとぉー」と尋ねたら、半分近くの子供たちが「はーい」と手を挙げてくれました。「よーし、次回の掃除のときには小学生も誘ってみよう。」「でも、段取りをどうしたら良いんだろう。安全面にも注意が要るし!」と嬉しい反面、責任重大です。
ということで、11月30日(日)10時から今年最後の池の掃除をしたいと思います。手袋のない方はこちらで用意します。長靴と汚れてもよい服装で奮ってご参加ください。飛び入り大歓迎ですので皆様のご協力、ご参加を心よりお待ち致しております。
これはあくまでも私個人の目から見た議会活動報告です。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。
12月定例議会本会議の開催予定は12月8(月),9(火),17(水)の3回で、いずれも朝9時30分からです。8・9は一般質問、9は主に議案の説明・質疑、17は討論・採決の予定です。
平成15年10月24日
神谷明彦
E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com
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