市町合併問題を考える

 

知多北部3市1町が合併して人口30万人を超す中核都市をつくる構想が持ち上がっています。

行政は、合併研究会を立ち上げ、(合併するしないにかかわらず)まちづくりのあり方、地方自治のあり方

を考える良い機会にしていきたいとしていますが、住民を巻き込んだまちづくり論議には至っていません。

住民の関心は(議員も含めて)、まだまだ盛り上がりに欠けるように感じます。

 

合併と言うと、新市の名前がどうなるか?市役所の位置は?などの表面的な事柄がしばしば問題になりますが、

   住民サービスはどうなるのか?

財政運営はどうなるか?

    地域の住民自治は保障されるか?

などの根本的かつ重要な問題が山積しています。

 

今のまま単純に合併するのみでは、行政が肥大化するだけです。

“役所は常に肥大化する”ことは、パーキンソンの法則が示すところです。

役所任せではなく、我々住民自身が自分たちのまちをどう変革していくか、

将来のまちづくりのビジョンが求められます。

 

本コーナーでは、本会議や合併問題特別委員会で発言したことなどを中心に、私の考えを紹介したいと思います。

(行政情報は知多北部任意合併協議会ホームページをご覧下さい。)

 

 

一般質問の報告・・・知多北部3市1町の合併問題について   平成15年7月25日

 

東浦町長の呼びかけで、今年に入って東海市、知多市、大府市、東浦町の合併のための研究会が発足しました。合併によってどんなメリット・デメリットがもたらされるか、どんなまちづくりが可能となるのか具体的にシミュレーションしてみることも大切です。入り口のところで賛成だの反対だの感情論をやっていても意味がないと思います。

以下の1)〜7)を切り口に、合併によりどんなまちづくりを構想しているのか質問しました。

 

1)想定区域の選定理由

行政の答弁では、知多北部3市1町で介護保険をやっている実績とケーブルテレビの情報基盤が同一であることを挙げていました。しかし、地理的には、想定区域は伊勢湾岸、太田川−阿久比川の谷、境川流域に分断されていて、相互の往き来が有りません。むしろ、東浦の旧郷から見れば大府、刈谷、半田などの方が従来から密接な関係にあります。無論、合併には相手の意向もあるのでしょうが・・・。

町長は、「既存市街地の再開発は大変だ。幸い3市1町の真ん中には未開地が広がっている。ここに自由に新市街地を描ける夢がある。」との答弁。しかし、“新しい交流を創り出す”のは意欲的ですが、右肩下がりの時代には身の丈にあった都市開発・都市再生が必要になってくると思います。町長も、「現在の社会状況では、夢のような新市計画はないだろう。既存のものをいかに使うか、実際の新市計画は低コストを追求したのもになるだろう。数十年後の夢を語ったまでだ」との見解を示しました。欧米などでは、最近、既存市街地の再活性化が熱心に進められています。日本型の「焼畑都市開発」では、無秩序に市域が広がり旧市街地が荒廃するのみで、その都市の特色は守れないのではないでしょうか。

「横浜都民」「川崎都民」という言葉があります。これらの都市では、市民の生活はもっぱら東京と結びついていて、市内の異なる鉄道沿線同士の交流はありません。私は、知多北部3市1町の場合も各々の地域が南北軸で名古屋市と結びついていて、地域同士の東西の交流は希薄なまちになるのではと想像しています。

 

2)合併のメリット・デメリット

行政は、メリットについて、市町界を越えた柔軟な学区の設定、専門職員の採用によるサービスの高度化、重点投資による基盤整備の推進などを、デメリットについてはコンピュータシステム統合にかかる経費などを挙げています。

財政問題を掲げて合併したものの、新市庁舎や新たな道路建設などで掛かった経費の方が大きかったのでは、何のための合併だったかわかりません。合併特例債を使うとしても、1/3は自腹であることを心せねばなりません。

合併すると首長や議員の数を減らせるため、コストの削減ができるといった論調を耳にします。しかしながら、特別職の人件費は歳出の0.3%、議会費(議員の報酬、事務職員の人件費等、議会事務に係るすべての経費)は1.2%でしかありません。すべてをカットしたところで、商工会や経営者層がイメージしている大リストラクチャリング(行政の再構築)からは程遠いと言わざるを得ないと思います。

 

3)地域の地名・文化の取り扱い

旧市町の地名については、文化や伝統と同じく新市の財産として守り伝えていくべきだとの答弁でした。

 

4)各地域の「地方自治」の運営

旧市町単位や学区単位の自治組織が考えられるが、住民自治の確立は最重要課題として今後十分な協議が必要との答弁。東浦には区(町内会)の組織があります。昔は、皆同じように地域で入会地やため池などの共有財産を持ち、そこに住んで、働いて、地域の活動にも参加していたのですが、今や他所から転入してきた人や他所のまちで働いている人などさまざまな人がいます。区有財産の取り扱いやコミュニティーのあり方などたくさんの課題があると思います。最近では行政のパートナーとして住民自治組織をNPOで運営したりする例もあるようです。

 

5)中核都市を目指すメリット

中核市になれば、種々の権限が委譲され、住民サービスの向上や魅力あるまちづくりの展開ができるとしていますが、具体的にどんなことが可能になるか説明が欠けています。ただ「権限が増す」というだけでなく、「その権限を使えば従来できなかったこんなことが実現できるようになる」といった風に住民の生活がどう変わるかの説明が必要です。当然、将来のビジョンと、与えられた権限を使いこなす能力が前提となります。

 

6)都市の適正な人口規模とは

合併して人口規模が膨れると、本当に都市の活力や行政効率が増大するのでしょうか。都市の活力は中心市街地の集積度に依存するのではないでしょうか。合併のモデルとして人口規模が等しい岡崎市を比較対象にしていますが、地理的・歴史的・自然発生的に中心市街地が形成されて30万都市となったのと、いくつかの異なるまちが寄せ集まった結果人口が30万人になるのとは訳が違うと思います。

「規模拡大は歴史の趨勢」と言いますが、本当に日本のまちは小さすぎるのでしょうか? 参考までに自治体の平均人口の国際比較を下表に示します。イギリスはサッチャー・メージャー政権時に一層制(国直轄)の地方自治を目指したため平均人口約12万人と突出して大きくなっています。他では、フランス1,565人、スウェーデン30,669人、ドイツ5,013人などです。先進国の中では平均人口38,897人の日本の自治体は決して小さくありません。

 


加茂利男著「地方自治・未来への選択」より引用

 

10万から30万人都市くらいが最も行政効率が高いとも言われます。しかし、5万人くらいにかけては人口が増えるとともに急速に行政効率が向上するが、それ以上はほぼ横ばい状態であることが指摘されています。

試しに、行政がまとめた資料に基づき “住民一人あたりの職員人件費”を指標として3市1町の「行政効率」を比較すると、人口の最も少ない東浦町が最も良い結果となります。これでは、東浦にとって合併のメリットがないことになります。一方、ターゲットとする岡崎の指標は、3市1町の平均的な値でしかありません。合併の効果を出すにはただくっ付くだけでなく、何かブレークスルーが必要だと思います。

 



 

7)合併問題への住民参加のしくみ

行政は、合併協議会の内容を徹底して情報公開するとともに、広い住民参加を早い時期に検討したいとしています。私は、合併協議会のメンバーに公募で意欲ある一般の住民を多数加えるなど住民の意見を積極的に取り入れることと、新市建設計画が出来上がった上で、新市計画に沿った合併への賛否を問う住民投票の実施を提言しました。どんなまちができるか判らないのに賛成か反対かを問われるのは無理なことです。

 

町長は「ゴミ処理や介護保険には一定の規模が必要なため、いくつかの自治体で一部事務組合を作って運営しているが、やはり統一的な政策が不可欠。たとえば、ゴミ処理は環境政策がバックにあって初めて機能する。合併は行政の高度化から避けては通れない。職員のスリム化も不可欠となる。」と述べました。

私なりに広域合併の必要性を感じることがあるのは交通計画や災害対応などです。東浦町の総合計画には交通安全や既存の鉄道・バスへの要望に関する記述はあっても、総合的な交通体系に関する項目はありません。コミュニティーバスなども各自治体が別個に運行しています。確かに車で10分走ると隣のまちへ抜けてしまうようでは交通計画の組みようがないのかもしれません。また、阪神淡路大震災のとき、淡路島では被害の大きい自治体と小さい自治体があったにもかかわらず、相互の調整を取って効率的に助け合うことができなかったことが指摘されています。

ただくっ付いて、職員の数が増え、組織が大きくなり、給料も大都市並に上げ・・・と言うだけでは、合併の意味などありません。組織や給与体系はもとより、情報化や仕事の進め方の改革など「行政の再構築」が必要です。

合併するにしても、単独でいくにしても、それなりの算段と将来構想が不可欠です。合併賛成ありき、反対ありきの議論が横行しているように感じますが、中身が議論されなければ無意味です。私は、必ずしも合併はバラ色の将来を約束するとは限らないことを示し、住民や行政の皆さんに将来のまちづくりについて真剣に考えていただきたいと願ってやみません。そしてあるべき姿(同じ合併するにしても、より良い合併とはどうあるべきか)を提言していきたいと思います。

 

 

合併問題調査特別委員会の開催   平成15年7月25日

 

発足以来なかなか開かれなかった第1回委員会が7月16日に開催されました。合併賛成派、反対派、慎重派、いろいろ居ますが、メリット・デメリットをキチンと抽出してあるべきまちの姿を示したいという方針では一致しているよう感じます。

活動を始めるのが遅くなったため合併問題に対する調査提言をするには、かなりのハードスケジュールで臨まなければなりません。さっそく、7月23日に担当職員との意見交換、28日には中核市のモデルとなる岡崎市を訪問することになりました。

 

 

商工会理事会で市町村合併の勉強会   平成15年10月24

 

8月22日に商工会理事会にて市町村合併の勉強会の講師役を務めました。

商工会や商工会議所はどちらかというと市町村合併に積極的なのですが、私は慎重派ですと前置きして、私見を述べさせていただきました。市町村合併の問題点と留意点を挙げて、「役人任せでは役所のための合併になってしまう。住民自らまちのあり方を考えなければ、将来を見据えたまちづくりは実現できない。」と訴えました。1時間ほど話をした後で、活発な質問とディスカッションがあり、2時間を越えてしまいました。皆さんの関心の高さに驚かされました。皆さんからのご意見やアドバイスもたくさんいただきました。

感じたことは、多くの方々が関心があるにもかかわらず、まだまだ行政側からの情報提供が不十分、一方的なことです。「将来の浮き沈みや、行政サービスの水準を落とさないことを考えると合併はやむを得ない。」「単独でやっていけるにはどんな財政運営が必要となるか。」「合併すべきかどうか判断に必要な条件を整理すべき。」などなどさまざまな発言がありました。

皆さんとお話できる機会を設けていただいたことを心から感謝しています。

 

 

合併問題の現状   平成16年7月22

 

市町合併はどうなってるんだとよく聞かれます。

今年1月に知多北部任意合併協議会が設置され、平成17年10月までに合併構想(都市ビジョン)をまとめて、住民の意向を問う計画です。その間、住民の皆さんにもこれからのまちづくりを考えてもらう機会を設けようと、リレー講演会街かど会議(5人以上のグループの要請があれば、職員が出向いて情報提供や座談会をセッティングします。)、子どもプロジェクト(夏休みにワークショップを開催、中学生40人にまちの未来図を描いてもらいます。)などを企画して、住民参加の盛り上がりを期待しています。

しかしながら、普段、町政・市政に直接かかわりを持たない一般の住民の皆さんが積極的に参加するところまでに至りません。それどころか、議員にも当事者意識が欠けているような気がします。合併するかしないか、するなら(しないなら)どんなまちをデザインするのか。これは、そこに住む住民私たち自身の問題です。役所にお任せでは、何のための合併協議なのかわかりません。行政も、合併問題は自分たちの住むまちのあり方を問い直す良い機会だと位置づけています。

 

 

一般質問の報告・・・合併に伴う行政改革の道筋について   平成16年10月24

 

知多北部3市1町の合併を論ずる際には、地域自治組織をどうするか、中核市の権能をどう生かすか等、いくつかの重要な論点がありますが、今回は、行財政の効率化・行政改革について取り上げました。

 

市町村合併は「究極の行政改革」とも呼ばれ、合理化、効率化、コスト削減が大きな目的のひとつになります。単にいくつかの自治体が合体するのみでは、収入と支出が同時に膨れるのみで、合併による効率化は達成できません。行政再編のビジョンが必要です。

自治体の規模が大きくなるにつれて、職員は官僚、市長や議員は雲の上の人となり、住民からの距離は益々遠ざかるばかりでないでしょうか。それに引きかえ、自分たちで考え、独自にやっていく能力さえあれば、小回りが利いて、住民同士お互いに顔の見える規模の自治体の方が、住民自治の観点からして魅力的に見えることもあるでしょう。合併を考えるにあたっては、巨大化のデメリットをいかに抑え、合理化のメリットをいかに発揮するか、その道筋が問われます。

はたして行政改革のビジョンはあるのでしょうか? 人件費をどうやって削減するのか? 職員数と一人当たり人件費をどうしていくのか? ゆくゆくは中核市(30万都市)並みの高い給与を払うことになりはしないでしょうか?

 

 

答弁では、「3市1町で構成する知多北部任意合併協議会に、3つの特別部会を設置し、行革推進を原則にこれからのビジョンをつくる。行政経営特別部会では、合併する場合の新しい行政組織や行政サービスのあり方を検討・提案。情報化構想特別部会では、合併経費の70%を占めるといわれるシステム統合化、およびその前提となる情報化施策案を作成。財政推計特別部会では、住民が合併について検討する際に財政面の比較検討資料を提供。」「合併する場合、しない場合の財政シミュレーションは、部会での検討結果を踏まえてこれから行う。」とのこと。

住民サービスが見直される中で、給料は一番高い東海市に合わせるのかの問いに対し、「安易に、一番高いところに合わせると決めているわけではない。職員定数などと併せて検討対象になる。」との答弁でした。

さらに、総務部長は「これからの時代の『公』のありかた(民と公の役割分担)、権限とスケールを生かす組織のあり方、戦略的なマネージメントシステム、職員の意識啓発と人材登用、地域内分権、などが議論の対象として避けて通れない。」と答えました。

 

合併は手段であり、目的ではありません。しかし、現状の問題点、合併の目的、達成すべき目標がはっきり示されているとは言えない状態です。メリットなり目標なりが必要です。それが合併への説得力になります。まちづくりの明確なビジョン、合併による新たな効果、住民自治の発展、財政の健全化など、それぞれの分野で、合併の成果指標があっても良いと思います。合意形成過程の透明性も必要です。

最後に、私から「合併のビジョンをきちんと作って、それを公開し、住民の判断を仰ぐ必要がある。リレー講演会で千葉大学の大森教授は、住民投票は望ましくないと述べられたが、私はそうは思わない。反対意見が出たら困ると言う意見もあるが、そもそも反対が出るのは説明不足が原因ではないか。きちっとしたビジョンを作ったうえで、説明して納得してもらったうえで、住民に一票を握りながら考えてもらう。それが、情報公開と住民参加をベースにした合意形成のあり方だ。」と注文をつけておきました。

 

 

合併問題調査特別委員会での議論から   平成17年4月20

 

知多北部任意合併協議会では、3市1町の投資余力(新たな事業に回せる資金)の比較をすると、合併する場合としない場合で、合併10年後には年間61億円、10年間のトータルで357億円の差が生まれると試算しています。

合併する場合としない場合の投資余力の比較

実は、この差の大部分は合併5年後に事業所税の税収(人口30万人以上の中核市で、床面積1000u超または従業員100人超の事業所に対して課せられる税金で、年間43億円程)を見込んでいることによるものです。残りは、東浦町内の市街化農地の宅地並み課税(年間1億円程)、議員や行政の特別職の減員による報酬減(年間5億円程)、職員人件費の削減(年間5億円程)で、ほとんどが、受動的・制度的な要因によるものです。

合併後の投資余力を、行政の効率化ではなく、新たな税源に求めるのは問題です。本当の意味で合併による行政の効率化を引き出すには、事務の重複や電算システムに要する費用、人件費など個々の要素について削減目標を定めるべきだと思います。

 

46日の合併協議会では、水道料金など各市町で条件の異なるサービスについて最低の料金に統一するよう訂正があったと聞きましたが、水道料金だけで年間約10億の減収になるそうです。これだけで、特別職のみならず一般職員の人件費削減額が簡単に吹き飛んでしまいます。住民感情に配慮したものと思われますが、持続可能な財政計画になっているのでしょうか。既に合併した自治体の中でも、当初掲げた「サービスは高く、住民負担は小さく」が早くも崩れている所が出てきています。

 

それから、合併協議会は合併の目的として中核市になることを挙げていますが、一般論としての中核市ではなく、知多北部において中核市になって何がしたいのか、具体的に住民に示すべきだと思います。

皆さんはどうお考えになりますか?

 

 

合併問題・・・新市都市ビジョン案が発表になりました   平成17年7月19日

 

知多北部任意合併協議会は、合併後のまちづくりについて住民公募のワークショップで出し合ったアイディアを基に「新市都市ビジョン案」を作成しました。その発表会が73日に、あいち健康プラザで開かれました。会場に行ってみると、役所の職員に自主参加の動員がかかっていたらしく、知った顔でいっぱいです。(もちろん合併は役所の職員にも関係のあることなので、職員が発表会を聞きに行くことは決して悪いことではありません。)それにしても、住民の関心がイマイチ盛り上がっていないのは否めません。

79日からは、各地区公民館でタウンミーティングが始まりました。合併についての説明のあとに住民の皆さんの疑問にお答えしようという企画です。町内で各地区1回ずつ、計6回の開催が予定されていますので、ぜひ御参加ください。議会の合併問題調査特別委員会では、各地区1回ずつでは不十分として拡大を要望しましたが、残念ながら実りませんでした。大勢の聴衆の前で質問するのは少しばかり勇気の要ることですが、先入観を抜きにして素朴な質問をしてみてはいかがでしょうか?

任意合併協議会は、タウンミーティングで、住民の皆さんからいただいた意見を基に、新市都市ビジョン案を修正したものを11月に各戸配布。そして、12月に住民の約5%を対象にした住民意識調査(無作為抽出のアンケート調査)を実施。その結果を踏まえて、法定合併協議会を設立して合併の具体的な協議に進むかどうかを判断するとしています。早ければ、来年3月には我々議員も、具体的な合併協議に進むか否かの判断を迫られることになるかも知れません。

 

タウンミーティングの開催スケジュール(町内のみを抜粋)

7 9日(土) 14:00

森岡公民館

716日(土) 19:00

緒川公民館

723日(土) 19:00

文化センター

730日(土) 14:00

生路公民館

8 6日(土) 14:00

南部ふれあいセンター

827日(土) 14:00

新田公民館

 

 

住民意向調査の結果   平成18年4月25日

 

昨年末に行われた住民意識調査(住民の約5%を対象とした無作為アンケート調査)の結果が出揃いました。合併協議により積極的なのは東浦、東海、大府、知多の順で、全体としては、約6割が合併協議を支持する結果になりました。

 

住民意識調査の結果を受け、216日の任意合併協議会で、合併に向けての法的な手続きに入るため、法定合併協議会への移行を決議しました。そして構成市町の3月定例議会に、法定合併協議会設置のための議案が上程されました。これらの議案がすべての構成市町の議会で可決されれば、法定合併協議会が設置されることになります。

 

 

3月定例議会での議案審議・・・知多北部法定合併協議会の設置   平成18年4月25日

 

@知多北部法定合併協議会の設置

A平成18年度一般会計補正予算(法定合併協議会設置のための予算、1,300万円)

 

@Aは法定協議会を設置して合併に向けての法的な手続きに入るための議案です。私は、住民意向調査の結果を踏まえ、さらに具体的に合併協議を進めることに賛成するつもりです。しかし、役所の一方的なペースで合併の手続きが進められてしまうことには強い懸念を抱いています。

蒼志会の齋吉男議員と平林由仁議員は、私が賛成するにしても一言文句をつけずには居られないことを察してくれて、賛成討論を任せてくれました。

私の行った賛成討論は以下の通りです。

 

住民意向調査の結果を尊重して、さらに合併協議を進めるべく、知多北部法定合併協議会の設置に賛成する。

<合併協議を継続したほうが良いと考える人が過半数>

住民意向調査によれば、全体で6割の人が、どちらかといえば法定合併協議会を設置して合併協議を継続することを望んでいる。この結果は尊重する必要がある。

しかし、協議継続に賛成の人の中には、合併に迷いのある人も含まれていて、「合併賛成が6割」とは解釈できない。むしろ、合併協議継続を望んでいない4割の人は合併に反対していると解釈することもできる。

住民の中には「法定協議会は合併についてより幅広く深く可能性を探る場」との認識がある。行政もそれを肯定してきた。住民の多くは合併に賛意を示した訳ではなく、「さらに可能性を探る」ことに反対しなかったと解釈すべきではないか。

そんな中での「6割」だったことを肝に銘じ、役所のための合併ではなく、住民のための合併を追い求め、謙虚に協議を進めるべきだ。

<依然としてあいまいな合併の目的>

合併で、中核市をめざすというが、国・県から権限委譲を受けて、その権限でもって何がしたいのか不明。まだ、そのあたりの説明が不足していると感じる。

<合併に当たって検討すべきこと>

それから、合併によって生まれる投資余力(10年間で357億円と試算)の大部分を法人事業所税による増税で捻出しようとしているのは問題だ。本来、行政自身の改革で、行政の機能化、合理化、効率化を実現し、財政の安定化を図り、合併の効果を生み出すべきだ。

水道料金を安易に一番安い自治体に合わせると上下水道で年間約9億円の減収となるといわれている。それだけで特別職の報酬減などは簡単に吹き飛んでしまう。

合併後の報酬や給与の額をどうするかの議論がまだ見えてこない。一番高い東海市の体系に合わせると、せっかく定数を減らしても人件費の増加を招くことを心しておかねばならない。

<最終的な合併の賛否には住民投票が必要>

我々議員が有権者から負託を受けているのは、東浦町の枠組みがあることが前提になっている。枠組み自体が変わることになる合併の最終判断は(新市基本計画等、法定合併協議会の成果を示した上で)住民投票に付すべきだ。

<顔の見える住民自治か?官僚主導大型自治体か?>

合併して、大都市の仲間入りをすると、専門的職員が増えて「政策立案能力・行政執行能力」が増す期待はできるが、官僚主導型大型自治体になり行政と住民との距離が隔たる心配がある。法定合併協議会においてはそんな懸念を吹き飛ばす、コミュニティー主体の顔の見える、住民が主役の自治体を維持し、住民自治のあるべき姿を模索する議論をして欲しい。

<建設的な議論を>

どうか、知多北部法定協議会の設置に当たっては、私達の住む知多北部3市1町の合併に向けた建設的な議論をするとともに、オープンな運営に努め、新市のあるべき姿をできるだけ具体的に住民に示し、合併の可否について正々堂々と住民投票により住民の判断を仰ぐことを求めて、賛成討論とする。

是非、これからの都市間競争を行きぬける地方自治体のあり方を模索して欲しい。

 

322日、東浦町議会において、共産党を除く賛成多数で法定合併協議会設置の議案とそのための補正予算案が可決されました。

しかし、翌23日、お隣の大府市では自民党と共産党による反対多数でこれらが否決され、結局、平成161月から2年間あまり続いた合併協議はお流れとなりました。

 

 

結局、知多北部3市1町合併は破談に   平成18年4月25日

 

東海市議会と東浦町議会は法定合併協議会を設置する議案を可決したものの、大府市議会で否決されてしまいました。最後に採決するはずだった知多市議会は、合併はなくなったとして議案を取り下げてしまいました。

結局、大府市は東海市に主導権を渡すことになるよりも、単独の道を選んだのでしょう。合併破談後に行われた最後の任意合併協議会では、大府市長はもともと単独で10万都市を目指していたと受け取れる発言をしています。

知多北部3市1町の合併協議は、比較的税収が豊かな地域で、合併特例債などの恩典目当てではなく、行政の効率化と政策形成能力のレベルアップを指向した、全国でも珍しい試みでした。その中で、私は、合併ならば何でもよいのではなく、究極の行政改革でなければならないとして、合併の内容にこだわる姿勢を一貫して貫いてきたつもりです。

 



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