平成14年9月定例議会報告 (第14号)
田中耕一さんが43歳の若さでノーベル化学賞を受賞することになりました。変人かどうかはさておき、彼のひた向きで飾らないキャラクターがお茶の間の好感を呼んでいるようです。
さて、9月定例議会が終了しましたので議会報告を致します。本会議は9月5(木),6(金),9(月),10(火),20(金)と5回開かれました。このうち、5・6は一般質問、9・10は議案の説明・質疑、20は討論・採決でした。
今回は、一般質問はしませんでしたが、決算審議等に絡んでいくつかの発言をしました。また、読者の中から、単年度の決算だけでなく、下水道事業、緒川駅東土地区画整理事業や於大公園整備事業などの数年次にわたる継続事業の進捗や町運行バスの収支などについて、まとめてはどうかとアドバイスがありましたので、下水道事業と町運行バスについて若干の考察を加えてみたいと思います。
一般質問
今回は、休ませていただきました。
[条例案・その他]
@選挙公報の発行に関する条例の制定(選挙時に議員及び町長候補者の選挙公報を発行)
A税条例の一部改正(地方税法の改正に伴い、連結法人に対する規定を追加)
B乳幼児医療費支給条例の一部改正(乳幼児医療費の支給対象年齢の引き上げ)
C母子家庭等医療費支給条例の一部改正(語句の変更、規定の整理)
D障害者医療費支給条例の一部改正(語句の変更、規定の整理)
E老人医療費の助成に関する条例の一部改正(国の制度改革に伴い、助成対象を73歳まで引き上げ)
F戦傷病者医療費支給条例の一部改正(語句の変更、規定の整理)
G平成14年度一般会計補正予算(地震対策等、1億5千万円の補正増)
H平成14年度国民健康保険事業特別会計補正予算
I平成14年度緒川駅東土地区画整理事業特別会計補正予算
J平成14年度水道事業会計補正予算(和解金の支払い等)
K教育委員会委員の選任(稲葉耕一氏の留任)
L防災行政無線設置工事請負契約の締結(2億2890万円,カナデン)
M使用損害金の額の決定および和解(緒川蝮池地内の私有地に無断で水道管を敷設)
N町道路線の変更(森岡洲崎・蓮池地内)
O町道路線の認定(緒川鼈池・下高根地内)
Bは、4歳の誕生月の末日までの医療費支給に加え、入院に係る医療費に限り6歳児まで支給するもの。Gの中で主なものは、公共施設の耐震診断に7212万円、庁舎等の耐震化工事設計に775万円など。Lは、屋外拡声器13箇所と、地域防災会や地区役員宅や公共施設に戸別受信機2800箇所を設置して、災害時の情報伝達に備えるもの。
Mに関しては新聞報道でご存知のことと思いますが、昭和51年に町のミスで私有地に無断で水道本管を埋設していたことに対する地主への損害賠償の和解が成立しました。町が地主2人に対して27年間の土地使用料として計1100万円を支払い、さらに、その土地(山林1374u)を道路用地として2500万円で買い取るため、地主への支払いは総額3600万円にもなります。もともと職員のミスが原因なので、水道本管(600mmφ)を撤去しろと要求されれば、好条件で買い取らざるを得なかったようです。この手の問題で、ゴネ得や泣き寝入りが生ずるのは断じて避けたいところです。Oは、和解で買い取ることになった道路用地を町道認定するもので、収用の特例により地主の土地売却益を非課税にできるため、町の支払いを圧縮することできます。ただし、道路認定したからには、町に道路を管理する責任が発生します。
Eは、医療費の自己負担増につながるとして共産党が反対。その他の議案は全会一致で可決されました。
[決算認定]
@平成13年度一般会計決算
A平成13年度特別会計決算
B平成13年度水道事業会計決算
平成13年3月の定例議会で可決された平成13年度(平成13年4月〜平成14年3月)予算が適正に執行されたかどうかをチェックします。決算は、一般会計と5つの特別会計(国民健康保険事業、土地取得、老人保健、下水道事業、緒川駅東土地区画整理事業)と水道事業会計に分かれていて、決算書は合わせると400ページにもなります。これらの書類の中に、一般会計118億円、特別会計86億円、合計204億円もの使途が科目毎に記載されています。水道事業は原則独立採算の企業会計になっていてバランスシートが出てきます。決算書には行政の仕事の全てが含まれているわけですから、決算に関連してかなり広範な質問を展開することが出来ます。とは言え、もう(予算執行が)済んでしまっていることなので、自ずと迫力に欠けるような気がします。結果は、共産党を除く賛成多数で認定可決されました。
<バランスシートを公表>
今回の決算から普通会計(一般会計に特別会計の一部を加えたもの)のバランスシートが公表されました。自治体の財政状態を明らかにするため、保有する資産、負債等のストックの状況を総括的に表示したものです。東浦町のバランスシートの概略を表1に示します。毎年、皆さんの税金や国・県からの補助や借金を(平成13年度は120億円ほど)注ぎ込んで蓄えたのが500億円の資産と133億円の負債で、仮に資産を全部売却して借金を返済するとすれば367億円のお釣りが来る状態であると解釈できます。(現実には、道路や学校を売り飛ばすことは出来ませんね・・・。)営利企業に例えれば367億円の資本蓄積がある状態であることを示していますが、問題は固定資産(土地、箱モノなど)の評価の仕方でどうにでもなるため、他の自治体との比較など、統一的な解釈の手法が必要になります。また、道路や箱モノなどのハードは、バランスシートの資産の部に載ってきますが、行政サービスは、質・量共にバランスシートに反映されないため、行政サービス(ソフト)を論ずる場合は別の評価手法を考える必要があります。
今のところ、自治体同士でバランスシートを比較するまでには至っていませんが、各自治体の財政データは県から公表されています。他町との財政比較をすると東浦町は税収や積立金の割に借金が多いことがわかります。(グラフ1)
表1: 東浦町のバランスシート(平成14年3月現在)
(単位:千円)
資産の部 |
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負債の部 |
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有形固定資産 |
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固定負債 |
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土地 |
15,177,587 |
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町債(長期借入金) |
10,532,449 |
道路、公共施設等 |
30,119,162 |
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退職給与引当金 |
2,062,389 |
有形固定資産計 |
45,296,749 |
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固定負債計 |
12,594,838 |
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投資等 |
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流動負債 |
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出資金 |
32,020 |
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町債(翌年度返済) |
735,268 |
貸付金 |
83,000 |
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基金 |
2,309,137 |
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負債合計 |
13,330,106 |
投資等計 |
2,424,157 |
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流動資産 |
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正味資産の部 |
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現預金 |
1,880,553 |
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未収金 |
424,360 |
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正味資産合計 |
36,695,713 |
流動資産計 |
2,304,913 |
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資産合計 |
50,025,819 |
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負債・正味資産合計 |
50,025,819 |
※固定資産の評価は取得原価による。土地は原価償却しない。
<下水道を考える>
下水道事業の見通しについて考えてみたいと思います。下水道事業特別会計では昭和61年の発足以来、約172億円が支出されています。下水道普及率が46%であることを考慮して極々ラフな見積りをすると、計画完了までおよそ373億円が必要になりそうです。これは、4万7千人の人口1人あたりに換算すると建設費のみで80万円程になります。
日本全国で国策のもとに下水道建設が行われていますが、果たして何のために巨額の税金が投入されているのかキチンと説明されていません。「文化生活を送るために」と当然視されているようですが、文化生活とは一体何でしょうか? 下水道がなくてもより低コストな合併浄化槽でトイレの水洗化はすでに浸透しています。「衛生のため」といいますが、今以上の抗菌文化・除菌文化が必要とも思われません。ドブにフタをするためだけなら1人当り80万円もの予算は必要ありません。結局下水道は何のためにあるかといえば、もっぱら川や海を汚さないためにあると考えざるを得ないと思います。しかし、日頃、身近な池や川や海がゴミなどで汚れているのを見るにつけ、果たして、日本人が本当に川や海を守ろうとしているのか、私は疑問を感じます。
また、現在から将来にかけて、下水道料金で下水道の維持管理費と金利負担を賄えそうもないのも問題です。これに関して、町長は、将来的には、下水道料金を値上げするか、一般会計からの税金投入をせざるを得ないとの見解を示しました。
[請願・意見書・決議]
@学級規模の縮小・多様な学習が可能となる教職員の配置と義務教育費国庫負担制度の堅持に関する請願・意見書
A国の私学助成の増額と拡充に関する請願・意見書
B市町村独自の私学助成を求める請願
C道路整備の促進と財源の確保についての意見書
D中小企業の当面する金融上の困難を解消し、「金融アセスメント法」の早期制定を求める意見書
E資源ごみ回収等の監査請求に関する決議
Eは、資源ゴミの計量の妥当性について監査委員の監査を求めるための決議案ですが、共産党を除く反対多数で否決されました。他は、全会一致で可決されました。
う・ら・らの運行が始まってからちょうど1年が経ちました。これまでの、実績をまとめてみました。グラフ2のとおり今のところ堅調に推移しています。特に8月、9月は、1日212人、1便あたり18人に迫る勢いです。この1年間の平均は、1便あたり15.4人になりました。
収支を表2にまとめました。初期コストはバスの購入費を含めて2013万円。1年間の運行コストは1906万円、運行収入は550万円で、町の持ち出しは1356万円です。利用者1人当りの支出は202円で、う・ら・ら以前に緒川新田−役場間で運行していた東西連絡バスと比べると、初期コストを考えなければ(利用者が増えた分)大幅に向上しています。運賃は大人1乗車につき100円で、営業係数(100円の収入を得るためのコスト)は346です。
表2: 町運行バスの収支・評価
う・ら・ら |
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東西連絡バス |
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H13/10/1〜H14/9/30 |
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H12/4/1〜H13/3/31 |
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初期コスト |
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低床バス1台 |
16,695,000 |
円 |
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停留所標識 |
2,255,400 |
円 |
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路線図・時刻表等 |
703,130 |
円 |
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バス運行委員報酬 |
478,800 |
円 |
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初期コスト計 |
20,132,330 |
円 |
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運行コスト |
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運行コスト |
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運行委託(知多バス) |
19,057,500 |
円 |
運行委託(知多バス) |
10,051,650 |
円 |
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運行収入 |
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運行収入 |
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運賃 |
4,237,371 |
円 |
運賃 |
0 |
円 |
定期券 |
605,000 |
円 |
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回数券 |
659,000 |
円 |
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運行収入計 |
5,501,371 |
円 |
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運行収支 |
-13,556,129 |
円 |
運行収支 |
-10,051,650 |
円 |
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利用者数 |
67,025人 |
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利用者数 |
19,187人 |
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利用者1人あたり収支 |
-202 |
円 |
利用者1人あたり収支 |
-524 |
円 |
営業係数 |
346 |
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営業係数 |
― |
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10月1日に、藤江方面から緒川駅を経由して中部病院を結ぶ「う・ら・ら2号線」が開設されました。う・ら・ら2号線は、役場−中部病院間がう・ら・ら1号線と重複してダブルトラックになっています。したがって、この間は2時間に2本の運行となります。うまくダイヤを組めば、1時間ヘッドの定時ダイヤを組めるはずです。しかし、行政の作ったダイヤはそうなっていません。決算審議に絡ませてその辺りを質しました。
また、定期券を1号線と2号線で別々にすると言うではありませんか。それでは、役場−中部病院間を利用する人たちがどちらか一方のバスしか利用できなくなるとして、行政に再考を求めました。その結果、1枚の定期券で、1ヵ月間すべての区間を利用できることとなりました。町広報誌の折込みはすでに(定期券が共通でないことを)印刷済みだったので、翌日、役場や各地区の公民館で全戸配布の折込みの訂正作業をしなければならなくなったようです。どうやら、私が悪者になってしまいました。
厄松池のホテイアオイは、8月頃から花が咲き始め、池一面になるはずなのですが、今年はなぜか元気がありません。したがって、今年はホテイアオイの除去作業は必要なさそうです。池の掃除のみをやろうと思います。とりあえず11月17日(日)10時から第1回目を予定しています。午前中は草刈とゴミ拾い、午後から余裕があれば、切池の掃除もできればと考えています。飛び入り大歓迎ですので皆様のご協力、ご参加を心よりお待ち致しております。
切池では、今、巨大ウォーターレタスがビッシリ生えています。池の養分をたっぷり吸って人の頭ほどの大きさに成長しています。とても金魚鉢に入りそうもない代物です。
これはあくまでも私個人の目から見た議会活動報告です。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。
12月定例議会本会議の開催予定は12月6(金),9(月),18(水)の3回で、いずれも朝9時30分からです。6・9は一般質問、9は主に議案の説明・質疑、18は討論・採決の予定です。
平成14年10月22日
神谷明彦
E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com
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