平成11年9月定例議会報告  (第2号)

 

 9月定例議会が終了しましたので議会報告を致します。9月定例議会の特徴は「決算議会」であることです。平成10年3月の定例議会で可決された平成10年度(平成10年4月〜平成11年3月)予算が適正に執行されたかどうかをチェックするわけです。決算は、一般会計と5つの特別会計(国民健康保険事業、土地取得、老人保健、下水道事業、緒川駅東土地区画整理事業)と水道事業会計に分かれていて、決算書は一般会計のみでも200ページ以上に及びます。これらの書類の中に180億円もの使途が科目毎に記載されています。作る方もご苦労ですが、読むのもなかなか大変です。前もって目を通しておかねばなりませんが、子守歌が聞こえて来そうです。本会議では、担当部長が要点を早口で説明してくれます。

 本会議は9月13(月),14(火),16(木),17(金),18(土),28(火)と6回開かれました。このうち、13〜14は主に議案説明、28は討論・採決、16〜18は一般質問でした。今回は「東海地方初の」土曜議会が開かれるということで、町民のみならずマスコミも詰め掛けるだろうと、議員さんたちも皆張り切っていました。今回は一般質問の希望者が多いため土曜の部と平日の部の2部仕立てとし、土曜の部は一人につき1問のみ、質問・答弁で20分までの制限付きでした。たいていの人は2〜3問の質問をするので土曜日と平日の2回に分けて一般質問を行うことになります。

 

 

 

一般質問の報告

 

 私は、平日の部はブービーなので17(金)の午後、土曜の部はクジ引きで2番だったので18(土)の9時50分からでした。今回は下記@〜Cの事項について質問しました。

 

 

[平日の部]

 

@町の会計制度の改革について

 1)複式簿記導入の考えは

 2)決算時に「投資」対「効果」を知る工夫は

 3)予算執行の余りをどう活用するか

 

 地方自治体の経営状態はどうなっているのか、非常にわかりづらい。借金は?資産は?税金の無駄遣いは?住民(=納税者)に解りやすく説明する義務があります。また税の無駄遣いをなくし、有効に使う努力を示さねばなりません。これに対して町は、「国の定めた会計制度を改めることはできない。しかし、現行の制度に問題点があることは認める。他の自治体の改革を参考にしたい。」との答弁。

<補足>

 予算が計画通り執行されているか、次に打つべき施策は何か、住民が自ら託した税金がどれだけ効果的に使われているかを知るために、決算は不可欠。現金の増減のみを記録する現行の(単年度主義、現金主義、予算主義、単式簿記会計)制度では借金も収入、売却損も収入に計上されます。負債や損失が表面化しにくい制度であると言えます。複式簿記(調達した資金が資産に化ける様子を、金・物の性格を貸方・借方に仕分けすることにより記述していく会計方式。負債・資産の全体像がよく解る。)ならば都市の経営状態をより正確に把握できます。さらに進んで(理想ですが)時価会計方式、そして一般会計、特別会計、企業会計(水道事業、第3セクターなど)の連結決算が可能になれば、財政のガラス張りを達成できます。情報公開が叫ばれる中、いずれ将来は複式簿記に移行していかざるを得ないのではと思います。

 但し、複式簿記では、記帳の段階で仕分け作業が必要になります。また、すべての資産(土地、建物、設備、債権など)の資産計上(価額を付けて帳簿に載せる)をせねばなりません。そして経年減価するものについては減価償却をします。これら民間企業で当たり前のように行われていることが、役所では全くできていないのです。さしあたっての問題として、町の資産に値段を付けねばなりません。これは固定資産税の評価基準を適用すればある程度可能でしょう。それから現在の地方自治法の下で複式簿記を導入しようとすれば、記帳の時点から2重帳簿を作る必要があります。もちろん仕分けをせずに決算時に貸借対照表と損益計算書のみを作成することも可能ですが、本物とは言えません。町長も複式簿記の利点を認めつつ、作業上の困難と職員の慣れの問題を挙げていました。試験的に決算時に貸借対照表と損益計算書を作ってみたいとの答えでした。

 また、税金が有効に使われたか、「投資」に対する「効果」を確かめる方法はないでしょうか。東浦町では決算時に「主要施策の成果に関する説明書」を作成していますが、これを読んでも「投資」対「効果」を知ることはできません。例えば、公民館やプールなど公共施設の利用者数は羅列してありますが、目標に対してどうだったかという視点が欠けています。本来、施設を建設するときには需要見込みがあって、それにに基づいて設計をするはずなのですが、どうも違うようです。今建設中の郷土資料館にしても、利用者数の予測はしていないそうです。やはり、「投資」の際にはどんな効果を期待しているのか、事業目的を明確化すべきです。そして、目的を達成出来ているかどうかで成否の判断をすべきだと思います。費用対効果の数量化に取組むのも1つの方法だと思います。

 費用を節約し予算の余りを出して、これを他に活用することは出来ないでしょうか。年度末になぜか工事が集中するのは不自然を感じます。予算は使い切らねばならないのでしょうか。仮に予算が余った場合は、法律の定めにより、補正予算を組むか、次年度の一般財源として繰り越さねばならないとの答弁でした。(素人考えかもしれませんが)借金を返すとか、貯金するとか、節約に努めた部課に割り当てるとか、柔軟に活用できないものでしょうか。節約した努力に報いるために余りを半分、自由裁量にしてはどうでしょうか。

 質問で議員の旅費に余りが出たら個人に現金支給する話を引き合いに出したら、あとで先輩の議員さん達から「法的に正しい処理をしているのに、不正を行っているかのような誤解を傍聴者に与えかねない。」としかられました。個人に現金支給するより元へ返したらどうかと言いたかったのですが、民間会社でも旅費規定に基づき個人に支給しているわけですから、引き合いに出した例としては不適切だったかも知れません。

 残念だったのは、私が関連の法律を下調べしなかったことです。行政の答弁は、「国の法律があるのだから、予算は使い切らねばならないし、執行してしまったものはもう戻せない。法律がそうなっているのだからどうすることもできない。」の一点張りでした。こちらも「規則を変えるよう働きかける努力したらどうですか。」としか切り返せませんでした。もう少し下調べをして、どの法律のどの条文が関わっているのか、どんな解釈がありうるのかを押さえておくべきでした。

 無駄づかいはやはりチェックする目が必要です。問題は、住民は税金を払い終えたら役所のものになったように思っているフシがあるし。お役人は税金は自分たちの金だと思っているフシがあります。これはとんでもない間違いで、税金は皆の金を預けた(託した)だけで、あとはそれが適切に運用(例えば箱モノになったりサービスになったり)されているかチェックするのは当然持ち主(住民)の役目なわけです。結局のところ、「民度」の問題(住民の関心のレベルの問題)になってくると思うのです。我々住民は東浦町の「株主」なのですから。

 

 

A市街地のため池のメンテナンスについて

1)生路の切池は洪水調節用の空池にするつもりと聞いたが、景観や自然環境に配慮して水を貯めるか、それが無理ならビオトープ的な水辺整備をしては。

2)生路の厄松池では夏になるとホテイアオイが池一面に咲く。秋にこれを取り除くことによって池の浄化を図れないか。

 

 切池については、空池に決定したわけではなく、景観、防災面、臭気等を考慮して整備していきたいとのこと。厄松池のホテイアオイを除去するつもりはないとのこと。

<補足>

 切池は生活廃水による臭気と出水時の洪水調節のため空池にしてはどうかと言う話も出ています。現在すでに水が涸れてスイレンやガマの代わりに雑草が茂りつつあります。もちろん防災や安全面や池の周辺に住まわれている方々の生活環境は無視できませんが、何でもかんでもコンクリートで固めて、フェンスで囲ってしまうのは安易過ぎるのではないでしょうか。土木工事に頼るばかりではなく、自然の力を借りて池をきれいにすることは出来ないでしょうか。

 幸い厄松池は土の土手に柳の大木があり無粋なフェンスもなく比較的に昔の面影が残っています。秋になるとホテイアオイが池を埋め尽くし一面に淡紫色の花を咲かせます。ホテイアオイの繁茂は生活廃水の栄養分を吸収した結果で、多少なりとも池の浄化に寄与しています。但し冬には腐って又池に戻ってしまいます。これらを枯死する前に除去すれば、池から窒素やリンなどの栄養分を取り除くことができます。一部残ったホテイアオイが越冬すれば、春から秋にかけてまた池一面に再生するはずです。これを毎年繰り返せば、自然の力を借りた池の浄化が可能と考えられます。町には頼れないので、10月30日に有志5人でホテイアオイの除去を試してみました。手鉤の付いたロープを投げて、岸に引き寄せる方法が有効だとわかりました。しかし目標の池面の半分程度を除去するまでには程遠く、1週間後にまた挑戦する予定です。11月6日(土)13時〜17時頃までやっていますので、手伝ってくださる方を募集中です。引き上げたホテイアオイは畑に蒔いて肥料にするつもりです。(春先なら1株100円くらいで売れそうなのですが・・・。)

 

 

B防災訓練に関して

 1)幅広い住民の参加を得るには

 2)最寄りの避難所の周知徹底は

 

 毎年、各地区で熱心な防災訓練が行われていますが、参加者が固定されているように感じます。乳幼児の事故への応急処置も取り入れるなど、若いお母さんも含め大勢が参加できるような訓練項目を考えてはどうかと要望しました。

 実は我が家も最寄りの避難所を知りません。避難所は広報などで周知していきたいとのこと。

<補足>

 この質問は、支持者の方から指摘があった事項です。住民の生命・健康・財産を守るのは行政の大事な役割です。

 

 

[土曜の部]

 

C将来想定される市制施行に伴うメリット・デメリットについて

 1)行政サイドから見たメリット・デメリットは

 2)住民サイドから見たメリット・デメリットは

 3)市政施行の必要性・不必要性を議論すべきでは

 

 町長の答弁は、町民を交えた議論の場を作っていく考えがあるとのことでしたが、こともあろうにメリット・デメリットについては調べてないとのことでした。私は、再質問で行政側の答弁をもとにメリット・デメリットについて突っ込んでいくつもりだったのですが、期待した答弁も得られず残り時間も僅かとなってしまいました。仕方がないので、町長の「時期が来たら議論の場を設ける。」との答弁を再確認するとともに、「1週間以上も前から一般質問通告書を提出していたのだから、調べておくのがスジ。」と抗議して私の再質問を終えました。

<補足>

 皆さん、市になったら喜びますか。すでに市に住んで居られる方を含めて、どんな良いことがあるのか、或は、どんな不利益があるか、意外とご存じないと思います。私は市制を嫌っているわけではありませんが、特段の理由なく「全国一律、市に“昇格”することは、とにかく良い事だ。」の価値観には疑問を感じています。東浦の人口は4万5千人。市制施行を意識していないと言えばウソになります。行政は「行政自身にはこういうメリット・デメリットがあります。」「住民にとってはこういうメリット・デメリットがあります。」と市制施行に関する情報を公開して、住民の判断を仰ぐ必要があるはずです。日進では平成6年に市に移行する際、住民の十分な理解を得なかったため反対運動が起こっています。

 行政や議員にしてみれば、市になることで僅かながらも権限は拡大するし、報酬は他市を真似れば増額することになります。また、職員の採用も有利になるし、士気の向上もあるでしょう。よって行政サイドとしては市への「昇格」を目指すのが当然でしょう。一方、住民サイドはどうでしょうか。住所を書くときに一抹の優越感を感じるほかにどんなメリットがあるでしょうか。(それが一番大きかったりして・・・。)考えられるメリットを挙げてみると、福祉事務所設置による住民福祉の向上、自治体の対外的なイメージアップ(町の活性化)、住民の意識の向上などがありそうです。デメリットとしては、市に移行する際の経費負担、住民税の増額(均等割:一人当り年間500円増)、町の財政負担の増大(福祉分野など)、市街化農地の宅地並み課税(生産緑地法の適用)等々お金の話が多いですね。

 平成11年4月現在5万人を越えている町は、滋賀県栗東町(54017人)広島県府中町(51614人)千葉県白井町(50867人)。それから、なんと人口5万人の村もあります。高校野球で有名な沖縄県豊見城村と岩手県滝沢村です。町になるメリットはないとして村のままで来たのですが、市への移行を考えているようです。ここで挙げた町村のうち、府中町はマツダの本社のある裕福な町ですが、当面市になるつもりはないそうです。いずれ広島市と合併するかも知れません。他の町村は、市制施行を目指しています。

 東浦の場合、5万人突破は時間の問題とは言っても、今のペースで行くと10年はかかると思われます。従って今話題の広域合併の方が先になる可能性も十分あります。いずれにせよ、行政には、住民に必要な情報を公開したうえで、何がベストか慎重に議論する姿勢が求められます。まちの運命を決める重要なときに正確な判断材料を提供せねばならないのは言うまでもないことです。

 

 

 

決算審議

 

 決算書について不明な点は説明を求めることが出来ます。とは言え、もう(予算執行が)済んでしまっていることなので、自ずと迫力に欠けそうな気がします。結果は、共産党を除く賛成多数で承認されました。

 

 

 

建築物制限条例

 

 緒川駅東地区計画(ジャスコ誘致を目玉とする土地区画整理)の区域内における建築物の制限に関する条例を制定しました。要はラブホテルなどの建築を禁止するためのものです。ご多分に漏れず罰則規定は甘く、「違反した場合は20万円以下の罰金」となっています。これでは建築費に20万円をオンするだけと思えば痛くも痒くもありません。この点を指摘したのですが、国の建築基準法に「20万円以下の罰金を条例で定めることができる。」の記述があるため、それ以上の罰則を課すのは不可能とのことでした。国の法律が自治体の権限を狭めている典型的な例です。取り敢えず、厳格な運用と時代の変化に応じたメンテナンスを要望しておきました。

 

 

 

土曜議会について

 

 18日(土)はアナウンスの甲斐あって朝から新聞記者や地元のケーブルテレビが取材に来ていました。でも傍聴者の数は今一歩で、傍聴席があふれるのではという杞憂をよそに、満席の2/3の20人ほどの埋まり具合(延べで約50人)でした。先輩議員の話ではそのうちの半分が常連で半分が新規顧客とのことでした。「土曜効果」は期待したほどではなかったようです。家内も傍聴に来たのですが、「事前にプログラムを教えて欲しい。」との感想。なるほど考えてみれば、誰が何をするかもわからないようなお芝居やコンサートに行くのは勇気が要りますよね。

 

 

 

町営バス構想

 

 私が所属する総合交通体系調査特別委員会(立派な名前です。)では、町営の町内巡回バスの運行を(する・しないも含めて)検討しています。知多バスが撤退する懸念があるのと、交通弱者(特にお年寄り)の足を確保しようとの思いからです。巡回バスは今流行で近隣の碧南、高浜、刈谷はもちろん大府も近々始める予定です。

 問題は果たして需要がどれだけあるかです。知多バスでもほとんど空気を運んでいる状態です。現時点でバス輸送のニーズはほとんどありません。そこへ素人が参入して、新たな顧客を開拓できるとは到底思えません。この手のサービスは一度始めるとなかなか止められないだけに、慎重に検討すべきです。

 しかし、周囲がやっているといても立ってもいられなくなるのが人情。他の議員さんや行政は大乗り気です。私はマイカー族ですので、バスを利用される方達の気持ちは解っていません。巡回バスあったら嬉しいですか? それとも無用ですか? 走らせるとした場合、知多バスの現状から考えると、需要は見込めません。今より多くの方達に利用していただくにはどんな工夫が必要でしょうか? ご意見を御寄せ下さい。

 

 

 

 

 今回は、文章が長くて読み辛くなってしまったことをお詫びいたします。もう少し簡潔な文章を心掛けるようにします。尚、これはあくまでも私個人の目から見た議会活動報告です。意見・考え方を異にする方も居られるのは当然のことと思います。ご意見、ご批判、ご要望、アドバイス等何なりとお気軽にお寄せください。

 12月定例議会本会議の開催予定は12月4・6・7・14日の4回で、いずれも朝9時30分からです。特に12月4日は、第2回目の土曜開催で一般質問を予定しています。なにか良いネタがありましたら教えてください。

 

平成11年10月30日

 

神谷明彦

E-mail kamiya-a@mbk.nifty.com

 

 

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