平成13年9月定例議会報告 (第10号)
9月定例議会が終了しましたので議会報告を致します。私は、相変わらず、どこの党派にも属さず、独自の立場で発言しています。それは、安易なヨコ並びや、中央の都合に振り回されるのを排して、地域の実情に合った政策展開を志向していきたいと思うからです。幸い、他の議員さん達はワカゾウの発言にも耳を傾けてくれるため、現在の東浦町議会の雰囲気には感謝しています。
本会議は9月6(木),7(金),8(土),10(月),11(火),21(金)と6回開かれました。このうち、6〜8は一般質問、10・11は議案の説明・質疑、21は討論・採決でした。
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@会計制度の研究について
1)バランスシート(貸借対照表)の作成は?
2)行政評価の進捗は?
平成11年9月定例議会で、会計制度の改革について一般質問をしました。その後、町長からバランスシートを試作してみるとの発言を得ています。また、平成12年12月定例議会で、行政評価制度の導入についても一般質問をして、13年度から着手するとの答弁を得ています。これらの現状と今後の進め方について、さらに詳しく質問しました。
1)について、行政の答弁では、「資産計上の仕方(道路、学校等の売却不能なインフラのうち、何を幾らに見積るか)が問題。」「取り敢えずバランスシートを作成してみたが、資産計上等のルールを統一して、他の自治体との財務体質の比較が出来ないと意味がない。」「国の統一基準の確立を待って、14年度から決算と連動してバランスシートを作成、住民に開示する予定。」とのこと。
2)について、行政の答弁では、「職員の意識と理解を高めるため、すべての事務事業について事務事業行政評価シートを作成し、費用対効果をチェックする。」「全職員に外部講師による研修を受けさせる。」とのこと。
役所の中には、毎年、議会で決算をやっているのだから行政評価は必要ないという意識があるようですが、決算は有効性よりも合規制を見るのが主体です。行政自ら行った事業や政策を評価・改善までして、初めて一つの仕事が完結したと言えるわけで、現状はやりっ放しの感があります。
右肩上がりの発展途上国型財政運営の時代は終わりました。これからは、スクラップ&ビルド。何を捨てて何をとるかの決断を迫られるわけですが、客観的な根拠がないと住民は納得しません。明確な事業目的を決めて、具体的な指標を定め、効果を金額で見積る体制づくりが求められます。
A自治体法務の能力アップを
地方分権の進展に伴い、自治体もこれまでのように国・県の指示を待って、それをこなすだけで良いという時代は終わりました。自治体は、自分の脳ミソで考え、生きていかねばなりません。それを具現化するのは自治体法務と自治体立法です。私の知る限り、東浦町でこれまで制定された条例は、国・県のひな型や、他の自治体の例を引いてきて、必要個所を訂正しているのが実情です。
一方、地方分権以外の流れとして、ハードからソフトへの政策の転換があります。ハードなら予算を組んで箱モノを造れば済むわけですが、ソフトとなると制度の創出をしないといけません。新たなルール作りが必要となります。そういう意味からしても、まさに今、自前で条例を制定・改正する能力が問われています。当然、議員立法の能力も問われるわけですが、行政の姿勢を問う“一般質問”なので、議員のことは棚に上げて質問させていただきました。
行政の答弁では、「法制執務能力は研修でも重点項目になりつつある。現在、法制執務担当を1名置き、条例、規則等を点検している。最終点検は、助役を長とする町幹部で構成される『法制審査会』が行っている。」とのことでした。
一口に自治体法務と言っても、条例・規則・要綱の制定および改正、法令解釈、争訟、自治体政策の展開を妨げる国の法令・通達の改廃を求めること、外部との契約の締結等かなり多岐にわたります。本当に1名で大丈夫なのでしょうか? 自治体独自の地域の実情にあった条例(例えば、住民投票条例、情報公開条例、まちづくり条例、景観条例、環境に関するもの、開発をどうコントロールしていくかを定めるもの、税制に関するもの等々)を創り出していけるのでしょうか? まさに、各自治体のアイディアをどれだけ盛り込めるかがカギになります。東浦町は2番手戦略を得意としているようですが、ときにはオリジナリティーも発揮していただきたいものです。
町長は、「人材を揃えるには規模が必要。合併も一つの手。」「中央官庁から知恵を借りることが大事。」とのこと。しかし、はなっから中央官僚を頼っていては、いつまでたっても中央集権の上下関係から逃れられません。「自分たちのことは自分で考える」心意気が欲しいと思います。
要望として、立法課題の洗い出し、ニーズの先取りに努めること、行政の裁量を極小化すること(例えば、重要なことは条例の本文に定める。要綱(行政指導)も条例化する。)、宣言的な条例を避け、誘導策や罰則規定を含んだ実効性のあるものにすること、解り易さ、住民を暮らしやすくする立法と解釈に心掛けることを挙げておきました。
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[条例案・その他]
@交通安全条例の制定(交通安全意識の高揚)
A平成13年度一般会計補正予算
B平成13年度国民健康保険事業特別会計補正予算
C平成13年度土地取得特別会計補正予算
D平成13年度下水道事業特別会計補正予算
E平成13年度緒川駅東土地区画整理事業特別会計補正予算
F人権擁護委員の推薦(安藤慧氏の留任)
G教育委員会委員の選任(新美英成氏の留任)
H下水道工事請負契約の締結(石浜中子新田地内,7665万円,東浦土建)
I下水道工事請負契約の締結(緒川申新田二区地内,6142万円,五洋建設)
J字の区域の変更(県営ほ場整備事業第2工区内)
K町道路線の廃止と変更(森岡工業団地造成地内)
L町道路線の認定(森岡飯喰場区画整理地内、緒川駅東区画整理地内)
すべて全会一致で可決されましたが、@については、宣言のみでなく、実効性のある条例の運用を求める発言が複数ありました。
[決算認定]
@平成12年度一般会計決算
A平成12年度特別会計決算
B平成12年度水道事業会計決算
平成12年3月の定例議会で可決された平成12年度(平成12年4月〜平成13年3月)予算が適正に執行されたかどうかをチェックします。決算は、一般会計と5つの特別会計(国民健康保険事業、土地取得、老人保健、下水道事業、緒川駅東土地区画整理事業)と水道事業会計に分かれていて、決算書は合わせると400ページを超えます。これらの書類の中に、一般会計123億円、特別会計87億円、合計210億円もの使途が科目毎に記載されています。水道事業は原則独立採算の企業会計になっていてバランスシートが出てきます。本会議では、担当部長が要点を早口で説明してくれます。決算書について不明な点は説明を求めることが出来ます。とは言え、もう(予算執行が)済んでしまっていることなので、自ずと迫力に欠けるような気がします。結果は、共産党を除く賛成多数で認定可決されました。
ところで、万一、決算認定が否決された場合は、どうなるのでしょうか?
実際には、否決されたところで、何の法的効力もありません。行政側としては、「非常に体裁が悪い」程度のことで、「執行された予算を元に返せ」とか「町長が弁償しろ」ということにはなりません。
もちろん、それでは収まりが付かない場合(例えば、行政の執行自体に重大な問題があれば)議会が地方自治法第100条に基づき証人喚問を行う、首長の不信任決議案を提出する、住民が損害賠償請求訴訟を起こす等のアクションは可能です。
因みに、東浦町では、これまで、決算認定が否決されたことは一度もないそうです。
[請願・意見書・決議]
@学級規模の縮小・多様な学習が可能となる教職員の配置と義務教育費国庫負担制度の堅持に関する請願・意見書
A国の私学助成の増額と拡充に関する請願・意見書
B市町村独自の私学助成制度の拡充を求める請願
C道路整備の促進と財源の確保についての意見書
D地方交付税総額の安定的確保に関する意見書
E緊急地域雇用特別交付金の改善・継続を求める意見書
F米国での同時多発テロ行為についての決議
Eは、共産党を除く反対多数で否決されました。他は、全会一致で可決されました。
Fの決議は、米国での凶悪テロを非難し、テロ根絶を訴えるものですが、ただそれだけの内容であれば、単なるパフォーマンスに過ぎません。本会議以前の議会運営委員会でも、町議会として決議する意味があるのか?軍事報復を支持するのか?議論がありました。したがって、最終的に、その辺りをぼかした決議文になりました。本会議の討論採決では、賛成討論の中で私なりに意見を付けておきました。要旨は以下のとおり。
米国における前代未聞の凶悪テロを糾弾しテロ根絶を願うのは当然としても、決議する以上もう一歩踏み込んで、日本政府と米国政府に対して「テロ根絶に向けて、軍事的報復により恨みを晴らすことを目的とせず、法と理性に基づき」この危機に立ち向かってもらいたいと願います。
なぜならば、犯人グループの家族や近縁者、そして国や地域まで巻き込んだ軍事報復行為は、事件を解決するどころか、悲しみと怒りの拡大再生産につながり、(20世紀後半がまさにそうであったように)更なる報復合戦のエスカレートをもたらすのみと思うからです。
また、我国は、憲法9条で戦争による紛争解決を否定しています。したがって、憲法を改正しない限りは、報復戦争に加担できないはずです。
今、日本政府は、どんな国際貢献が出来るか検討中ですが、たとえ金を出すだけでも軍事報復に加担したと見なされても仕方がありません。日本もテロの標的にする(例えば、原発を攻撃する)と脅されたときに、「やれるものならやってみろ」と毅然とした態度が取れるでしょうか。それに対する国民的な覚悟ができているかも疑問です。
一連のテロは西欧社会とイスラム社会との宗教紛争の面があるわけで、日本の立場は西欧のそれとは微妙に異なっています。従って、日本は、米国追従一辺倒ではなく、むしろこのポジションを生かして、イスラム諸国からも期待されるような独自の国際貢献の道を模索すべきです。それが、ひいては我国の国益につながるのではないでしょうか。国の外交や安全保障に言及することは、私には過ぎたことかも知れませんが、以上の願いを込めて本決議案に賛成します。
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今、議員の間では、議員定数(24人)をどうするかが問題になっています。現状維持か、減らすか。減らすとすれば何人に減らすのか。できれば、他市町村と横並びではなく、東浦町として何人必要なのか、根拠のある議論をしたいと思っています。議員定数は、議員報酬と並んで、議員の評価にかかわる事柄です。議員達で勝手に(お手盛りで)決めてしまって良いこととも思えません。みなさんの忌憚のない御意見を募集します。
実際に、住民の皆さんの間には様々な意見があるものと思われます。例えば、
・ろくに仕事していないのに24人も必要ない。ついでに報酬も減らすべきだ。
・責任を持って職務を果たすのであれば24人でもよい。
・少数意見も取り入れるためには、定数を減らすべきではない。
・思いきって減らし(半分でもよい)、その代わり、議員に専念できるように報酬を大幅に増額する。
・人数は多くてもよいが、住民ボランティアとして無報酬でやるべき。
・若手新人が立候補しやすいように削減を控える。
などの意見が挙げられます。
それでは、望ましい定数とは、どのようにして決めればよいのでしょうか?
東浦町にとって必要なのは何人なのでしょうか?
・ よその自治体と、人口比・予算比・面積比などで比較する。
・ 報酬との兼ね合いで決める。(報酬総額の抑制)
・ 全国の最低レベルを調査、問題がなければ、そのレベルまで減らす。
・ 議員の仕事をリストアップし、積み上げ式で、何人必要か考える。
議員毎に、担当、責任を明確にする必要もある。
・ 地区(大字)毎の小選挙区制にして、地区毎に定員を決める。
・ 議員自身が定数を決めるのは無理。住民参加の審議会または住民投票で決めるべき。
等々いろんな意見がありそうです。
貴方はどのようにお考えでしょうか? 是非ご意見をいただけたらと思います。
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厄松池のホテイアオイは、8月頃から花が咲き始め、池一面になって、今、咲き終わろうとしています。
さて、今年も池の掃除とホテイアオイの除去作業をやろうと思います。とりあえず10月28日(日)10:30から第1回目を予定しています。午前中は、主に草刈とゴミ拾い、午後から、ホテイアオイの引き上げ作業に入る見込みです。飛び入り大歓迎ですので、お時間がありましたら長靴・軍手・汚れても良い格好で奮ってご参加お願いします。皆様のご協力、ご参加を心よりお待ち致しております。
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これはあくまでも私個人の目から見た議会活動報告です。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。
12月定例議会本会議の開催予定は12月7(金),8(土),10(月),20(木)の4回で、いずれも朝9時30分からです。7・8・10は一般質問、10は主に議案の説明・質疑、20は討論・採決の予定です。
平成13年10月20日
神谷明彦
東浦町生路弁財90
пi自宅)83-3263
пi会社)83-5121
E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com
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