平成12年6月定例議会報告  (第5号)

 

 6月定例議会が終了しましたので議会報告を致します。本会議は6月10(土),12(月),14(水),21(水)と4回開かれました。このうち、10〜14は主に一般質問、14の後半は議案の説明質疑、21は討論・採決でした。今回は大きな争点もなく、全ての議案がすんなりと可決されました。

 

 

 

一般質問の報告

 

 

  @交通安全行政について

   1)森岡栄南地区交差点の事故対策は?

   2)歩行者用信号の改良案は?

   3)公安委員会と町との連携は?

 

 皆さんも御存知でしょうが、2月28日に森岡駅の東側の田んぼの中の交差点で死亡事故がありました。北行き、東行き双方が相手方を確認せずに出合い頭に衝突したものと思われます。現場を見ると、一旦停止の標識もなくどちらが優先なのか解りません。また、夏場には草が生い茂って見通しが悪くなります。

 事故が起きて、総決起集会を開いたとか、注意を促す看板を立てたとか、それは行政の自己満足に過ぎません。重要なのは、事故につながる原因を取り除く、もしくは、注意を怠らないための行動指針を打ち出すことです。この交差点では、緒川方面から大府方面への抜け道となっているため、南北方向の交通量の方が多いことを考えると、東西方向を一旦停止にすべきと思われます。これに対して町から「東西方向の道路は森岡工業団地へのアクセス道路として拡幅される計画なので、それを織り込んで、南北方向を一旦停止にする。公安委員会が標識を設置してくれるまでは、町設置の指導停止線で対応する。」との答弁が得られました。

 歩行者用押しボタン式信号は、車が止められる時間が長すぎる傾向があります。そのために、一人の人が渡るだけでたくさんの車が止まることになります。ドライバーにとっても苦痛だし、歩行者にとっても心苦しいことで、ボタンを押さずに走って渡ることにもつながります。一般の歩行者が道路を渡り終えるには(2車線の場合)10秒もあれば充分です。時間が長いのは、高齢者、障害者、児童等の交通弱者を考えてのことと思われます。それでは、押しボタンを2つに分けて一般用は短時間、交通弱者用は長時間、歩行者側が青になるようにしてはどうでしょうか。これに対する町の答弁は、「現在町内に設置してある信号は利用者によって時間を変えることができないが、改良案について公安委員会と協議していく。」とのことでした。ところが、実は、「生路」の信号は5年程前から改良タイプになっています。私が一住民として5年前に信号の改良案を手紙で提案しました。半田警察署宛に書いても「なしのつぶて」だったため県警本部宛に書いたところ、すぐに連絡があり県警の方が二人来てくれました。彼等も丁度、新製品をテスト中で、渡りに船だったようです。早速、ボタン一つから二つに改造してくれました。しかしせっかく改良したにもかかわらず、現在、一般用が10秒間青、交通弱者用が12秒間青とほとんど違いがありません。おまけに時間帯(例えば昼時)によって時間が勝手に変わってしまうように設定されていて、一般用が15秒、交通弱者用が18秒になることがあるのです。これでは何をやっているのかわかりません。せっかく利用者が自分の意志で選択できるようにしたのに、機械が勝手に時間を変えてしまうのです。これではサービスの押しつけです。また利用者の意志に反して長くなったり短くなったりでは、危険でさえあります。従って、警察・公安委員会に対して、@一般用と交通弱者用の時間差をもっと大きくする(例えば、10秒と15秒)。A時刻によって勝手に信号の時間を変えない。B設置されているにもかかわらず、使い方を知らない利用者が多いので、わかりやすく利用方法を表示するか、学校などで児童に説明する。C効果が認められれば、他の歩行者用信号にも適用する。を要望していこうと考えています。

 交通行政の主導権はいったいどこが握っているのでしょうか。よく公安委員会という名前を耳にしますが、警察との関係はどうなっているのでしょうか。町は交通行政にどのように係わっているのでしょうか。地域のニーズ、住民の要望はどうやって交通行政に反映させることができるのでしょうか。町では環境課が窓口になって、住民の要望をまとめて、半田署交通課と協議(年2回および問題発生時に)しているそうです。そして半田署から県警に伝わり、愛知県公安委員会(委員5名)はそれを形式的に承認するだけなので、実態は警察(県警)が取り仕切っていると考えた方が良さそうです。現実には警察にお任せ状態で、町が積極的に関与しているとは言えないような気がします。それでは、住民はいったいどこに要望を出せば良いのでしょうか。実際に、歩行者用信号の改良の件でもわかるように、町は実態を把握していないし、半田署はなかなか取り合ってくれません。結局、県警本部に直訴するのが一番手っ取り早いのでしょうか。

 私は、単に定期的に町から半田署に一方通行の願いをするだけではなく、町は警察と情報を共有しているべきだと思います。そうすれば、町も住民に納得の行く説明ができるでしょうし、住民・町・警察の三者が意志を疎通しあうことができます。そして、安全性・利便性・経済性(トレードオフの関係にありますが)を総合的に勘案した、地域の実情にあった交通行政を目指していただきたいものです。

(警察としても、本音は余り規制を強化したくないようです。住民に言われてやむを得ず信号をつけたりしているのが実情です。余談ですが、私はそもそも、信号や標識が多過ぎると思っています。)

 

 

  A地方分権に向けた人事制度は

   1)東浦町の人事評価制度は?

   2)職員の専門性をどうやって確保するか?

 

 地方分権の進展に伴い、自前の政策策定能力が問われます。サービス産業は人でもつと言います。自治体とて例外ではありません。自ら問題を発見し解決する方策を立案できる人材、ある分野に専門性を持ったスペシャリストの育成が必要になります。

 まず人事評価制度ですが、助役の答弁では、「従来の年功序列から、より能力、成果を重視した制度にしていきたい。」とのこと。人事評価では、評価の透明性・納得性が重要になります。そして評価結果を本人にフィードバックして、能力向上につなげていく仕組みが必要です。成果を評価するにも、ただ予算を計画通り消化したかどうかではなく、企画・立案・実行した施策や事業の費用対効果も考慮されるべきです。町長の答弁でも、「今までは、国や県の言う通りにやっていれば良かった。しかし、地方分権の世の中になってきてそれが180度変わった。今まさに始まったばかりで、きちっとした制度はまだできていないが、必要性は痛感している。」とのこと。

 職員の専門性についても今後ますます重要になるのは避けられません。例えば、条例の制定は従来、国や県の規則に準じて、謂わば雛型通りに作っていれば良かったのですが、独自の条例を制定するとなると法務に明るい人材が不可欠です。他にも、都市計画、財務、福祉、情報処理など様々な分野に専門的な知識、経験が必要になってきます。これらの人材をどうやって確保していくのでしょうか。専門教育を受けた者を採用する、スペシャリストを中途採用する、日常の仕事を通じて育成する、外部の研修を通じて育成するなど、いくつかの切り口がありそうです。また、大きな自治体になればそれなりに専門家をかかえることもできるでしょうが、小さな自治体にとっては容易なことではありません。したがって、地方自治体の広域合併に結びついていくことも考えられます。町の答弁では、「従来3〜5年の異動期間を専門性の高い部署についてはより長くする。」「広域組合(他市町と共同でゴミ処理や介護保険などを)を通じた人事交流を今年度から実施する。」とのこと。因みにドイツでは、いくつかの郡や市が集まって広域で、ゴミ回収やゴミ処理をしていますが、各部門の政策決定の担当者は、大抵ドクター○○さん(博士号の所持者)です。

 

 

  B施設活用の企画力を

   1)郷土資料館(うのはな館)の入場者数と今後の活用計画は?

   2)於大公園・このはな館でオリジナリティーあるイベントは?

   

 温泉施設がはやったり、多目的ホールがはやったり、美術館・博物館がはやったり。中身はそっちのけでハコモノを造る時代はもはや終わりました。これからは施設の運営に頭を使う時代です。まさに行政の企画力が試されます。そして建設事業中心のハード行政から文化事業中心のソフト行政へと軸足を移していく必要があると思います。

 かく言う東浦町にも立派な施設がいくつかあります。郷土資料館(うのはな館)は総事業費7億4千万円余(土地2億6千万円、建物3億8千万円、展示企画・制作4千6百万円)を費やして昨年8月に完成しました。中には、塩作りをテーマにした展示、郷土資料の収蔵庫、講座室、陶芸教室があります。ところが来館者をほとんど見かけることはありません。実際には開館以来の入場者は約1万6千人(1日平均90人)とのこと。意外と多いわけは、小中学校の利用が多いためです。もっと一般の来館者を引きつける工夫が必要です。今後の活用方針として、町は年2回の企画展や歴史講座、古文書教室、夏休みには親子で塩作り等の体験型学習を行う予定です。町長は「リピーターを得るには、展示だけではなく学習の場を提供することが大切。学芸員を採用して埋蔵物文化にも力を入れていきたい。」とのこと。

 一方、於大公園のこのはな館は公園の緑に囲まれた私も好きな場所です。このロケーションを生かした特色あるイベントは企画できないでしょうか。例えば、夕暮れどきに室内楽のコンサートなんて洒落ていませんか。そして、農業関係や商工会ともタイアップして特産物(東浦ワインくらいしかないのが難)の売り込みにもつなげられれば、なお結構。私の知人の中にもアイディアを温めている人がいます。町長も「中から外の景色が眺められるのは面白い。各種のコンサートが可能だろうし、薪能で幽玄の世界を演出するのも面白そうだ。但し、行政が丸抱えは無理なので、企画実行する団体の育成が必要だ。住民から提案を募り、行政もバックアップを考えていきたい。」とのこと。いずれにしても、一過性のイベントなのか?継続的な文化事業なのか?運営する団体は?ボランティアの協力は?費用の捻出は?音響効果は?果たしてお客さんはあるのか?演奏者も満足できるか?などなど、考慮せねばならないことが沢山ありそうです。

 

 

 

議案審議

 

 

@報告 12年度老人保険特別会計補正予算に係わる専決処分事項の報告

A議案 公共施設の広域利用に関する協議

B議案 条例の左横書きに関する特別措置条例の制定

C議案 職員の旅費に関する条例の一部改正

D議案 公民館条例の一部改正

E議案 町営グラウンドの設置及び管理に関する条例の一部改正

F議案 勤労福祉会館条例の一部改正

G議案 道路占用料条例の一部改正

H議案 消防団員等公務災害補償条例の一部改正

I議案 非常勤消防団員及び消防協力団員に係わる退職報償金の支給に関する条例の一部改正

J議案 平成12年度一般会計補正予算

K議案 固定資産評価審査委員会委員の選任(長坂時也氏)

L議案 於大公園用地の買い入れ

M議案 町道路線の変更(森岡中町地内、生路森腰地内)

N議案 町道路線の認定(緒川稗田地内)

O議案 藤江児童館建設工事請負契約の締結(1億2810万円,東浦土建)

 

 ADEFは東海市、知多市、大府市と東浦町で公共施設の相互利用を進めていこうと言うものです。来年4月1日から、3市1町の住民はお互いの施設を自由に使うことができるようになります。文化センターやグラウンド、図書館、公園はもちろん、「山の家」などの保養所も使用可能になります。将来の広域合併をも睨んだ先進的な試みです。

 Lは於大公園用地4,979uを3億3千万円で乾坤院から購入する案件です。単価は宅地部分が30万円/坪、山林部分が14万円/坪(いずれも市街化調整区域)で、山林部分の単価が高すぎるような気がします。町の言い分は、過去の事例や鑑定結果から妥当な価格とのことですが・・・。聞くところに依れば、この土地を欲しがっているマンション業者がいて(山林部分に建築は難しいが、駐車場なら可能。)急いで買わねばならぬ状況?らしいのです。ちょっと抵抗がありましたが、断固反対する根拠もあるわけでは無し。結局「異議なし」で可決となりました。これで於大公園の建設もほぼ終ることになります。これまで要した事業費は、約51億円、内、用地の取得費は約22億円です。

 

 

 

 

 これはあくまでも私個人の目から見た議会活動報告です。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。

 9月定例議会本会議の開催予定は9月7(木),8(金),9(土),11(月),12(火),22(金)の6回で、いずれも朝9時30分からです。7・8・9は一般質問、11・12は議案の説明質疑、22は討論・採決の予定です。平成11年度決算・・・皆さんの税金がどのように運用されたか・・・が審議の中心になります。

 

平成12年7月12日

 

神谷明彦

E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com

 

 

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