平成14年6月定例議会報告 (第13号)
6月定例議会が終了しましたので議会報告を致します。ちょうど1年前に一般質問した上水道の水源の問題を再度取り上げることにしました。いきなり、行政の方針転換とまでいかないにしても、少しずつ意識を変革していけたらと思います。
本会議は6月7(金),8(土),10(月),20(木)と4回開かれました。このうち、7〜10は主に一般質問、10の後半は議案の説明質疑、20は討論・採決でした。
@上水道の水源を木曽川に・・・周辺市町と共に国・県に働きかけを!
平成13年6月定例議会では、長良川河口堰と木曽川の水質の違いを示して、飲料水にはよりきれいで美味しい水を求めるのは当然であると述べました。おとなり半田市の榊原市長は昨年「上水道の水源を木曽川に」を公約に掲げ当選。近隣市町と共同歩調を取って県に働きかけをしたいと表明しています。市長の呼びかけに応じて、木曽川の水を求めていくときが来たのではないかと町の姿勢を問いました。
行政の答弁は、「渇水を避けて安定供給を受けるためには河口堰の水は不可欠」「水利権の調整は困難」「他の関係市町の動向を見て考える」と相変わらずの消極的姿勢でした。
私は、河口堰からの取水を止めろとは一言も言っていません。木曽川と長良川河口堰を合わせれば水は十分足りています。問題はその配分です。よりきれいな木曽川の水を飲料水に供給して、長良川河口堰の水を工業用水や農業用水に回すのが当然なはずです。
以前にも触れましたが、水利権のやり取りをしなくても木曽川の水を飲む方法があるのではないでしょうか。木曽川と長良川河口堰の両方の水は知多浄水場まで来ているのですから、工業用水に使われている木曽川の水(毎秒6.36㎥)から毎秒2.86㎥を上水道に分けてもらい、上水道から河口堰の水(毎秒2.86㎥)を工業用水に返せば、見かけ上、水の出入りは発生しません。河口堰の費用負担は、従来どおり上水道の側で責任を持てば良いわけで、誰にも迷惑をかけずに、木曽川の水を飲むことが出来ると思うのです。こう言ったアイディアがどこからも出て来ないのは不思議なことです。
町長の答弁では、「愛知用水を引くにあたり、知多半島が木曽川の水利権に割り込んでいった歴史的負い目は簡単に解消しない。半田市長からは、まだ直接呼びかけを受けていない。正式な呼びかけがあった時点で、適切な判断をする」とのこと。
何かにつけて、出来ない、困難だと言いますが、可能性を阻んでいるのは役所的発想そのものではないかと思います。過去の経緯にこだわってばかりでは、何も進展はありません。
知多半島の保守系あるいは無所属の議員の中にも同様の主張をする人が出てきています。東浦町の保守系議員の中にも内心は同感の人たちもいると思います。上水道の水源問題は、もはや保守vs.革新の問題ではなく、普遍的・一般的要求なのです。多くの住民の皆さんが、再び木曽川の水を飲める日を待ちわびているのは言うまでもないことです。
知多浄水場では、現在、新たな活性炭の投入装置が建設中。
活性炭の投入は長良川河口堰からの取水が始まってから日常的に行われるようになった。
A下水処理汚泥の有効利用について
東浦町の下水は県管理の境川浄化センター(刈谷市)と衣浦西部浄化センター(半田市)で処理されています。下水処理場では、下水に含まれる有機物をバクテリアに食べさせることにより下水を浄化しています。こうして増殖したバクテリアの塊が汚泥です。
問題は、汚泥の処分です。焼結してレンガや路盤材などの建設資材として、炭化して吸着材として、発酵させコンポストや肥料として、メタンガスを発生させエネルギーとして、様々な有効利用が試みられていますが、まだかなりの部分が埋め立て処分されているようです。私達は1人1日当りBOD換算でおよそ50グラムの有機物を下水に流します。そのうち処理場で45グラムを取り除き、5グラムを処理水と共に海に流しています。日本下水道協会(平成10年度統計)によれば、日本全国で発生する年間3億7千4百万㎥の汚泥のうち、15%を肥料や土質改良材として、41%を汚泥焼結レンガなどの建設資材として再利用、40%を廃棄物として埋め立て処分しています。国も各自治体に対し環境に配慮した下水汚泥の再利用計画の策定を求めています。東浦周辺の地域ではどんな状況か質問しました。
境川浄化センターでは昨年度16,400tの汚泥のうち、22%を発酵させ汚泥発酵コンポスト「サカイソイル」に、2%を熱風乾燥させ汚泥乾燥肥料「サカイカンピ」に、残り76%を産廃として埋め立て処分しているとのこと。衣浦西部処理センターでは、6%を焼却灰焼結レンガに、残り94%を埋め立て処分しているそうです。
サカイソイルは無料で配布されていて大変好評ですが、増産の予定はないそうです。サカイカンピは試験的に供給が始まったばかりで、これから様子を見ながら実績を増やしていくそうです。汚泥の有効利用は、コストや技術的な面そして埋め立て処分場のスペースなどの兼ね合いで決まってくると思われます。埋め立て処分地の問題、汚泥の安定化・無害化、減容のため、そして二酸化炭素の削減のためにも、推進してもらいたいものです。
今、全国で莫大なコストをかけて下水道を整備しています。家庭からの雑排水やし尿が地下の下水管を通って処理場に集められます。この、有機物の地下物流ルートを有効利用しない手はありません。長期的な見通しを持って汚泥のリサイクルを考えて欲しいと思います。
汚泥の処分以外にも、ディスポーザー導入の問題、下水の管渠の有効利用(大垣市では15qの光ファイバーを敷設)、下水処理水の有効利用(建設中の日本最大の水ガメ、徳山ダム20杯分に当たる年間129億tの下水は処理後、99%をそのまま放流)、有害物質のチェックの問題などを指摘しておきました。
また、サカイソイルなどの存在を知らない方達もたくさんいらっしゃるので、広報等でもPRするよう要望しました。
B事業コストを現場でわかりやすく表示しては
公共事業の工事現場には、施工業者名や工事期間が書かれた立て看板が立っています。これにコスト情報を加えてはどうでしょうか。宮城県ではすでに、工事現場の立て看板の余白に発注額を記載しています。事業によっては、事業目的や事業概要、工事単価(道路であれば1メートル当り○○円)、コストの内訳(用地費、施工費、立退き補償など)を明記した看板を設置しています。また、イベントなどについても、経費を開催案内のチラシやポスター、当日配布の資料に表示。広報誌やパンフレット、報告書などの印刷物についても、作成部数や作成費用を余白に記載しています。個々の表示方法については担当部署の工夫に任されています。効果として、コストに関心を持ってもらうこと、住民も職員もコスト意識を共有すること、事業の必要性や効率性、優先度、実施方法を考えたり判断する一助になることが挙げられます。
「よその自治体でやっているから東浦でも真似ては」などとショボイことを言いたくはなかったのですが、前例がないと説得力を感じないのがお役人の性。それでも、行政の答弁は、「法律に基づいてやっている。看板のコストもかかる??」などと当を得ない消極的なものでした。情報を出したくないのがミエミエです。隠し事をせずにもう少し自信を持って仕事をしてはどうかと思います。
税金の使い道を納税者が知らないのはおかしな話です。中央官僚の退職金にしてもプライバシーのために答えられないとか・・・。彼らの雇い主は国民なのに。(これは極端だと言われるかも知れませんが、私は、役場の幹部の給料やボーナスを名札に書いても良いとさえ思っています。)保育料などの公共料金もコストに比べて安価に設定されており、持ち出し状態になっていることを多くの皆さんはご存じないことと思います。コストを公開して、住民の皆さんの理解を得ることは、情報公開や行政評価のみならず住民自治、住民参加の観点からも不可欠だと思います。
町長は答弁で、「これから財政は逼迫し、事業のスリム化、取捨選択は避けられないだろう。住民の判断を仰ぐ必要が出てくることも考えられる。これからの検討課題だが、思いつきではなく、ねらいや目的をよく考えなければならない。」と述べました。
[条例案・その他]
@平成14年度老人保健特別会計補正予算に係わる専決処分事項の報告(13年度未入分3765万円を14年度予算から繰上充用)
A知多半島5市5町の公共施設の広域利用に関する協議(広域利用の範囲の拡大)
B公民館条例の一部改正(広域利用の範囲の拡大)
C町営グラウンドの設置及び管理に関する条例の一部改正(広域利用の範囲の拡大)
D岡田川テニス場条例の一部改正(広域利用の範囲の拡大)
E文化広場条例の一部改正(広域利用の範囲の拡大)
F勤労福祉会館条例の一部改正(広域利用の範囲の拡大)
G地震災害警戒本部条例の制定(地震防災対策強化地域指定に伴い、国の法律に基づく条令を制定)
H消防団員等公務災害補償条例の一部改正(国の法律廃止に伴う語句の変更)
I非常勤消防団員及び消防協力団員に係わる退職報償金の支給に関する条例の一部改正(法律施行令の改正に伴い四千円の増額)
J平成14年度一般会計補正予算(寄付による教育関係予算の追加など)
K蒸煮冷却機の購入(給食センターの厨房機器,1338万円,厨林堂)
L町道路線の認定(生路狭間地内、藤江高ツブラ地内)
M農業委員の推薦(加古豪,戸田和正,深谷公信,岡田富雄の4氏を推薦)
N議会会議規則の一部改正(議員提案、地方自治法の改正に伴う規定の整理)
O議会政務調査費の交付に関する条例の一部改正(議員提案、地方自治法の改正に伴う語句の変更)
[意見書]
P青少年の健全育成に関する法律の制定についての意見書
Q政府提出の有事法制関連法案の慎重審議を求める意見書
A〜Fは、平成13年度から知多北部3市1町で始めた公共施設の広域利用を知多半島全体に拡大するためのものです。
今回は大きな争点はありませんでした。強いて言うなら、農業委員の選任で共産党が棄権したことと、意見書案で私がゴネたことくらいです。Pの意見書案は近隣自治体の文案を内容の理解が不充分なまま流用しているとして、議会運営委員会で意見書の粗製乱造を危惧する意見を述べましたが、部分的な文案修正がなされたため、本会議では敢て異議を唱えませんでした。
これらすべての議案は反対なしで可決されました。
総合交通体系調査特別委員会から知多バスへの要望が実って、7月20日に「南藤江」が北へ移設、「藤江北」「生路前田」「芦間」が新設されました。これまで最大で7百mもあったバス停間隔を半分程度に縮め、バスを利用しやすくするのが目的です。
今年10月から運行開始予定の町運行バスの新路線(藤江方面―中部病院)のダイヤを検討中です。私は、現行のう・ら・らと合わせて役場―中部病院間を1時間ヘッドの定時ダイヤとし、役場で現行のう・ら・らとも乗り換え可能な、シンプルでわかり易いダイヤを提案しています。
平成11年9月から続けてきた土曜議会が、次回から年1回、6月定例議会のときのみになります。
傍聴者が減ってきて、敢て土曜に開く意味がなくなったためです。第1回は48人もいたのに、今議会では8人。最初に花火を揚げた後は、大して宣伝もしなかったし、傍聴者のために前もってプログラムを配布するなどの配慮もしなかったのが残念です。
これはあくまでも私個人の目から見た議会活動報告です。私の考えをできるだけ率直に述べたつもりです。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。
9月定例議会本会議の開催予定は9月5(木),6(金),9(月),10(火),20(金)の5回で、いずれも朝9時30分からです。5〜6は一般質問、9〜10は議案の説明・質疑、20は討論・採決です。平成13年度決算・・・皆さんの税金がどのように運用されたか・・・が審議の中心になります。
平成14年7月21日
神谷明彦