平成13年12月定例議会報告  (第11号)

 

 明けましておめでとうございます。本年も御指導の程よろしくお願い申し上げます。皆さんは年末年始いかがお過ごしになられたでしょうか。私は、一歳半の次女が体調を崩していたこともあって家族全員自宅で静かに過ごしました。

 12月定例議会が終了しましたので議会報告を致します。本会議は12月7(金),8(土),10(月),20(木)と4回開かれました。このうち、7〜10は主に一般質問、10の後半は議案の説明・質疑、20は討論・採決でした。

 

 

 

一般質問

 

@理科離れと学力低下

 

巷では、「分数のできない大学生」「小数のできない大学生」などの本が次々と出版されています。大学生の学力低下と理数科離れは大学入試制度の問題に負うところが大きいと思われますが、はたして、小中学校の教育に問題はないのでしょうか? 東浦町では、どのように捉えているのでしょうか?

教育長の答弁は、「新学習指導要領(学校週5日制の実施、国語・算数・理科などの基礎基本となる学科の時間と内容の削減、総合的な学習の導入)では、学力低下の問題が指摘されている。しかしながら、学ぶ知識の量は減るが、基礎基本の確実な定着と学習意欲を育てることにより、主体的に学ぶ・生きる力としての学力は向上すると考えている。」「理科離れは知識注入型のカリキュラムが原因。実験・野外学習を充実しており、東浦では問題ないと考えている。」とのこと。

とは言うものの、国際機関等のデータによると日本の子供たちの基礎基本となる学力が低下しているという結果もあります。他にも、意欲・興味・集中力の低下の指摘もあります。はたして、文部省の理念は教育現場に伝わっているのでしょうか?

文部省の方針とは、つめこみ教育の反省に立って、

1)最低限の基本を確実に定着させること

2)総合学習を取り入れ、体験を通じて個性を伸ばす教育に振り向けること

3)週休を二日にして、地域や家庭に、それらが本来受け持つべき家庭教育・社会教育の役割を返すこと

にあると思われます。しかし、これらは、本当に教育現場(学校・家庭・地域)に伝わっているのでしょうか。学校は最低限の基礎基本を教えればOKと思っていないか? 新学力観…生きる力とは何か? 学校と家庭・地域との役割分担はできているのか? 家庭は学校にすべてを期待してはいないか?(従来の科目に加えて、コンピュータ、国際化、芸術、福祉、ボランティア、はては食育までも、すべてを学校が受け持つのは不可能です。例えば、自然に触れる、星を見る、音楽会や美術館に行く、工作をする、家事を手伝うなどは本来、家庭でも出来ることではないでしょうか?)・・・など、聞きたいことはたくさんあったのですが、時間切れで十分な議論はできませんでした。

 いずれにしても、今回、学力低下・理科離れについて客観的データが貧弱なことに気付きました。ある方針に基づいて行った教育の結果を、経年でモニターしていく仕組みが不可欠だと思います。

少人数もしくは習熟度別のクラス編成に関しては、緊急雇用の教員(各学校に少なくとも1名)を使って、どんな対応が出来るか研究中とのことでした。

 

 

A庁舎内のパソコンを使いこなしているか?

 

平成13年度に、役場内の職員1人にほぼ1台のパソコンが行き渡り、LANで結ばれました。設備は立派ですが、ちゃんと使いこなしているのでしょうか。(私なども日頃、パソコンの能力の1%も活用していないと思います。30万円のパソコンの3千円分しか使っていないかと思うとため息が出ます。)

 特に、表計算を使っているか?グラフは描けるか?データベースは使えるか?を聞いてみたいと思いました。役所の仕事を見ていると手計算の表が目立ちます。データは山ほどあるのですが、分析している気配は感じられません。ワープロとしてしか使っていないのはもったいない話です。情報処理の道具として使って欲しいものです。

「使いこなすべく、職員の能力に合わせた段階的研修を行っていく」との答弁でした。

 

 

B歩道・サイクリング道・街路樹整備の考え方は?

 

最近、道路を拡幅して、広い歩道がつくられるようになってきました。「立派になったね。」という声がある反面、「歩行者もいないのに、用地買収までしてつくる必要があるのか。」という意見も聞かれます。「街路樹を植えるのは良いが、管理・手入れは出来るのか。」といった声もあります。

 時流としては、車中心社会への反省を踏まえ、バリアフリー、エコロジー、都市景観などの観点から、人・自転車・車の調和に配慮した道路整備が求められつつあります。町の考え方を聞いてみたいと思いました。

サイクリング道については、県が知多半島の中央部を縦断する知多半島サイクリングロードを建設する計画を持っていますが、東浦町としての具体的な計画はないそうです。街路樹のあるのは、町道329qのうち6.7qに過ぎません。多くは住宅団地の造成などで植えられたものです。今後、幹線道路の新設・改良にあわせて、歩道や街路樹の整備を進めていきたいとのことでした。3月に完成予定の緒川駅東口広場は、ケヤキを植えるそうです。

狭い道には、無理に縁石や歩道を設けずに、(舗装の色や舗装材を変えたり、ペイントを使ったりして)視覚的に歩車道を分離するなど、実情に応じた使い分けも必要と思います。ベビーカーや乳母車、車椅子のためには路面と同じ高さのフラットな歩道が適しています。舗装は透水性が良いでしょう。生路・藤江地区では、大昔海岸線だった急傾斜地に沿った車の通れない細い道を散歩道として整備してはどうでしょうか。沿道には神社仏閣、ため池の堤、井戸の跡などがあって史跡巡りもできそうです。

街路樹を植えると、散水、除草、清掃、剪定、防虫などの管理が問題になります。近年、いくつかの自治体では、地域住民に街路樹や公園木を育ててもらう街路樹里親制度を取り入れています。愛知県では田原町、栃木県佐野市や函館市でも、(剪定と防虫は除き)街路樹に里親の名札を付けて希望者に管理してもらっています。昨今のガーデニングブームを考えると研究してみる価値があると思います。地域住民に街路樹を選定してもらう制度(植樹検討協議会)を設けている自治体もあります。緑化協定によるブロック塀の生け垣化や高さ制限も、都市景観の向上や地震対策、道路拡幅を伴わない街路樹整備の便法として有用と思われます。

 

 

 

議案審議

 

 下記の議案が審議されました。DGは共産党を除く賛成多数で可決。Oは共産党のみの賛成で否決。その他の議案は全会一致で可決されました。

 

[条例]

@職員の再任用に関する条例の一部改正(国の法律改正に伴う語句の変更)

A公益法人等への職員の派遣等に関する条例の制定(法律施行に伴う条例の制定)

B職員の給与に関する条例の一部改正(国家公務員の給与改定に準じた給与改定)

C企業職員の給与の種類及び基準に関する条例の一部改正(国家公務員の給与改定に準じた給与改定)

D税条例の一部改正(地方税法改正に伴い、株式の長期譲渡所得を100万円控除)

E児童遊園及びちびっ子広場に関する条例の一部改正(黒鳥ちびっ子広場の新設)

F町営住宅条例の一部改正(町営藤江住宅の建替完了)

 

[補正予算]

G平成13年度一般会計補正予算(緒川駅東街路整備など)

H平成13年度下水道事業特別会計補正予算

I平成13年度水道事業会計補正予算

 

[認定・その他]

J緒川ポンプ場建設工事委託協定の締結(30億円、日本下水道事業団)

K大高山地区土地改良事業の施行(国庫補助(50%)による農道の舗装)

L町道路線の変更(中子新田土地区画整理地内)

M町道路線の認定(石浜黒鳥宅地開発地内)

N議会運営委員会の委員の選任(久米忠議員の後任に高橋和夫議員)

 

[意見書]

O乳幼児医療費無料制度の創設を求める意見書

P愛知県立東浦高等学校の存続に関する意見書

 

Kは、国の農業予算を使って生活道路を整備するための手続き(テクニック)です。

Oは、地方自治体で行っている乳幼児医療費補助を国にやってもらおうというものです。私は、少々迷いましたが、国におねだりの意見書を乱発すること自体に疑問を持っているし、少子化の根本原因が乳幼児医療費にあるとも思えないとして、賛成しないことにしました。

Pは、1学年6学級に満たないため、県の方針で統廃合の危機にある東浦高校の存続を訴えるものです。開校当初は町内から優秀な生徒が100人以上受験していた時期もあったのですが、12年度の町内からの志望者は44人。改革推進が私の持論ですが、「地元の高校を皆で守ろう」という他の議員さんたちの呼びかけに応じ、賛成に加わらせていただきました。

 

 

 

町営バスの現状と今後の展開

 

 昨年10月に、東ヶ丘からイオンショッピングセンターを経由して中部病院まで結ぶ町運行バス「う・ら・ら」がスタートしました。片道45分、約2時間間隔で毎日6往復(平日・休日ダイヤ有)、運賃は100円均一です。10月の利用実績は、1日当り167人、1便当り14人で、その後も順調に推移しています。各停留所の乗車人数を見ると、7月に開業したイオンの効果が明らかです。また、「う・ら・ら」がスタートする前に運行していた無料の東西バスや知多バス東浦線の乗客数と比較すると、小学校の通学生をそのまま引き継いで、なおかつ一般の新規需要を掘り起こしているのがわかります。これは、コースと停留所、ダイヤを慎重に検討した成果と思います。今後とも油断せず、継続的に改善していくことが重要です。

 

 

次なる展開として町は、町南部の藤江から生路、石浜を通ってイオンまでの路線を計画しています。これは「う・ら・ら」に対する町南部の不公平感が念頭にあるものと思われますが、この地域は現在も知多バス刈谷線が走っているために、知多バスとの役割分担(路線、停留所、時間帯など)をハッキリさせることが先決です。町営バスと知多バスが競合して、知多バスが撤退するようなことになれば、かえって不便になりかねません。

 

 

 

厄松池のホテイアオイ

 

 昨年10月28・31日と11月17・23日にホテイアオイの除去作業をしました。いつものメンバーに加え、日頃環境に興味を持っている方々が積極的に参加してくれました。搬出が大きなネックとなっているのですが、重機の応援もあってとても助かりました。

 これまで1年間の水質測定の結果を示します。市販の水質検査キットを用いて、COD・リン酸イオン・容存酸素・pHなどを測定しました。このうち特に、リン酸イオンが池の入口(4ヶ所)に比べて出口で減る傾向が顕著で、ホテイアオイの浄化作用をうかがわせる?結果となっています。

 

 

 

 

 

 これはあくまでも私個人の目から見た議会活動報告です。私の考えをできるだけ率直に述べたつもりです。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。人間一人で考えることには、所詮限りがあります。皆さんとの対話を通じて得られたことを政策に反映していきたいと思っています。

 3月定例議会本会議の開催予定は3月6(水),7(木),9(土),11(月),12(火),22(金)の6回で、いずれも朝9時30分からです。6・7・9は一般質問、11・12は議案の説明・質疑、特に3月定例議会では14年度の予算を審議します。22は討論・採決です。あなたの税金の使い道を決定します。

 

平成14年1月20日

 

神谷明彦

E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com

 

 

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