平成15年6月定例議会報告 (第17号)
6月定例議会本会議は6月6(金),7(土),9(月),18(水)と4回開かれました。このうち、6〜9は主に一般質問、9の後半は議案の説明質疑、18は討論・採決でした。
因に、改選後の議会会派の構成は、自民10+公明3+共産3+無所属5で計21名。新人に加え、議員の引退で1人になってしまった会派もあり、無所属(一人会派)が5組も誕生しました。5人が結束して会派を作ればいきなり2番目の勢力が出来上がるところですが、5人はそれぞれ考え方も違うでしょうし、私はそもそも会派制度に疑問を感じています。そのまま各々が一人会派として活動することになりました。
委員会は総務委員会と合併問題調査特別委員会に所属しています。合併問題調査特別委員会では、合併賛成・反対にとらわれず、問題点の抽出、デメリットの克服方策、合併の効果を発揮するための方策等を踏まえながら、まちづくりの手段としての合併のあるべき姿を、調査・提言していけたらと期待しています。
いくつかの自治体が集まり一部事務組合を作って、広域で消防、斎場、ゴミ焼却、介護保険などを運営しています。一部事務組合には各自治体の議会から数人の代表を選び、議員を派遣しています。私は、知多北部広域連合(東海市、知多市、大府市、東浦町で構成する介護保険事業)の議員を務めます。
@東浦町の自慢は・・・オンリーワン、ナンバーワンを!
日本中どこへ行っても同じようなまちが増えているような気がします。とかく地方の自治体は情報発信力が弱いと言われます。自治体独自の特色を見つけてそれを伸ばしていく。オンリーワン、ナンバーワンを育てる努力が求められているのではないでしょうか。
行政は、オニバス、徳川家康の生母於大の生誕地、だんつく獅子舞、おまんと(駆け馬神事)、緒川小学校の個性化教育などを挙げて、守り育てていきたいとの答弁。
肩肘張る必要はないにしても、常に光るものを探して欲しいものです。
余談になりますが、「観光」とは、その土地のキラリと光るものを観ることだそうです。今や日本の地方は金太郎飴のように特色がなくなり、本物の輝きを失ってしまいました。近年、たくさんの日本人観光客が地方情緒を楽しむためにイタリアやフランスの田舎へ行ってしまうのは残念なことです。
A知多北部3市1町の合併問題について
東浦町長の呼びかけで、今年に入って東海市、知多市、大府市、東浦町の合併のための研究会が発足しました。合併によってどんなメリット・デメリットがもたらされるか、どんなまちづくりが可能となるのか具体的にシミュレーションしてみることも大切です。入り口のところで賛成だの反対だの感情論をやっていても意味がないと思います。
以下の1)〜7)を切り口に、合併によりどんなまちづくりを構想しているのか質問しました。
1)想定区域の選定理由
行政の答弁では、知多北部3市1町で介護保険をやっている実績とケーブルテレビの情報基盤が同一であることを挙げていました。しかし、地理的には、想定区域は伊勢湾岸、太田川−阿久比川の谷、境川流域に分断されていて、相互の往き来が有りません。むしろ、東浦の旧郷から見れば大府、刈谷、半田などの方が従来から密接な関係にあります。無論、合併には相手の意向もあるのでしょうが・・・。
町長は、「既存市街地の再開発は大変だ。幸い3市1町の真ん中には未開地が広がっている。ここに自由に新市街地を描ける夢がある。」との答弁。しかし、“新しい交流を創り出す”のは意欲的ですが、右肩下がりの時代には身の丈にあった都市開発・都市再生が必要になってくると思います。町長も、「現在の社会状況では、夢のような新市計画はないだろう。既存のものをいかに使うか、実際の新市計画は低コストを追求したのもになるだろう。数十年後の夢を語ったまでだ」との見解を示しました。欧米などでは、最近、既存市街地の再活性化が熱心に進められています。日本型の「焼畑都市開発」では、無秩序に市域が広がり旧市街地が荒廃するのみで、その都市の特色は守れないのではないでしょうか。
「横浜都民」「川崎都民」という言葉があります。これらの都市では、市民の生活はもっぱら東京と結びついていて、市内の異なる鉄道沿線同士の交流はありません。私は、知多北部3市1町の場合も各々の地域が南北軸で名古屋市と結びついていて、地域同士の東西の交流は希薄なまちになるのではと想像しています。
2)合併のメリット・デメリット
行政は、メリットについて、市町界を越えた柔軟な学区の設定、専門職員の採用によるサービスの高度化、重点投資による基盤整備の推進などを、デメリットについてはコンピュータシステム統合にかかる経費などを挙げています。
財政問題を掲げて合併したものの、新市庁舎や新たな道路建設などで掛かった経費の方が大きかったのでは、何のための合併だったかわかりません。合併特例債を使うとしても、1/3は自腹であることを心せねばなりません。
合併すると首長や議員の数を減らせるため、コストの削減ができるといった論調を耳にします。しかしながら、特別職の人件費は歳出の0.3%、議会費(議員の報酬、事務職員の人件費等、議会事務に係るすべての経費)は1.2%でしかありません。すべてをカットしたところで、商工会や経営者層がイメージしている大リストラクチャリング(行政の再構築)からは程遠いと言わざるを得ないと思います。
3)地域の地名・文化の取り扱い
旧市町の地名については、文化や伝統と同じく新市の財産として守り伝えていくべきだとの答弁でした。
4)各地域の「地方自治」の運営
旧市町単位や学区単位の自治組織が考えられるが、住民自治の確立は最重要課題として今後十分な協議が必要との答弁。東浦には区(町内会)の組織があります。昔は、皆同じように地域で入会地やため池などの共有財産を持ち、そこに住んで、働いて、地域の活動にも参加していたのですが、今や他所から転入してきた人や他所のまちで働いている人などさまざまな人がいます。区有財産の取り扱いやコミュニティーのあり方などたくさんの課題があると思います。最近では行政のパートナーとして住民自治組織をNPOで運営したりする例もあるようです。
5)中核都市を目指すメリット
中核市になれば、種々の権限が委譲され、住民サービスの向上や魅力あるまちづくりの展開ができるとしていますが、具体的にどんなことが可能になるか説明が欠けています。ただ「権限が増す」というだけでなく、「その権限を使えば従来できなかったこんなことが実現できるようになる」といった風に住民の生活がどう変わるかの説明が必要です。当然、将来のビジョンと、与えられた権限を使いこなす能力が前提となります。
6)都市の適正な人口規模とは
合併して人口規模が膨れると、本当に都市の活力や行政効率が増大するのでしょうか。都市の活力は中心市街地の集積度に依存するのではないでしょうか。合併のモデルとして人口規模が等しい岡崎市を比較対象にしていますが、地理的・歴史的・自然発生的に中心市街地が形成されて30万都市となったのと、いくつかの異なるまちが寄せ集まった結果人口が30万人になるのとは訳が違うと思います。
「規模拡大は歴史の趨勢」と言いますが、本当に日本のまちは小さすぎるのでしょうか? 参考までに自治体の平均人口の国際比較を下表に示します。イギリスはサッチャー・メージャー政権時に一層制(国直轄)の地方自治を目指したため平均人口約12万人と突出して大きくなっています。他では、フランス1,565人、スウェーデン30,669人、ドイツ5,013人などです。先進国の中では平均人口38,897人の日本の自治体は決して小さくありません。
加茂利男著「地方自治・未来への選択」より引用
10万から30万人都市くらいが最も行政効率が高いとも言われます。しかし、5万人くらいにかけては人口が増えるとともに急速に行政効率が向上するが、それ以上はほぼ横ばい状態であることが指摘されています。
試しに、行政がまとめた資料に基づき “住民一人あたりの職員人件費”を指標として3市1町の「行政効率」を比較すると、人口の最も少ない東浦町が最も良い結果となります。これでは、東浦にとって合併のメリットがないことになります。一方、ターゲットとする岡崎の指標は、3市1町の平均的な値でしかありません。合併の効果を出すにはただくっ付くだけでなく、何かブレークスルーが必要だと思います。
7)合併問題への住民参加のしくみ
行政は、合併協議会の内容を徹底して情報公開するとともに、広い住民参加を早い時期に検討したいとしています。私は、合併協議会のメンバーに公募で意欲ある一般の住民を多数加えるなど住民の意見を積極的に取り入れることと、新市建設計画が出来上がった上で、新市計画に沿った合併への賛否を問う住民投票の実施を提言しました。どんなまちができるか判らないのに賛成か反対かを問われるのは無理なことです。
町長は「ゴミ処理や介護保険には一定の規模が必要なため、いくつかの自治体で一部事務組合を作って運営しているが、やはり統一的な政策が不可欠。たとえば、ゴミ処理は環境政策がバックにあって初めて機能する。合併は行政の高度化から避けては通れない。職員のスリム化も不可欠となる。」と述べました。
私なりに広域合併の必要性を感じることがあるのは交通計画や災害対応などです。東浦町の総合計画には交通安全や既存の鉄道・バスへの要望に関する記述はあっても、総合的な交通体系に関する項目はありません。コミュニティーバスなども各自治体が別個に運行しています。確かに車で10分走ると隣のまちへ抜けてしまうようでは交通計画の組みようがないのかもしれません。また、阪神淡路大震災のとき、淡路島では被害の大きい自治体と小さい自治体があったにもかかわらず、相互の調整を取って効率的に助け合うことができなかったことが指摘されています。
ただくっ付いて、職員の数が増え、組織が大きくなり、給料も大都市並に上げ・・・と言うだけでは、合併の意味などありません。組織や給与体系はもとより、情報化や仕事の進め方の改革など「行政の再構築」が必要です。
合併するにしても、単独でいくにしても、それなりの算段と将来構想が不可欠です。合併賛成ありき、反対ありきの議論が横行しているように感じますが、中身が議論されなければ無意味です。私は、必ずしも合併はバラ色の将来を約束するとは限らないことを示し、住民や行政の皆さんに将来のまちづくりについて真剣に考えていただきたいと願ってやみません。そしてあるべき姿(同じ合併するにしても、より良い合併とはどうあるべきか)を提言していきたいと思います。
B役所の姿勢を問う
1)前例踏襲主義に囚われていないか?
2)ヨコ並び意識・中央への依存体質はないか?
3)誤りを認めない体質(無謬性)はないか?
東浦町の自己診断を聞いてみました。
人間は保守的なもので、今までのやり方は変えたくないものです。しかし、右肩上がりの経済は終わり、人口は減少に転ずる、情報革命が進行するなど世の中はめまぐるしく変わっています。そんな中で、今までのやり方に、ふと疑問を持つ、何かに気がつく、不断の心得が必要なのではないかと思います。
為政者の権威を保つためか、役所はなかなか誤りを認めません。道路公団の債務超過問題等、国も必ずしも正しくないのはもはや明白です。間違いを認めなければ、その後の改善にもつなげられません。朝令暮改という言葉ありますが、誤りを正すためなら朝令朝改でも早過ぎることはないと思います。
自治体の独自の政策が新聞やテレビのニュースになりますが、それぞれが独自に頭をしぼるのが当たり前になっていたらそんなことはニュースにならないはずです。最近では、国や県のやり方にも堂々と自説を唱える威勢の良い自治体も出てきました。まだ大半は静観を決め込んでいますが、主張が一致すればそれらと連携して国に当っていくくらいの気概があっても良いと思います。
答弁では、「過去の繰り返しでは住民ニーズに応えていけない。日々の事務改善や新知識の習得に努力する。」「地方分権が進む中、自ら考え条例制定できるよう法規担当部門を充実させる。」「改善すべきは改善する姿勢が必要。職員の意識も喚起する。」「さりとて、他と公平平等に業務を遂行しなければならないので、標準化のモノサシは前例踏襲とヨコ並びにならざるを得ない面もある。」とのこと。
[条例案・その他]
@平成15年度老人保健特別会計補正予算の専決処分の承認(14年度未納分1887万円を15年度予算から繰上充用)
A非常勤消防団員に係る退職報償金の支給に関する条例の一部改正(法律施行令改正に伴う支給額の増額)
B母子家庭等医療費支給条例の一部改正(法律改正に伴う語句の訂正)
C手数料条例の一部改正(住民基本台帳カードの交付手数料の設定、字句の整理)
D児童遊園及びちびっこ広場に関する条例の一部改正(生路前田ちびっこ広場の新設)
E先端産業育成条例の一部改正(県の補助金交付要綱改正に伴い、中小企業は町で、大企業と研究所は県で担当)
F平成15年度一般会計補正予算(公共施設の耐震化工事等)
G固定資産評価審査委員の選任(長坂時也氏の再任)
H下水道工事請負契約の締結(6510万円,東浦土建)
I蒸煮冷却機の購入(給食センターの厨房機,1575万円,厨林堂)
J町道路線の認定(生路前田地内)
[請願および意見書]
K小学校入学前までの通院医療費を無料にすることを求める請願
Lパート・有期契約労働法の制定を求める意見書
M「三位一体の改革」の早期実現に関する意見書
N有事法制関連3法の具体化及び発動しないことを求める意見書
@の専決処分とは、議会を招集する時間的余裕がないとか議会が成立しないなどの理由で、必要な期限までに議決ができない場合に、首長が議会に代わってこれを処分することです。解り易く言えば、急ぎの案件を行政が議会の議決を経ずに執行してしまうことで、議会の事後承認を諮ることが必要になります。この場合、承認を得られなかったとしても専決処分の法的効力は変わりません。従って、止むを得ない場合以外の多用はあってはなりません。
Cは住民基本台帳番号を記録したICカードを身分証として交付するためのもので、希望者は500円で発行してもらえるようになります。ICカードには様々なデータを書き込んで、健康管理に利用したりすることも考えられますが、今のところ他市町村で住民票が取れるほかは身分証としてしか使えません。
Fでは、統一地方選挙が無投票だったための補正減と公共施設の耐震化工事のための補正増が含まれています。県議選は当初予算が737万円のところ68万円で、町議選は当初1125万円のところ302万円で済みました。耐震化工事は、昭和56年以前に建築された建物の中で強度に問題のあるものについて、順次施工していく予定です。今年度は役場本庁舎と森岡及び藤江保育園の耐震補強を行います。施工費はそれぞれ1.2億円、1800万円、2415万円です。
CFは共産党以外の賛成で可決。KNは共産党のみの賛成で否決。他は全会一致で可決されました。
発足以来なかなか開かれなかった第1回委員会が7月16日に開催されました。合併賛成派、反対派、慎重派、いろいろ居ますが、メリット・デメリットをキチンと抽出してあるべきまちの姿を示したいという方針では一致しているよう感じます。
活動を始めるのが遅くなったため合併問題に対する調査提言をするには、かなりのハードスケジュールで臨まなければなりません。さっそく、7月23日に担当職員との意見交換、28日には中核市のモデルとなる岡崎市を訪問することになりました。
「う・ら・ら」の乗車数は、1号線・2号線ともに開業時に比べ増加傾向にあり、現在、1日当り1号線は230人、2号線は170人程度です。乗車数の増加が目立つ停留所は、イオン東浦、新田分団詰所などです。特に新田分団詰所では、隣接する知多市の巽ヶ丘地区に住んでいる方たちが利用しているようです。町外の方からも支持されるのは嬉しいことです。
6月から1号線(中型低床バス)の運行委託先が知多バスから大興タクシーに変わりました。入札の結果、運行委託料は1日当り52,500円から30,450円と半値近くになりました。サービスも以前より良くなったと聞いています。
町運行バスの立ち上げが順調に終わったことと、新たに合併問題調査特別委員会を設置したことから、総合交通体系調査特別委員会は解散することになりました。私としては、総合的な交通政策を都市計画や環境問題と絡めて議論する場を残しておいたほうが良かったのではと思っています。
厄松池では、今年も昨年に続いてホテイアオイが繁茂しなくなりました、バイパス水路の完成で水質が変わったためかもしれませんが、いまのところ原因は定かではありません。繁茂しなくなったこと自体は結構ですが、紫色の花が池一面に咲き誇るのを見られなくなったことを思うと些か残念です。
一方、切池では、昨年のウォーターレタスに代わってウキクサが池を埋め尽くしています。困ったことに心無い人たちが捨てた空カンや空ビンがいっぱいです。非常に見苦しいので、8月24日(日)10時から掃除をしたいと思っています。訂正:町が浚渫工事の準備のため、切池の水を抜いてしまいましたので、8月24日は10時から厄松池の掃除をすることにします。皆さんの参加をお待ちしています。
切池も厄松池も以前のようなオアコや悪臭の発生は今のところありません。
これはあくまでも私個人の目から見た議会活動報告です。私の考えをできるだけ率直に述べたつもりです。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。
9月定例議会本会議の開催予定は9月4(木),5(金),8(月),9(火),19(金)の5回で、いずれも朝9時30分からです。4〜5は一般質問、8〜9は議案の説明・質疑、19は討論・採決です。平成14年度決算・・・皆さんの税金がどのように運用されたか・・・が審議の中心になります。
平成15年7月25日
神谷明彦
E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com
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