平成13年6月定例議会報告 (第9号)
6月定例議会が終了しましたので議会報告を致します。本会議は6月9(土),11(月),12(火),22(金)と4回開かれました。このうち、9〜12は主に一般質問、12の後半は議案の説明・質疑、22は討論・採決でした。
議員になって早2年、もう任期の半分が過ぎてしまいました。前半は言いっ放しの感がありましたが、後半戦は発言してきたことの実現に向けて多少なりとも努力していきたいと思っています。
定例議会に先立つ4月末には、議長・副議長をはじめ、各委員会のメンバーの改選がありました。私は、文教厚生委員会と(前期に引続き)総合交通体系調査特別委員会に所属することになりました。総合交通体系調査特別委員会では、今秋から運行が始まる町営バスをはじめ、これからの東浦の公共交通体系全般について調査・提言を行っていきます。また、議会広報特別委員会にて「議会だより」の編集にも携わっています。
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@上水道の水源を木曽川に
平成11年6月定例議会で指摘したように、長良川河口堰の水は木曽川兼山取水口の水に比べて、汚れています。(グラフ:岐阜市などの生活廃水を考えれば汚いのは当然)
木曽川の水も長良川河口堰の水も知多浄水場まで導水されており、かつ上水道の水は木曽川に切り替えられる構造になっています。(実際、平成12年9月26日、郡上八幡(長良川上流)でトラックが川に転落し積荷の化学薬品が流出した際には、木曽川の水に切り替えられています。)農業用水と工業用水には従来通り木曽川の水が使われており、上水道には長良川河口堰の水が使われています。きれいで美味しいと言われる水を土に撒いたり工場の冷却水に使ったりして、一方で、より汚くてまずいと思われる水をわざわざ人間が飲むのは納得がいきません。
一回目の答弁では、「現行の上水道の水は国の水質基準を満たしている。」「水源の変更には、国や県などの関係機関や利害関係者との調整が必要で、実現困難。」とのこと。
しかし、水質基準さえ満たしていれば良いという問題ではありません。二つの水源が選択可能ならば、少しでもきれいな水、少しでも美味しい水を飲料水として求めるのが当然ではないでしょうか。昨今、家庭用の浄水器やペットボトルのミネラルウォーターが爆発的に普及しました。これは取りも直さず、美味しい水きれいな水に対する関心が非常に高まっているからだと思います。にもかかわらず、「関係者との調整が面倒臭いからやらない」では全く行政の怠慢です。
水利権の調整は、全国的なテーマです。国土庁の水資源白書では「用途間をまたがる水の融通」、中経連や名古屋商工会議所も国に「水利権の適正な再分配」を提言しています。埼玉県では、飲料水の1/3を農業用水から融通してもらっています。水利権の見直し、あるいは、農業用水や工業用水から上水道に水を分けてもらうことはできないのでしょうか。分けてもらうことができなければ、水利権の売買や交換はどうでしょうか。カリフォルニアでは「ウォーターバンク制度」により水利権の売買が行われているそうです。しかし、単価の高い(河口堰の建設費を返していかなければならない)長良川の水の引受手は見つからないかも知れません。それでは、「水源のスワップ(私の勝手な命名)」はどうでしょうか。木曽川と長良川の使用量は全く同じで、水源のみを入れ替えてしまうのです。使用量が変わらなければ水に色が付いているわけではないので、水利権の問題は発生しないのではないでしょうか? 知多浄水場では工業用水に木曽川の水が6.36m3/秒、上水道に長良川の水が2.86m3/秒 使われています。このうち互いに2.86m3/秒を入れ替えるわけです。(概念図:水源スワップの概説)
ハンセン病の判決で、問題があることを知りながら何も対処をしなかった立法府の責任が指摘されましたが、愛知用水の水源についても今のまま何もしないのは行政と議会の落度と言われてもしかたがないのではないでしょうか。再答弁で町長は、問題は承知しており、今後とも粘り強く国や県に働きかけていくと明言しました。
A都市計画の課題について
1)里山の保存
2)駅周辺の開発
3)既存市街地の狭い道路
4)市街化区域内の未利用地
東浦の都市計画の課題として4点を挙げて、それぞれについて質問しました。過去に取り上げたことのある質問も含まれています。「里山」は初めての議会の一般質問で取り上げから「神谷議員の十八番」になってしまいました。
「里山を残せ」と言うと「高根の森公園があるじゃないか」と言われますが、高根の森は「里山」とは呼べません。例えば知多半島の場合、水源の山林(雑木林)があってそれに続く谷筋にため池や水田がセットになっています。そこには当然、水や生態系の循環があるわけで、保存するとすれば少なくとも2つの尾根と1つの谷を含むある程度厚みのある区域でなければなりません。そうして東浦の丘陵地に散在する林地も含めて、里山を回廊状に結んで残して行けたらと思います。
東浦の丘陵地帯は、ほとんど宅造法と砂防法の規制がかかっています。森林計画に基づく地域対象森林の指定もかかっている所があり、1ha以上の開発には県の許可が必要です。これには町が意見を付けることもできます。高知市では、「里山保全条例」を制定して市街化区域内についても積極的に保全を図っています。町の答弁では、「里山保全の必要性は痛感している。私権の制限には困難が伴うが、法令等による林地・緑地の保全措置について地権者の理解を得ながら検討を加えたい。」とのこと。
一方、市街地を誘導していくうえで、わざわざ里山を削って宅地開発するよりも、鉄道駅や国道に近い所に街を作るべきです。例として、巽ヶ丘駅の東側や東浦駅の東側を挙げることができます。答弁では、「昭和61年に巽ヶ丘駅東側の区画整理の話が持ち上がったことがあるが、反対があったため立ち消えになった。その後情勢も変わったので、境界を接している阿久比町と共同で再検討したい。東浦駅の東側は、農振除外が問題。藤江三丁地区の市街化編入が解決してから東浦駅東側の区画整理を検討したい。」とのこと。
東浦の既存市街地の狭い路地では、建て替え時や車の出入りに問題があり、ゴーストタウン化が進んでいます。町では建て替え時等に後退用地を買い取って道路を拡幅していますが、遅々として進まないのが現状です。路地ごとの小さな単位でまちづくりできないのでしょうか?
市街化区域内で有効利用されていない土地も結構あります。これらの土地は主に道路付が悪くて利用できないのが原因です。例えば、生路の小太郎地区から小学校にかけて農地や草地が広がっていますが、町が呼びかけて、地域のまちづくりを盛り上げていくことも大切なのではないでしょうか? ただ放置しておくのではなく、今後のあり方を地主を含め地域住民で考えていく必要があると思います。道路を入れて宅地にするのか、あるいはこのまま田園地区とするのか地域で話し合ってみてはどうでしょうか。
いずれにせよ、私が言いたいのは、残すべき所は残し、利用すべき所は利用する、総合的な都市計画の視点が必要ではないかということです。地域で計画的なまちづくりをしていく姿勢がまだまだ欠けていると思います。町は、やると決めたことは半ば強引に事を進めます。また、民間の開発には色々と厳しい注文をつけてきます。そのくせ、いざとなると、「地区の熱意がない」とか「地主の意向が大事だ」とか言って逃げを打ちます。成り行き任せでは、土地の有効利用は図れないし、その場限りのミニ開発が横行することになります。
B行政の「情報化」の目指すものは
1)事務効率化の分野では?
2)行政サービス向上の分野では?
3)情報公開と住民参加は?
最近、「電子政府」とか「地方自治体の電子化」などの言葉が盛んに言われるようになってきました。本議会においても庁内LANと新しいサーバシステムの購入が議題になっています。東浦町の情報化は何を目指しているのでしょうか?
庁内LANの整備で職員1人にほぼ1台のパソコンが行き渡ることになりますが、買い入れるからには業務に使いこなしていくのが前提です。取組むべき課題は、データ管理、ペーパーレス化、グループウェア、在宅申請手続、行政サービス検索、ホームページによる情報公開(条例、財務諸表、施策経費、都市計画、災害情報、サービス情報)と公聴(双方向の意見箱、住民会議室)等々、多岐にわたります。サーバを外部のネットワークと接続するのは、国の認証システムの確立を待ってからのことで、当面は町が有する情報を加工してホームページに公開していくことになりそうです。
安易な情報化は、下手をするとかえって仕事が増えることにもなりかねません。情報化プロジェクトチーム(今年度中に計画書を作成)で行政評価の手法を取り入れて、一歩一歩着実に推進してもらいたいものです。
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下記の議案が審議されました。Hは共産党を除く賛成多数で可決。Jは否決。その他の議案は全会一致で可決されました。
@報告 老人保健特別会計補正予算に係わる専決処分事項の報告
A議案 手数料条例の一部改正(優良宅地造成・優良住宅新築認定申請手数料の値上げ)
B議案 消防団員等公務災害補償条例の一部改正(補償額の増額)
C議案 非常勤消防団員及び消防協力団員に係わる退職報償金の支給に関する条例の一部改正(退職報奨金の増額)
D議案 平成13年度一般会計補正予算(排水ポンプの改修と退職金支払い)
E議案 庁内LANパソコンの購入(2,562万円、NECネクサソリューションズ)
F議案 NEC製サーバシステムの購入(2,887万円、日本コンピューターシステム)
G議案 町道路線の廃止と認定(石浜県営住宅建設敷地内)
H議案 町道路線の認定(緒川駅東土地区画整理地内)
I議案 収入役の選任(水野征男氏が病気のため辞職、後任に長坂幾夫氏を選任)
J議案 廃棄物の処理及び清掃に関する条例の一部改正(粗大ゴミ収集手数料の値下げ)
K意見書案 音楽療法士の国家資格制度の創設等を求める意見書
Hは、イオンSC(ジャスコ)内に入る行政サービスコーナーへの通路確保と進入路入口の交差点に信号を設置するために、SC敷地内の進入路を町道認定するものです。イオンへの優遇策との批判もありますが、イオンが道路を寄付して、維持費も支払うとの説明だったので賛成しました。
Jは、共産党による議員提案です。去る3月定例議会で、粗大ゴミ1個につき1000円と定めたものを500円に値下げするためのもので、反対多数で否決されました。粗大ゴミを1個収集する経費は1個1000円以上を要します。手数料を値下げしたところで、所詮は税金からの持ち出しです。他の住民サービスが削られるだけで「住民負担を減らす」ことにはつながりません。また、たくさん捨てるほど公的補助が多く受けられることになり、ごみの減量化に逆行します。6月に粗大ゴミの戸別有料収集が始まったばかりなので、しばらく結果を見るのが先決だと思います。
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各地区の区長、沿線住民や各種団体の代表などからなるバス運行委員会が発足して、10月から始まる町営バスの運行に向けて意見を出し合いました。私も、総合交通体系調査特別委員会の副委員長として出席しています。
行政側の担当部署が防災交通課に代わってしまったため、総合交通体系調査特別委員会と企画課の間にあった共通認識はうまく引き継がれていません。行政側は、たくさんの人に乗ってもらうことよりも、とにかく無難に(批判の出ないように)走らせることで頭が一杯のようです。路線から外れる町南部の批判をかわす策として浮上したのが「乗り継ぎ券」です。行政は、藤江方面から知多バスで来て緒川で町営バスに乗り換える人には、町営バス(通常100円)が無料になる乗り継ぎ券を発行するとしていますが、乗り継ぎ便の確保が出来ていない上に、逆ルート(町営バスから知多バスに乗り継いだ場合)やJRから乗り換えた場合は発行されないなど、決して利便性・公平性のあるシステムとは言えません。
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これはあくまでも私個人の目から見た議会活動報告です。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。
9月定例議会本会議の開催予定は9月6(木),7(金),8(土),10(月),11(火),21(金)の6回で、いずれも朝9時30分からです。6・7・8は一般質問、10・11は議案の説明・質疑、21は討論・採決の予定です。平成12年度決算・・・皆さんの税金がどのように運用されたか・・・が審議の中心になります。
平成13年7月18日
神谷明彦
E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com
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